
妊活の知恵倉庫
2020-08-31 19:45:00
オリモノが少ない場合
排卵期でもオリモノシートが全く必要ないくらいほとんどオリモノが出ていない人もいます。
大事なのは外に出ているものではなく膣内ですので、膣内が正常なのにほとんど外に出ていない人も少なからずいますが、
オリモノが少なく、摩擦による性交痛を感じる場合は精子が泳ぐ川も干上がっている可能性大と考えられます。
この原因は、気(ホルモン)の巡りか感受性の問題、もしくは陰液が少ないことでオリモノが少ない状態が考えられます。
他の身体の症状を基に、気の問題か陰虚(水)の問題かを見極めてもいきますが、
陰虚症状には顔ののぼせ・手足の火照り・寝汗・不眠・強い喉の渇きなどが代表症状としてあり、
また舌に裂紋というヒビ割れが見られ、苔が一部、もしくは全部剥がれているなどの所見が見られます。
(↑は裂紋+++、無苔で鏡面舌であり、陰虚が極まっています)
この場合、基礎体温は体温過剰を抑える陰が不足しているために、平均して高い体温である傾向にあります。
陰虚の場合は、膠(にかわ)剤や地黄剤などを基に滋陰していきます。
血虚が悪化して陰虚となった場合は、鉄剤やタンパク質、当帰剤も合わせていきます。
気の問題でオリモノの出方が少ない場合は、気虚には気陰を補う生脈散や清暑益気湯、補中益気湯に滋陰剤などを併用し、
気滞が原因であれば気を巡らせる柴胡剤などを中心とした疎肝理気剤を使用し、ホルモンの感受性を正常にしていきます。
血瘀が強く、一部化熱などして陰虚している場合は活血しながら玄参・生地黄などを使用していくと良いでしょう。
オリモノが多くサラサラしている場合
西洋医学では卵管水腫の可能性があるオリモノの出方ですが、
東洋医学では体内に卵管水腫=湿邪と考え、また卵管水腫でなくても水の巡りが湿邪に阻まれている状態なので、
湿邪を除く漢方薬と飲食を見直すことで改善していきます。
湿邪の除き方は利水滲湿・燥湿・芳香化湿などの湿邪の性質に合わせた漢方薬を選んでいきます。
たかが水溜まり(湿邪)であっても、どうやってその水溜まりができたかによって使う方剤は変わってくるということです。
たまたま一時的に雨が大量に降って下水処理が間に合わず水が溜まったのであれば溜まった水をかき出すと良いでしょう。
しかし、下水場にごみが溜まっていてスムーズに排水処理ができない場合は、まず下水処理の場(リンパの流れ)を整えることが重要です。
また、身体の中でも濡れると良くない場所が湿邪により濡れてしまった場合、水は多くなくても乾かさなければいけません。
そんな時は乾かす漢方薬が必要です。
そのように同じ湿邪という括りであっても、去邪(悪いものを身体から追い出す)方法はその原因と体質に合わせていかなければいけません。
オリモノが多く粘質や匂いが強い場合
サラサラで多いオリモノは湿邪ですが、湿邪はリンパの巡りを停滞させる悪者となります。
すると流れるべき体温などのエネルギーがそこに溜まり化熱し、湿邪+熱→湿熱邪となり、
湿熱邪が発展すると、熱により水分が失われることで湿邪→痰邪となります。
喉が腫れて炎症が強い時に、喉の粘膜の潤いが濃くなって粘り気の強い痰となるように、
オリモノも粘っこく色濃く匂いが強くなるということです。
しかもこの痰邪は粘り気が強いことのイメージ通り、一度発展してしまうと症状の改善も頑固で治りは良くありません。
この時にサラサラオリモノの時に使用した去湿を目的とした利水剤を使用すると、
粘っこい痰邪がより水分を失い頑固にへばりつき巡りを悪化させてしまいます。
そんな時は袪痰剤を使用していきます。
痰邪であってもまだ水分がある痰邪の場合は半夏剤で乾かすことで痰を取っていくものもありますが、
失った水分を少し潤わせて取り除く軟堅散結の薬効のある複雑な方剤が必要になることもあります。
これも湿邪と同じで痰邪も質によって使用方剤が変わるというわけです。
フライパンにこびり付いた汚れや、排水溝のぬめりなどをイメージしましょう。
同じ汚れ(湿痰邪)でもその汚れの性質により使う洗剤によって汚れの取れ方が違い、
間違うと本体が傷ついてしまうことはわかるでしょう。
子宮や卵巣に汚れが付いているとそれが妊娠力を下げ、子宮頸がんリスクとなりますが、
その取り方も水毒だからイコール何でも水毒の薬は効く!といういうわけでもないのです。
万能の五苓散と聞くこともありますが、五苓散で邪が深くなる例もあるということです。
身体のお掃除は体内であり、粘膜に囲まれた場所ばかりなので、とてもデリケートです。
粘膜を考える時は目を考えてみましょう。
目は粘膜がむき出しでとてもデリケートということは想像しやすいことと思います。
特に頑固な痰邪の場合は、症状の動きも遅いですが、しっかりと地道に改善していかないと好転していきません。
また、単なる湿・痰邪だけでなく、湿熱・痰熱などの熱の度合いも絡むためより複雑です。
湿邪は元は水であり、陰陽の中でも陰邪にあたりますが、
熱邪は陽邪にあたり陰邪と陽邪は相反するもので、つまり湿熱はとても複雑です。
簡単に言えば冷えた性質の邪と熱い性質の邪が混ざり合っているため、
単純に温めたり冷やしたりすることが上手く働かず、温めつつ冷やすなどの薬効をもたらす部位による使い分けや
それぞれの量にも使い分けが必要でとても難しいです。
ですが、子宮頸がんリスクや妊娠率低下の大きな要因となってしまうので
オリモノの異常が見られる方は是非ご相談ください。
2020-08-28 18:00:00
前回
では、『オリモノの役割』と『オリモノの異常が招く妊娠力の低下と子宮頸がんリスク上昇について』をまとめました。
オリモノから妊娠力の低下やガンリスクが上がっているかもしれないと知ることはできても、
オリモノは他人と比べにくいため、自分がどの程度そのリスクがあるかを感じにくいものです。
ですので今回は、オリモノの質・量・匂い・色から異常を知るコツをまとめていきます。
オリモノの量の正常と異常のモノサシ
オリモノの量には個人差がありますが、
に書いているバイキンをやっつけるオリモノは常に出ていますが、外に漏れ出すほどは多くありません。
一方で排卵前後に妊娠力を上げる上で増加するオリモノはその増加によりオリモノシートが必要なほどに増えることが一般的です。
また、ホルモン変動に伴い、生理前にも少し増えることも正常の範囲内です。
つまり、一般的には排卵周辺及び生理前にだけオリモノシートを使用することが普通で、
生理時以外の時期にずっとオリモノシートをしていないと不安な場合はオリモノの量が多い可能性があります。
東洋医学ではオリモノ自体の湿痰邪が悪さをしているか、もしくはオリモノ分泌に関わる”気”に問題があると考えます。
また、常時はオリモノシートが必要ない方で、排卵期・生理前にオリモノシートが必要になる場合も、
トイレのたびに、もしくは1日最低2~3回オリモノシートを変えても陰部が痒みを起こす場合は
排卵期などのピンポイントでオリモノ量が多い可能性があります。
また、逆に普段もオリモノシートは要らず、排卵期であってもオリモノシートも要らず、増加を感じない場合もありますが、
オリモノは必ずしも外に出ていなくても良く、中が潤っていれば問題ないものですので、
大事なのはオリモノシートが必要かどうかではなく、性交時に摩擦による性交痛を感じるかどうかを目安としましょう。
オリモノシートの必要が無く、性交痛がある場合はオリモノの出方は少ないということです。
この場合は性交痛だけでなく、射精後も精子が泳ぐ川が枯渇傾向の可能性があります。
漢方の中では陰虚によりオリモノが枯渇しているか、もしくは気の問題でオリモノ分泌機能異常が生じていると考えます。
また普段はオリモノが多いのに性交痛がある場合は、摩擦によるものであればオリモノ分泌を調整する機能異常ですので
陰虚ではなく、自律神経とホルモン系に関わりの深い”気”にのみ問題があるでしょう。
(性交痛は必ずしもオリモノの多寡によらず、傷がある、性病などで炎症がある場合でも痛みが起こり得ますので、その場合はオリモノ量は関係ありません。)
オリモノの色・匂い
オリモノの主とされる分泌液自体は基本的には透明無色ですが、
実際に目にするものの標準的な色は半透明で少しクリームがかった色です。
このように色づいているものは、子宮内の老廃物です。
イメージでいうと耳の中の耳垢みたいなものが混ざって出てくることで色づきます。
老廃物が少なめな人は無色透明に近いですが、色づいていてもクリーム色程度であれば正常です。
また匂いは無臭に近い人もいますが、酢のような匂いやチーズ、ヨーグルトのような酸っぱい匂いと感じる人もいます。
これは膣内のバイキンをやっつけるために酸性に保つための乳酸が多く存在する為で、
むしろやや酸味のある方がバイキンから守る力が正常ということで何も問題ありません。
クリーム色でも色が濃く黄色味を帯び、酸味の匂いが強く痒みがある場合はカンジダ膣炎の疑い、東洋医学では湿熱傾向にあります。
無色透明でも量が多く、下腹部痛など起こす場合は卵管水腫の疑いがあり、東洋医学では湿邪と捉えます。
灰色っぽく匂いが海の腐敗臭、痒みが強ければ細菌が増えてしまっている疑いがあり、東洋医学では湿痰傾向にあります。
色が緑色がかっていて、匂いや痒みが強いが場合はトリコモナス膣炎や淋菌感染症の疑いがあります。
灼熱感や発熱なども起こることもあり、東洋医学では外邪の熱邪が強い状態と考えられます。
茶色いオリモノが出る場合は、血ではあるので不正出血の可能性もありますが新鮮な血ではなく、
スッキリ出きらなかった生理血などが老廃物として出ている可能性が高いです。
東洋医学的には血が出きらない気虚、または不正出血に起因する虚実の熱邪や瘀血などを考えます。
ピンクや鮮血のオリモノでは新しい出血であるため、子宮内膜が剥がれて不正出血となっているか、
膣内で傷や炎症が起きて出血となっています。
気虚、熱邪、瘀血、また出血による血虚などを考えます。
量が少なく、ピンク~赤~茶色などの色づきは無い場合も、鉄のような匂いがする場合はうっすらと血が混ざっているでしょう。
こうした出血は子宮頸がんや内膜症などの際にも見られるので、初めての不正出血時は病院で診てもらうことを勧めますが、
ほとんどは原因不明で経過観察で処置なしが多いので、
原因不明だけど症状を繰り返し治らず不安が大きくなっていく場合は漢方で身体の中から改善することが望ましいので
オリモノの質
基本的には水の様にサラサラではなく、少しトロみや粘り気があることが正常なオリモノです。
一般には排卵前後の伸びは10cmほど(手の親指から人差し指を伸ばしきるまで)伸びるまで切れない状態が良好と言われています。
あまりサラサラ水っぽい場合は卵管水腫が原因であることが多いです。
この卵管水腫は一度でもクラミジア感染症などになることで起こることが多いものです。
サラサラした水が多い為、水を整える”気”の働きを正常にし、湿痰邪が多い場合はそれを除去していきます。
オリモノがオカラ状にモロモロとする方もいるでしょう。
これはオリモノの水分が蒸発した状態であり、問題ない場合もありますが、カンジダ膣炎による炎症と菌増殖によることが多いです。
カンジダ菌自体は外邪ではありますが、常在菌ということもあり、体内の湿熱・痰熱の存在がカンジダ菌を増やす為、
湿熱・痰熱を除去することで繰り返すカンジダを治していくと良いです。
繰り返しになりますが、カンジダは皮膚上のも存在する常在菌(カビの仲間)であり、
保菌者と性行為をしないと遷らない他の性病と違い、性を伴わずにも起こるもので
5人に1人はカンジダ罹患歴があると言われています。
痒み
基本的に痒みは感染症による炎症症状です。
陰部に痒みを生じることはほとんどがカンジダ膣炎で、それ自体は常在菌なので妊娠力や子宮頸がんに関わりませんが、
感染症になりやすい体質自体は妊娠力低下や子宮頸がんリスクを上げる湿痰邪を身体に宿している状態なので見直すことが必要です。
カンジダは抗生剤の塗り薬ですぐに改善することが多いですが、
繰り返す場合は身体を見直す必要があるので是非こちらにご相談ください。(2度目
)

以上が正常なオリモノと異常なオリモノの違いです。
あまり気にしていなかった人も、これからは自分の身体(子宮頸がんリスク軽減)の為、
そして妊娠力を下げないためにオリモノの状態を観察してみましょう。
今度は、今回の分類にもそれぞれ書いたようにオリモノが悪さを表している状態に対する
漢方的な原因と治療法をまとめていきます。
2020-08-26 18:00:00
女性にとってみれば知っていて当たり前のオリモノ(帯下)。
男性はその存在もあまり知らないですが、本当にあなたもオリモノがどうあるべきか知っていますか?
存在は知ってはいてもあまり気にしていない人が多いように思うオリモノですが、
実はオリモノの質は妊娠力にも影響し得るほど妊活においても重要であり、
生きていく上でも子宮頸がんにおいても罹患リスクを上げるHPV(ヒトパピローマウイルス)増殖にも関わる、
身体においてとても重要な要素です。
オリモノの種類と役割
そもそもオリモノの種類と役割のことを知っていますか?
”膣から時々出てくる体液”や”排卵期や生理前に膣から出てくる液体”
くらいに思っている人も多いように思います。
それに間違いはありませんが、オリモノには大きく分けて4つの役割があります。
1つは”自浄作用”といって、膣内を酸性に保ちバイキンが入らないようにしている役割です。
妊娠中でもオリモノが増えることがありますが、これは膣内の防御を高め、赤ちゃんに影響しないようにするためです。
この自浄作用がしっかり働かないと、子宮頸がんの主な原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の増殖に繋がり、
細胞異形成になり、軽度から重度に移行し、その状態が長く続くと子宮頸がんとなってしまいます。
2つ目の役割は、老廃物の排泄です。
膣壁などの古くなった細胞や排泄しきれなかった分泌液の老廃物が排泄されます。
生理時にスッキリ排血できていない場合に、残ってしまった血が茶色いオリモノとして出る場合もこの老廃物除去の働きによるものです。
3つ目の役割は、妊活において重要な”精子が泳ぐための川”としての役割です。
さらに4つ目の役割も妊活においての重要であり、性交時の摩擦を軽減し、性交痛を軽減したり無くす働きがあります。
精子が卵子の元に泳ぐためのオリモノの条件
鮭が川を上ることができるのは、鮭自体に川を上る力があるからということもありますが、
”そこに川があるから”という前提があります。
川が干上がっていたらいくら元気な鮭でも産卵場所に泳ぎ登ることはできません。
精子においても同じで、精子がいくら元気でも膣内のオリモノの状態が悪く泳げる環境が整っていないと
卵子に出会うまで進むことができません。
また、オリモノの川はあっても、それが自浄するためのオリモノが主であると、
酸性は精子にとっても毒であるため、卵子の元へ泳ぎ切る前に死滅してしまうリスクが高まります。
更にいうと、精子はオリモノにある程度の粘度が無いと前に進めない為、
排卵周辺でオリモノの量と質が変わり、粘性を帯びてくることにも意味があるということです。
ということはオリモノの条件が整うことで、精子が卵子に出会うためのお膳立てができるということです。
東洋医学的にオリモノについて考える
排卵期に適度な粘性を帯びたオリモノ分泌が増えるのはホルモン(E2・LH・P4など)の働きによるものです。
西洋医学的にはホルモンの影響による増減と、その周囲の常在菌などによるオリモノの異臭化や色づき、質の変化に目を向けますが、
東洋医学的にはまずオリモノ分泌を司るホルモン、つまり”気”の状態と
気を伝達する上で関りの深い”血”・”水”、
そしてオリモノ自体は体液であり、そのものが”水”にもあたるため、
まとめると分泌調整に関わる気・血・水の状態と、オリモノ自体の水の状態を整えることで
オリモノに関係する妊娠力やガンリスクを軽減していきます。
実践:オリモノがほとんど出ない場合
排卵期でもオリモノシートが全く必要ないくらいほとんどオリモノが出ていない人もいます。
大事なのは外に出ているものではなく膣内ですので、膣内が正常なのにほとんど外に出ていない人も少なからずいますが、
オリモノが少なく、摩擦による性交痛を感じる場合は精子が泳ぐ川も干上がっている可能性大と考えられます。
この原因は、気(ホルモン)の巡りか感受性の問題、もしくは陰液が少ないことでオリモノが少ない状態が考えられます。
他の身体の症状を基に、気の問題か陰虚(水)の問題かを見極めてもいきますが、
陰虚症状には顔ののぼせ・手足の火照り・寝汗・不眠・強い喉の渇きなどが代表症状としてあり、
また舌に裂紋というヒビ割れが見られ、苔が一部、もしくは全部剥がれているなどの所見が見られます。
(↑は裂紋+++、無苔で鏡面舌であり、陰虚が極まっています)
この場合、基礎体温は体温過剰を抑える陰が不足しているために、平均して高い体温である傾向にあります。
陰虚の場合は、膠(にかわ)剤や地黄剤などを基に滋陰していきます。
血虚が悪化して陰虚となった場合は、鉄剤やタンパク質、当帰剤も合わせていきます。
気の問題でオリモノの出方が少ない場合は、気虚には気陰を補う生脈散や清暑益気湯、補中益気湯に滋陰剤などを併用し、
気滞が原因であれば気を巡らせる柴胡剤などを中心とした疎肝理気剤を使用し、ホルモンの感受性を正常にしていきます。
血瘀が強く、一部化熱などして陰虚している場合は活血しながら玄参・生地黄などを使用していくと良いでしょう。
今回はここまでです。
オリモノが少ない場合はこのような形で考えていきますが、
臨床的にはオリモノが多いことなどで妊娠力が落ちている場合が多いので、次回はそれについてまとめていきます。
2020-08-21 19:15:00
(この記事は約5分で読めます。難解度★★★)
今回は食事と妊活とお金にまつわる情報を書こうと思います。
食品の高値・安値
毎日の買い物の時に同じ店の中でさえ産地ごとに100g〇〇円と差があり、
色んなスーパーを比較するとさらに様々な価格帯のものを見かけると思います。
景気がそれほど良くなかったり、増税増税と税金ばかり取られていく中で安い方が財布に優しいのはわかりますが、
知らないことが招きうるリスクについて書いていきます(知らぬが仏と思うのであれば読むのを止めましょう)。
安さの理由
簡単なことですが、いかに安価に大量に作ることが出来るかによって、消費者側が安く買えるかが変わってきます。
例えば農産物は、日本よりも気候として有利な外国産の方が安かったり
牛肉はアメリカやオーストラリアなどの大量に飼育できる環境があることで大量生産し、国産よりも安くなっています。
気候や広大な大地などが理由で安くなっていることはとても理にかなっていて、
気候に合わないのに無理に作る国産よりも安くはあっても栄養などの面でも優れている可能性はあります。
しかし、現代ではこれまた科学の発展により野菜には農薬、また品種改良、
そして家畜には・・・
安価で大量生産されるには理由があるのです。
餌の質
飼育の上でお金がかかる大きな要素はエサ代と労働費です。
そのため、エサが安くなり、労働力が減るほどに消費者にとっての費用負担も減るということです。
つまり安価な肉は、育てられるうえでの餌は安価で質の悪いものが多くなり、
少しでも1匹からとれる肉を多くするためや脂肪分を増やすために大量に安い食料を与えられ、
労働力も軽減する上で、品質管理もずさんになってしまっているのが現状です。
価格が高い肉ほど餌の品質が良く、また食事量や運動量なども管理されているのです。
商品(肉)として出てきてしまうと、見た目で違いは判りませんが、
一つの目安が価格に現れているということです。
薬剤の問題
こと野菜であると、健康のために有機(オーガニック)栽培のものを買う健康志向な方が増えてきています。
それは野菜を育てる上で農薬を使うと見た目も良く、大量にまた手間が楽に育つのですが、
農薬は虫にとって毒ということは人にとっても毒で、摂取量が少なければ問題ありませんが、
口にする量が少ないに越したことはないということで、そういった動きが出ているということです。
一方で、家畜の場合は野菜ほど薬剤の危険性が認知されていないように思います。
野菜には農薬を使用するように、家畜には菌に罹患しないように抗生物質を使用しているのです。
普通、人の場合は免疫が落ちて菌に侵されてから抗生物質を使います。
日本ではウイルス性の風邪が主な割に、無駄に(ウイルスには効かない)抗生物質を服用する国で有名ですが、
それでも普段からの服用でなく、風邪に罹患してから服用しますよね。
抗生物質王国と言われる日本ですら日常的には口にしない抗生物質ですが、
そんな抗生物質を家畜には病気に関わらず餌に混ぜ摂取していることをご存知でしょうか。
抗生物質さえ与えておけば病気になりにくいことで生産率が上がり、
抗生物質入りの餌を食べた家畜ほど太る傾向にあり、取れる肉量も増えます。
ただ肉を生産するという面では魔法のような存在の抗生物質ですが、
日々口にする抗生物質は体内に貯蓄され、人が食べた時にもそれを摂取していることになります。
つまり消費者側からしたら肉と一緒に毒を摂取していることと同じです。
農薬を意識することは良いことだと思いますが、肉の中にも農薬に近い毒素が入っている危険性があるということです。
もちろん、抗生物質にだって使用制限もありますが、安い肉はつまりその使用制限ギリギリまでは使用しているということなんです。
制限内なら委員でないと思っても良いですが、ギリOKはギリアウトとのせめぎあいということです。
安い肉というとやはり外国産が多いですが、輸送費もかかるのに外国産が安いのはこういった裏があります。
アメリカでの抗生物質の消費量は、人間が20%に対し、家畜に対しては80%ほど使用しているとのことです。
いかに家畜に使われているかわかると思います。
日本も使用しているとはいえ、外国産程ではないということや
日本の中でも安い肉、高い肉などの差はそういったところから生じています。
味の違いもありますし、価格が飛びぬけて高い”霜降り”などの高級肉もありますが、
赤身にあれだけ脂肪分が混入することは普通に考えると変なことなのです。
これは脂身に美味しさを感じている方たちのブランド化により高騰化した例であり、
高いからといって体に良い肉ではない例で混乱を招きますが、
基本的にはスーパーで売っている中でも一番の安い物でなく、国産で少し高め、
かつ赤味が主なものがそういった毒素は少ないでしょう。
脂身の多いものは脂の質も悪く、また親油性の薬剤が脂肪と共に貯蓄されている可能性が高いのです。
赤身が多いということは食事量や運動が管理されている証拠です。
また、外食もファストフード店を始めとして、とても安価なお店が増えましたが
これまでの流れで安い理由についてはお察しですね。
時々であれば問題ないですが、外食が多い場合は安かろうの外食には気を付けてくださいね。
毒素といっても直接具合を悪くしたり、食べた瞬間に蕁麻疹が出るなどではなく、これも蓄積性の酸化ストレスとなるものですので
普段の食事の中で気を付けていくことが卵子や精子の負担を軽減することに繋がるでしょう。
ただ「安い方が財布に優しい」だけでなく、「身体に優しい」食事も意識してみましょう。
先でのサプリメントや病院での薬で体調管理をしないといけなくなる将来を考えると、
食事での多少の出費で自分を管理できた方が身体に優しいうえに結果的には安くつくかもしれません。
日々の多少の出費は、後々の不都合や健康を維持するための投資とも考えられます。
こう書くと、金持ちの発想と思う方もいるかもしれませんが、
お金がないからこそ、”安物買いの銭失い”のようにスーパーの高校に煽られ考えずに消費するのでなく
考えることで将来を見据えたコスパ(お金と健康と幸せ)の良い生活を送るきっかけとなるようにと思っております。
その努力は”妊娠”という命の誕生にも繋がりうるものなのです。
日々頑張るあなたに、大事な夫に、そして未来の我が子のために日々の少しの贅沢をしてみてはいかがですか?
2020-08-19 18:00:00
(この記事は約5分で読めます。難解度★★)
”むくみ”症状をキッカケに妊娠に繋がったHさんの例を書いていきます。
病院では”原因不明”と言われたHさん
私に子宝相談する前にすでに産婦人科に通っており、
そこでは一通り検査をした結果は問題は無く、
クロミフェンやレトロゾールを服用してのタイミング療法で8ヶ月も妊娠できないことで、
問題がないことが逆に「原因不明の不妊」となったことで、不安が強まりご相談に来られました。
問診表の記入を見ても生理痛や生理前後の症状などもほとんどなく、
生理周期や血の状態も塊や血の色、質の状態を伺う限りではそれほど問題ありませんでした。
本当に他のチェック項目は無かったですが、唯一生理3日前から足と下腹部がむくみを感じ始め、
生理中も続くが生理が終わると軽減していくという症状でした。
舌を見ると舌淵の歯痕は強めについており、柔らかい歯痕でなくクッキリとした歯痕で
舌の全体もボテッむくんでパンと張っていました。
舌色もむくみの為か、淡めな色合いで、舌裏は中央部がやや白抜けていて、その静脈が少し張って浮き出ていました。
舌表面についた舌苔の質は、やや厚めで白色で、根はある苔ですが乾燥はせず水分を含む質感でした。
湿痰邪が三焦に詰まっている典型的な舌の状態です。
舌の状態からも「これは湿痰邪が妊娠力を下げている原因だな」と考えられ、
それも張り具合から脾虚などでなく、少陽三焦経のリンパ空間に湿痰が詰まっている実タイプの湿痰がと見られますが、
生理に関わるところでむくみの自覚症状が変わるため、その状態をさらに掘りこんで聞いていきます。
すると、生理前のむくみは起床時も少し浮腫みはあるものの1日の中では1番マシで、
夕方になるほど強まり、押した痕が残るタイプでなく、パンと張った浮腫みとのことで、
生理直前になるとお腹周りもボテッとむくんでくるのかズボンが履きにくいと、
ただの「生理前後のむくみ」という症状から色んな情報を引き出すことができました。
また、生理初日~2日目は生理前よりは改善するものの、まだむくみは続き、
生理4~5日目の後半になるとスッキリしてくるとのことでした。
むくみに伴う重ダルさは感じないとのことです。
またむくみを感じやすい生理3日前~生理3日目ほどまでの間は、小便の回数が減っているような印象とのことでした。
湿痰邪(水毒)体質は卵巣に影響しやすい
ホルモン値・排卵は検査結果では問題ないものの、この体質では卵巣に湿痰邪が蔓延していることが予想されます。
排卵障害はないとのことなので、卵子の質が負担になっていたのでしょう。
その原因は脾・肺・腎などの虚ではなく、生理前以外の時も少陽三焦経に湿痰が詰まり気味ですが、
それが生理前にはより気の鬱滞で顕著になるという状態だと問診や舌の状態で読み取れました。
そこで”柴苓湯”をお出しすると生理前のむくみは改善していき、徐々に舌のむくみも改善していきました。
それと共に、舌の淡さが無くなり綺麗なピンク色になっていき、舌裏の白抜けも軽減、
また舌裏の静脈怒張も薄れ、張りも軽減していきました。
元々生理の血の状態は問題ないとのことでしたが、その内に生理の血がよりサラサラで鮮血色になり、血の量も増えたとのことでした。
つまり、三焦リンパ空間である卵巣の負担も軽減できましたが、
それと同時に湿痰邪を除くことで血流も改善し子宮内膜の状態改善にも繋がったということです。
また、自己排卵は出来ているようだったので、不妊治療でのクロミッドを連用していることは
元々湿痰邪が卵巣に負担をかけていることに輪をかけて卵巣の疲労の蓄積となるので、一時中止を勧めると
クロミッドなしの1周期目は生理周期が伸びて排卵が25日目(クロミッド時は15日目排卵)と遅れていました。
Hさんは生理周期が長くなったことにとても不安を感じていましたが、
「これは今までの疲労の蓄積によるもので、一時休ませて自分の力で排卵できるようになった時に排卵したため
クスリの力に頼っていた時よりも遅れましたが、これからは卵巣への負担が無くなったので大丈夫ですよ」とお伝えしたところ
安心したようで、しっかりと漢方を続ける中でご体調を見ていけました。
すると次の周期は元の29日周期(15日目排卵)に戻り、それからはクロミッドの力が無くても排卵しているのでクロミッドは無しで
こちらの伝えるタイミング指導で続けること7ヶ月目、妊娠陽性に至りました
妊娠中も漢方をしっかり飲んでいただくことで、妊娠後半に出やすい妊娠浮腫(むくみ)の負担もほとんどなく無事出産に至りました。
原因
Hさんの場合のむくみの原因としては、水分を多く摂るというよりは甘い物が好きで、
BMIは20を切るほどで痩せてはいたものの、甘味に湿痰邪がくっついて滞りとなっているようでした。
また、強い精神症状には至らないものの、緊張しやすい性格でもあり、三焦に湿痰邪を溜めやすい体質だったことも一因しています。
三焦領域は広く、湿痰邪は色んな悪者に変化し色々な不都合を生じますが、
この方の場合はむくみと不妊程度の軽いものだったので、逆に目につきにくかったとも思えます。
ですが、しっかりと舌を見て、また身体からの小さなサインであっても見逃さないことが、
命の誕生という奇跡を後押しする形となるのです。
こういった症例は、むくみがある人が全員柴苓湯を飲めば妊娠できる身体になるわけでなく、
水の湿によっては藿香正気散や香砂六君子湯、時にはタンポポ茶のこともありますし、
その人に合った化痰利湿剤を選択することが重要です。
参考までに
前回
前々回
では、むくみの性質からの原因と対策をまとめていますが、
湿痰邪は奥が深くプロでも難しいので、専門家に頼ることをお勧めします。