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平成堂薬局

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間質性膀胱炎の”本治”を考える

2022年05月19日

前回↓

間質性膀胱炎の方からのご相談が増えています

では間質性膀胱炎の症状と一般的な漢方治療についてまとめました。

ですが間質性膀胱炎は難治性

一般的な漢方治療だと一時的な緩解があっても

何かキッカケでぶり返し足り繰り返すことも多い為

私の間質性膀胱炎の相談経験から本治を考え、まとめてきます。

  間質性膀胱炎の”本治”を考える

”本治”とは完全に治りきることです。

その逆で病名や症状のみを緩和することを”標治”と言います。

他の漢方薬局での治療歴を聞くと

大体『膀胱炎の漢方』『腎を整える漢方』『利水の漢方』をベースに漢方治療しているようです。

多少は症状に合わせて処方しているので一時的な緩和が見られることもありますがあくまで標治であり

何かのキッカケで再発し、荒れてしまった症状は緩和できず、最終的にここに相談に来るのでしょう。

まず「腎を整えることが膀胱炎の本治」と思っている漢方家のなんと多いこと。

もちろん腎を整えることが本治となるケースもありますが

それほど単純なら難治性とは言われないでしょう。

  間質性膀胱炎の処方を考えるには

間質性膀胱炎の本治ためには

病院にありがちな病名処方で漢方を決めるわけでもなければ

漢方薬局にありがちな中医学の肝鬱気滞や膀胱湿熱などの四文字熟語で処方を決めるわけでもありません。

まず、膀胱の構造、機能を把握すること。

そして、舌診などでカラダの粘膜・水分代謝状況を考慮し

そして実際に訴えている間質性膀胱炎症状をしっかりと落とし込むことです。

  膀胱の働き

膀胱の働きは簡単に言うと

①腎臓がろ過した水分を溜めること

②溜まった水分を外に排出すること

です。

①の溜める時は膀胱という風船が弛緩して広がり

②の排出時は膀胱が収縮して縮みます。

また、腎でろ過された水分の多くは尿細管で再吸収され

膀胱に溜まっている尿量は膀胱から神経伝達で脳に伝わります。

本当はもっと複雑ですが、大まかに理解する為にはこれくらいを頭に入れてそれぞれの症状を考えてみましょう。

頻尿、小便してもすぐに行きたくなる、すぐに催すけれどそれほど量は出ない場合

→尿細管の再吸収が強いor膀胱粘膜が過敏になっているor膀胱が固いため拡張しにくく、それほど溜まっていなくても許容量ギリギリの脳へのサインが早く出てしまうor膀胱~脳の神経伝達異常

それほど時間は経っていないのにいっぱい出る場合

→尿細管の再吸収機能が弱まっているor水分代謝異常

横になる(姿勢を変える)と小便を催す場合

→重力の影響で水の動きが変わる、つまり自力での水分ポンプ機能が弱い

夜間頻尿

→姿勢を変えると増えると同義or腎機能低下or冷えによる水分代謝異常

溜まった感覚と実際の小便量がリンクしていない

→膀胱の陰虚(膀胱粘膜の潤い不足)により膀胱の感覚異常or膀胱の伸縮性に異常が出ているor膀胱~脳の神経伝達異常

何とも言えない不快症状が常にある場合

→膀胱の陰虚による感覚異常

残尿感、排尿してもスッキリしない場合

→膀胱陰虚による感覚異常or膀胱の収縮不良

様々な症状がその時々でバラバラに混ざって出る

→水分代謝異常が強いor膀胱の感覚異常

大まかな例で書きましたが

実際は型にはめたものではなく相談者本人の表現に合わせて考えるので

上記の例では収まりませんが、ザックリはこんな感じで考えています。

中医学では

頻尿→冷えている→腎陽虚→八味丸か牛車腎気丸

頻尿→炎症が強い→膀胱湿熱→竜胆瀉肝湯or五淋散

などの型にはめた分析ですが

寒熱はもちろん考えますが水分バランスが悪いのか、神経伝達が悪いのか、膀胱粘膜の感覚が悪いのかで調整しているという違いがあります。

ちなみに病院ではハンナ型や非ハンナ型などを診るようですが

もしその情報があれば参考にしますが、それらよりも実際の訴えを尊重して考えます。

  難治性≒慢性化しやすいということは

間質性膀胱炎に限らずですが慢性化すると発展してしまう病態が”瘀血””陰虚”です。

間質性膀胱炎の場合は強くはなくても炎が付く限りは軽重に関係なく火を生じており

火は長引くほどに潤いを乾燥させてしまい膀胱の陰虚、ひどいと腎陰虚を引き起こしています。

間質性膀胱炎症状にばかり振り回され

この膀胱陰虚の考えを疎かにしてしまっている場合も多いように思います。

対症療法漢方で症状としては安定する時期があっても

実は膀胱は徐々に陰虚が進んでしまっており

何かのキッカケで悪化した時に前に緩和したお薬を使用しても以前ほど緩和しないのはこの為でしょう。

つまり軽快していたとしても、膀胱粘膜を潤わせるの配慮は欠かせません。

  慢性化は部分的な血行不良を生む

そして”瘀血”。

元々血瘀体質でなくても慢性化するとその部位の血流環境にも影響し瘀血を生じます。

こうなると症状ベースで見ると正しい処方であっても

薬効成分が血流環境が悪く膀胱に届きにくい為、十分な効果が得られません。

症状や中医学の四文字熟語にこだわっている漢方家は

この膀胱に関わる瘀血の配慮が欠けているように思います。

私も普段は舌診を大事にしておりますが

膀胱だけに炎症がくすぶっていて部分的に生じている場合には

舌診や脈診に表れないこともあるので注意です。

例え全身の血瘀症状や舌診、脈診で血瘀兆候が無くても

配慮しなければ効果が得られないこともあるということです。

  さらに、間質性膀胱炎の特徴からも考察する

間質性膀胱炎になりやすい方は圧倒的に女性が多く

そして年齢層は40~70代に見られやすいです。

つまり更年期直前~以降ということで

これも間質性膀胱炎の性質を考える上で大きな要素だと思います。

更年期周辺の女性の体質は・・・

次回『更年期の女性の体質と間質性膀胱炎の方の食事などの生活習慣アドバイスについて』

に続きます。