
妊活の知恵倉庫
2020-09-28 19:30:00
(この記事は約5分で読めます。難解度★★★★)
子宝相談にのっていると『子宮筋腫』『子宮内膜症』『子宮腺筋症』『チョコレート嚢胞』『多嚢胞性卵巣症候群』などの異常を抱えている人の多さに驚きます。
子宮筋腫は4~5人に1人と言われるほどで、気が付いていない人でも体内にある可能性もあります。
まずはそれらが妊活にどういった影響を与えるのかをまとめ、その後にそれぞれの原因と対策をまとめていきます。
子宮筋腫
子宝相談に乗ってからはかなり見慣れたのであまり気になりませんが、
始めは筋”腫”とあるので”腫瘍”のイメージが頭から離れませんでしたが、
ほとんどは良性のものなので、もしあってもそれほど気にするものではありません。
(もちろんないのが正常ではありますが)
子宮筋腫と妊活で大事なのは子宮筋腫の位置と大きさです。
上記にあるように、粘膜下の筋腫は着床障害を生むなどして妊娠率を低下させることはありますが、
このタイプはそれほど多くはありません。
筋層内筋腫、特に漿膜下筋腫が多い印象です。
これは漿膜下筋腫は自覚症状に乏しいため、発見が遅れる為で、
他の症状では不正出血や生理痛などの負担が大きい為に妊活前から治療をしていることが多いからかもしれません。
このように、ほぼ無症状でも筋腫が形成されていることも少なくありません。
その場合は、妊娠を妨げるというよりは、妊娠中の胎児や出産時に邪魔になることがあり、
特に妊娠初期は胎児の成長と共に大きくなってしまうこともある為、
もし子宮筋腫があると言われたことがある人は、
「位置は大丈夫なのか」
「今は大丈夫でもある程度大きくなっても問題ないのか」
をしっかりと確認しましょう。
妊娠してから邪魔になって、胎児の成長を阻むこともあるので、
状況によっては先に手術で取ってから妊活しましょう。
手術をしたらその前後に要する時間が勿体ない、などで先延ばしする方もいますが、
筋腫は妊娠初期に2~3cmくらい大きくなることはザラであり、
妊娠してから取り除くのはほぼ不可能なので、しっかりと後先を考えるようにしましょう。
原因
家族性もあることも多く、一度できたら何個かできる人も多い為、
体質的に出来やすいなどと判断するくらいで、現代医学では原因はわかっていません。
しかし、東洋医学で考えると、子宮筋腫は明らかな湿痰を根本とする積聚です。
分かりやすく言うと、消化吸収排泄仕切れない体内の老廃物が集まったものです。
漢方ではそれを湿痰邪と表現しますが、元はむくみなどのような動きの軽い湿邪だったものが蓄積し、悪化し、痰化することで徐々に形成されていきます。
大きさなどにもよりますが、できてしまうと正直手術で取り除く方が早いですが、
手術で取り除いても同じ生活を繰り返すと同じ要因は身体に残っているため、また出来てしまいます。
今までできていなくても、また手術で取ってもこれ以上できないようにするために、
また、筋腫があっても大きさとして邪魔ではない為、手術はせず、でも大きくならないようにするために
湿痰邪を駆逐することが重要となります。
まずできることは、運動と食事により、これ以上の原因を作らないこと。
ですが、それらだけだと、一度できた湿痰邪は無くなりません。
一度筋腫ができてしまうと、体内に湿痰邪が除去できても、赤ちゃんや内膜を育むホルモンの影響で筋腫も育ってしまいます。
そこは生活環境を整えるだけでなく、漢方の力で一度形成された筋腫(積聚)を大きくせず、
少しでも解毒して小さくしていくことが重要です。
そうすると、子宮筋腫にはどの漢方薬が良いのか?
と聞きたがる人が多いですが、それはホルモンバランスも人それぞれであり、
ホルモンの多寡だけでなく、ホルモンの感受性、内臓脂肪(湿痰邪)の状態なども人それぞれなので
その日とのそれらの状態に合わせた化痰利湿薬を服用する必要があり、
『万人の筋腫にこの漢方が効く!』というものはありません。
一部の例では半夏剤や檳榔子剤、海藻剤や栝楼などを使用しますが、その組み合わせはその人に合わせていかなければいけません。
子宮内膜症
子宮内膜症もとても多いです。
子宮内膜症は生殖器周辺に出来ることが多いですが、極稀なケースでは肺に子宮内膜ができた例もあるくらい
多様な部位に生じることがあります。
子宮内膜症であるとそれは直接不妊の原因となることがあります。
本来の子宮内膜形成に使われるべき血がそちらに奪われ、子宮内の内膜は薄くなったり、
子宮内膜ができたところが色んな臓器の隙間に癒着して臓器の形に歪みを生じることで妊娠率を・・・次回に続きます。
2020-09-23 19:00:00
妊活していると
他の方の妊娠・出産報告が心に刺さったり
快くない感情で襲われたりすることがあると思います。
ですが、その後にそんな感情になってしまった自分を振り返って
自分を嫌いになったりなどすることも多いことでしょう。
そう感じるだけ、その人の心は清いんだと思います。
自分の心の邪悪が嫌いになるということは清さが邪悪を嫌っているのです。
人は思考が複雑な生き物で、
しかも時にホルモンのバランスによりそれは感情に影響し
本来は思っていもしない気持ちや感情に囚われてしまうこともあります。
また、そういう感情が強いほど、未来の自分の赤ちゃんのことを想っているんだと思います。
想いが強いからこそ、隣の芝生の青さが綺麗に見えすぎてしまうだけなんです。
本来喜ばしい報告なのに、そういった黒い感情を持ってしまうと
後でその感情を持った自分を嫌いに思い、
嫉妬で傷つき、嫉妬した自分を嫌いになって傷つき、二重三重の負のスパイラルに陥ってしまいます。
嫉妬した自分は嫌いになったり、卑下に思うのでなく、
褒めてあげましょう。
それだけ赤ちゃんを愛する心を持っている証拠であり、
それだけ赤ちゃんに尽くしている証拠でもあります。
スピリチュアルな考えで妊娠するとは思っていない現実主義なので、
「想っていれば、赤ちゃんの方から訪れる」
なんてことは全く思っていませんが、
自分を傷つけてしまうと気(ホルモンバランス)が乱れ、
卵胞の成長や子宮内膜の成長に影響することは確実にあります。
これからは、妬む自分に気が付いたら、その感情の分頑張ってきたんだ!と認識して、
頑張っている自分を褒めましょう。
時には妊活の為に控えていた甘い物やお酒、夜更かしを一時的にだけですが解放させて甘えさせても良いでしょう。
(一時の甘えが慢性的な甘えに繋がらないようにコントロールしないといけませんが)
もし自分だけでそういった”自分を甘やかすコントロール”が上手くいかなかったり、
自分だけで嫉妬した自分を褒められず、ネガティブな感情から抜け出せずツラい場合はご相談ください。
子宝カウンセリングすることで、気持ちの整理がつき、妊娠出来ることもあります。
もちろん、そこに漢方での身体作りや心の負担を軽減することを併用したら一番良いですが、
身体作りよりも不妊治療や妊活に対しての心の負担が強いことで心が壊れてしまいそうな方は
漢方よりなにより、お話しましょう。
一番はこのブログを読んだだけで気持ちの整理がついてくれたらと思いますが、
気持ちの負担を軽減するには、精神安定剤ではなく、人との繋がりだと私は思っています。
心を犠牲にする妊活ではなく、心を満たしていく妊活を支援いたします。
2020-09-18 19:00:00
つい先日妊娠報告をいただいた方ですので、出産はまだまだですが、
妊娠に至るには不妊治療だけでないということが分かりやすい例ですので、まとめていきます。
これまでの状態
・20代後半(他の所見からも腎虚無し)
・学生のころから生理不順
・ストレス↑↑で生理は遅れ、ひどいときは3ヶ月来なかった
・ひどいときに調べたホルモン値はLH>FSHでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断
不妊治療をしてから
・不妊治療歴7ヶ月(クロミッド6周期後、現在レトロゾールによる排卵誘発失敗~リセット中)
クロミッドでは生理周期が30日で安定し、排卵もしているが、7周期以上続けても可能性は伸びないので7周期目から別の排卵誘発剤であるレトロゾールに変更される
が、レトロゾール(1錠/日)に変えた周期では内診の結果卵胞が育っていないことがわかり、プロゲテポー注射によりリセットし、生理を待っている
生理が来たらレトロゾールを1日2錠に増やし、その時から人工授精にすると言われているが、不妊治療を半年続けても妊娠に近づけているどころか遠ざかっているように感じた不安から、子宝相談を依頼される
他、所見
・顔は赤くなりやすく(特に緊張時)、顔はのぼせやすいが、脚は冷えており、足先はより冷たい(上熱下寒)
・生理前2日前から頭痛(コメカミで脈痛)が出る
・生理痛は引痛とシクシクする地味な痛みの混合
・経血はやや暗めから鮮血で血塊は10円玉大で年齢とともに増えている傾向
・クロミッドの服用で経血量変わらず、血塊の大きさ・量に変化なし
・クロミッド服用による内膜薄くなる、他頭痛などの症状なし
・排卵期のオリモノ増加に問題なく、陰部かゆみ無
・身体は固い
・くすぐったがり
・右脈はやや細く弦で数(速い)で左脈はやや短脈傾向、左右ともに脈力5~6割(弱)
・舌苔は薄白だが、舌辺は無苔で舌色は舌横は淡が舌先は赤く少し茸状乳頭軽度突出
・歯痕は軽度、静脈怒張は太さ・張り・色すべて強くない、舌の震えあり
・BBT(基礎体温は)低温期36.5度とやや高め傾向、高温期との高低差問題なし
考察と漢方薬
PCOSなので卵巣に水(リンパ)に問題ありと考えたが、舌苔や舌肉からは水の停滞はあまり見られない。
相談中も時折顔が赤くなることが印象的で、脈質や身体の固さ、くすぐったがり、生理前のコメカミ痛いなどから気鬱化火があり、ややその火に煽られ於血までいかないが血の巡りの悪さもあると考えた
が、その気鬱の元は不及からきているため、まず逍遙散と牡丹皮製剤で根の気鬱を取りながら血の熱を取りつつ血行を巡らせるように組み合わせた。
経過
通院の中でプロゲテポー注射の後来るはずの生理が来なかった。
プロゲデポー注射ではだめだったので、プロゲニンデポーを注射される。
その結果、やっと生理が来るが、出血量はかなり少なくなる。
生理痛などはほとんどなく、生理前の頭痛もなかった。
脈は脈径が細→普通になり、弦もあるものの張りは軽減する。
脈力も5~6割→8割に改善。
舌は淡さは改善するものの、やや前よりも紫色が濃くなる。
舌の震えはなくなる。
考察→気鬱環境とそれによる血行不良は改善している。
が、それまでに動きにくかった血が動き始め、舌色は一時的な紫色を呈しているが、同じくものを続ける中で様子を見ていくということで同様にお出しする。
また、クロミッドを6周期、そしてレトロゾールを1周期でうまくいかず、注射での生理誘発も重なったので、身体全体の状態は整う方向にあるが、連続したホルモン剤の使用により卵巣は疲れているとお伝え。
病院に行ってもいいが、病院の提案するレトロゾール増量を続けてせず、休む周期を作った方が良いと伝える。
が、次周期、やはり病院でレトロゾールを2錠に増やし人工授精する形で服用を始めていた。
しかし、1錠の時と同じで卵胞が成長せず、今回は初めからプロゲニンデポーを注射され、リセットされる。
レトロゾールを増やした時点で、高温期にはなっていないのに上半身がカッカッ異常な暑さが続くようになる。
プロゲニンデポーを注射するとよりその傾向が強まってしまう。
手足煩熱、寝汗症状も強くなり、ホルモン剤の過剰による陰虚火旺が起こってしまう。
舌は紫色もなくなり、明るくピンク色になり、脈も良好で身体全体の状態は整いつつあるが、卵巣だけ疲れ切っているため、本来の妊娠力を発揮できていない。
本来の妊娠力どころか、卵子が成長せず、妊娠率はゼロの状態が続いているので、今回こそ休ませるべきと伝える。
また処方は陰虚火旺に合わせ、逍遙散に知檗地黄丸を加味、またそれを強化するため亀板も加味してお出しする。
→プロゲニンデポーにより生理は来るが、生理中~生理後もカッカッと暑い状況は続く。
漢方薬は同じで、ホルモン剤はお休みし、身体作りしている間に風疹の抗体を打つことになる。
風疹の抗体を打ってからは大事を取り、2ヶ月避妊することが基本なので、それに従う。
ホルモン剤の使用をやめ、卵巣は疲労しているであろうから生理周期は遅れると予想していたが、その周期、15日周期で高温期となる。
前2周期はホルモン剤を使用しても排卵せず高温期にならなかったが、今回はホルモン剤無しで漢方のみで綺麗な2層性で日数も問題ない状態となる。
避妊している旨を確認後、同様のお薬を出して身体作りを続けると、身体の暑さは落ち着き、寝汗もなくなる。
また生理が来ると思った頃にご連絡
「妊娠陽性の結果が出ました・・・」
・・・?
初めは排卵検査薬の陽性かと思いました。
避妊していると言っていたので、妊娠陽性はうれしい限りですが、混乱してしまいました。
風疹ワクチンを打ってからすぐに妊娠したことに関しては、これから妊娠中で胎児に異常がないかチェックしながらというのは必須になりますが、病院の判断では同じような例はたくさんあるが、異常の出た胎児はいなかったとのことで、妊娠は問題なく継続しています。
ということで、現在も妊娠中で、まだまだ妊娠は始まったばかりなので安心できませんが、ホルモン剤を8周期使用し続けても排卵すらしなくなり、生理も来なくなっていた状態が、漢方を服用するだけで無事排卵でき、妊娠にまで至りました。
ご年齢としては若いので、腎(生殖器)の問題はなかったのですが、逆にホルモン剤に過敏で卵巣が疲れてしまったことが妊娠を遠ざけていました。
それを整える漢方も服用するわけでもなければ、やや甘いものを中心な食事になったり、夜更かししたりとその状態を悪くするようなことも多々しており、そういったアドバイスも含め、身体の状態が20代らしいものと戻ってくれたのです。
病院だけでは、レトロゾール×2/日でダメだったので、体外受精時に使用する注射剤での排卵誘発剤へ移行し、もっと卵巣刺激する予定だったのことで恐ろしいばかりです。
病院でうまくいかなければ基本的に薬が増えていくのが一般的ですが、薬は増やすほどに卵巣の負担となり妊娠率が落ちる結果となることも知っておきましょう。
しかし、ただ休むだけでなく、やはり生活や漢方薬によって卵巣の環境を整えないと、休んで再開してもまだ疲れていて上手く妊娠できないという例もあります。
排卵できない、卵胞の成長が止まるなどなく、成長して排卵していても、その卵は卵巣の連続刺激により質が落ちて妊娠に至れない状態になっているかもしれません。
続けても妊娠に至れない、妊娠に近づいていつ気がしない場合は、卵巣の過剰疲労は一気に卵巣年齢を高齢化する原因ともなるので、今だけでなく人生においての妊活の負担になる可能性もあると考え、卵巣を労わる妊活を心がけましょう。
ご相談により、あなたの体質に合ったあなただけの子宝漢方をご提供し、卵巣・子宮を整え、あなたの身体が赤ちゃんの住み良い身体となるようにご支援いたしますので、ぜひご相談くださいませ。
2020-09-16 19:30:00
言っている間に新総理が誕生しましたね

不妊治療に関わらず、菅首相はこれからの日本にどんな功罪をもたらすか楽しみです。
ということで総裁選で盛り上がった不妊治療支援の続きです。
不妊治療支援賛成記事↓
支援が強化された後の体外受精・顕微授精のメリットと現実↓
では不妊治療支援がもたらすメリットを中心にまとめていきましたが、
やはり物事の裏に必ずあるデメリットも考慮すべきです。
国にかかる費用面の負担などはもちろんデメリットですが専門ではないのでわかりません。
専門は東洋医学の面で妊活・不妊治療ですので、その視点からの不妊治療支援のデメリットをまとめていきます。
不妊治療推進のデメリット
一番の懸念は
『安易にホルモン剤を多用することで、卵巣に負荷をかけすぎて出生率が落ちる』
という点です。
で書いたように、ART自体の妊娠率は金額に見合うほど高くありません。
あくまでART(体外受精・顕微授精)のメリットは妊娠率の高さにあるのでなく、
受精障害・着床障害・受精してからの成長不良などを可視化することにあります。
問題が見えても同じ方法でARTを続けることはそのメリットを活かしきれず、
むしろ何もせずに不妊治療を繰り返すほどに卵巣は疲れ、老化し、妊娠率は落ちる一方です。
不妊治療支援が強化されるとその傾向がより強まってしまう、というのが私の考える最大の懸念です。
費用に余裕がある夫婦とない夫婦の例
費用面に苦が無い夫婦と工面が難しい夫婦のどちらの子宝相談にのることは多いですが、
金銭面で無理がない人の方が費用面の懸念よりも年齢などによる焦りが強く、
不妊治療を立て続けに行うことが多くなる傾向にあります。
一方で費用面の負担が大きい夫婦でも焦りは強いですが、
回数を多くできないこともあり、元から回数を絞ったり、1回1回を大事にしていく傾向にあります。
そうした結果、当薬局でのそれぞれの夫婦の出生率を平均して比べると
回数を絞って1回1回身体作りを行った夫婦に方が出生率が上回っていました。
これからわかることは、
ホルモン剤での卵巣刺激は連続する程に卵巣が疲れ、結果から遠ざかってしまうことがあります。
西洋医学での卵巣刺激は数は増やせるものの、質は上げられない為、
「数撃ちゃ当たる」式で採卵数を増やして当たりを引くまで引く方法が一般的です。
理屈はわかりますが、現実では高刺激が休みなく繰り返すほど、次の周期に卵巣は疲労を持ちこしてしまいます。
すると不妊治療を続けるほどに卵巣のパフォーマンスは落ちることで
卵子の質は落ちてしまい、数も少なく、卵胞は多くても中が空っぽの空胞が増えるなども増えてきます。
薬は増えて採卵回数だけは増えていっても、移殖胚が得られなかったり受精卵の質が改善しないなどで
移殖するという舞台にすら立てない悪循環が起こっていることも少なくありません。
逆に金銭面の負担がある方の方が、連続した卵巣刺激を行わず、採卵周期に向けた身体作りを行うことが多く、
その為に採卵数こそ少なくても1つ1つの質が高くなることで妊娠~出産に至る出生率は高くなったと考えられます。
どれだけ採れてもそれは結局妊娠・出産に至る質の良い受精卵を厳選する為だけですので、
数重視の不妊治療だけでなく、質を考慮した身体作りを行うことも重要といった例です。
身体作りを併用すること
1回50~70万円するARTの費用が例えば1~5万円ほどでできるようになると、
安易に多く回数をこなした方が妊娠率が上がると思い、連続して卵巣刺激する例は絶対に増えてくるでしょう。
↑図にあるように、日本は不妊治療大国で、件数はダントツの1位ですが、逆に出生率はダントツ最下位です。
この原因は技術にはなく、日本の不妊治療が高齢な傾向にあるということと
同じ人が連続して複数回採卵し、卵巣を休ませない傾向にあるためです。
日本人は他国に比べ仕事時間も長く、休息が少ない傾向にありますが、
その国民性が不妊治療にも色濃く反映されているようです。
しかもそれは良い方向へ働いていないですが、
費用の軽減により歯止めが効かなくなるとより悪い結果に繋がりかねません。
デメリットを活かす
ここで掲げるデメリットとは費用面の負担が無くなり休みなく不妊治療することで卵巣を傷めてしまうということにあるので、
不妊治療者の頭にそういった意識ができないと大変なことになってしまいます。
過度に最先端の現代医学に頼るのでなく、上手に使っていければ良いのです。
そこに臓腑弁証や気血津液弁証で得られた東洋医学での情報を組み合わせ
身体の中から妊娠力を下げている原因にアプローチする漢方薬や鍼灸を行うと自ずと幸せは近づいてくるでしょう。
つまり大事なのは、ARTを簡易に行うことで見えてくる身体の問題を
どうやって妊娠できる身体作りに活かすのか、ということでしょう。
不妊治療を行っている人へ伝えたいこと
仕事などでの疲労やストレスで自分の身体を傷めることは自分自身に返ってくるだけの自己責任ですが、
赤ちゃんは自分の意思で卵巣環境や子宮環境に負担をかけているわけではありません。
これからの妊活は、赤ちゃん目線で自分の生殖器への負担を少しでも軽減することを意識してみませんか?
例え痛みを感じなくても卵巣は刺激を受け続けることで疲れているんです。
運動や食生活を見直すことができないのであれば、漢方の力に頼ってください。
運動や食生活を見直しても上手くいかない場合は、漢方で中から自分に合った体質改善をしないといけない身体かもしれません。
卵巣年齢が高いとショックを受けることは当然だと思いますが、
その要因を作っているのは自分かもしれません。
費用面の懸念も大事ですが、卵巣を労わることも考えていきましょう。
それはARTだけでなく、タイミング療法や人工授精においての排卵促進剤でも同じく卵巣に疲労は溜まります。
費用面の負担がない方も、私がブレーキ役となることで無事に妊娠に至った例もあります。
そういったコントロールは本来は医師がすべきですが、
身体の状態を考慮せずマニュアルに沿うのみで相談も満足にできないところが多いので、
セカンドオピニオンとしてのご相談も受けております。
不妊治療を繰り返す中でなかなか上手くいかないのであれば、
ただ卵巣を刺激したり休ませるのでなく、卵巣・子宮の環境を整えることが必要な身体なのかもしれません。
その場合、休むだけでは卵巣は整いません。
漢方の力で内面から卵巣環境を整えることや食事・運動を見直していかなければいけません。
そういった身体作りは気力も体力も時間もお金もかかるかもしれんが、
命の誕生に確かに近づけるものです。
やろうと思っていてもやらないままでも良いのであれば、無理にとは言いませんが、
たった1度の人生、後悔のない選択をするために、いっぱい悩みましょう。
悩むことはツラいですが、先の幸せに繋がるために必要なことも多いと思います。
菅首相になったことで不妊治療支援がどうなるかはわかりませんが、
こういったことをキッカケに、薬で卵巣に無理をさせるだけでなく
妊娠できる身体作りをしていく意識が妊活者に根付くように
どんな形でも何度でも繰り返し話題になってくれたらと思います。
全ては子供を望む皆様が幸せを掴み、
そして少子化の問題も解決するために・・・
2020-09-12 16:00:00
総裁選に感化されて走り書いた
の続きです。
(今更ですが、体外受精・顕微授精はARTと言うので、以後ARTと表記します。)
ARTの現実
ARTは最先端の技術であることと1回の金額が50~70万円かかるということから
ARTの妊娠率はそれまでの治療法に比べ、激増すると思われがちですが、現実的な妊娠率はご存知でしょうか?
実際は日本産科婦人科学会の発表によると↓(下記は参考リンク)
2017年の1年間で448,210治療周期のARTが行われ、
このうち生産分娩にまで至った治療周期は52,997周期(11.8%)だったとのことです。
つまり、ARTを9回やって1回出産できるという確率になりますが、この数値はイメージと一致していましたか?
もちろんこの確率は全年齢を対象としたもので、年齢によって大きく違うところもありますが、
↑グラフから、青はARTによる妊娠率で赤は全治療による妊娠率なので、
ARTを介することで、大まかには各年齢において2倍に届かないくらいの妊娠率になるという結果のようです。
タイミング療法や人工授精は1周期当たり数万円の費用となり、
ARTは1周期当たり50~70万円ほどとなると考えると十倍以上の費用負担となります。
つまりコスパ(費用対妊娠率)で考えてしまうと、10倍のお金をかけても確率は2倍程度の上昇ということで
タイミング療法・人工授精>>ARTとなってしまいます。
全ての不妊治療をまとめて計算してしまうとこうなりますが、
ARTをしなかったら生まれない命もあるということは忘れないでください。
つまり、本当に子供が欲しいのであれば、単純なコスパだけでは語れないということです。
そうはいっても費用面の負担も大きいのは事実なので、
このARTのコスパが人工授精レベルにまでになるように助成金を組み込む形が望ましいのではないかと思います。
特にARTにおいての妊娠率が40%↑である20代~30代前半の方が
もっと気軽にARTできれば、不妊治療期間を短くして出産数を増やすことができるのではないかと思います。
コスパに脱線しましたが、ここで話を戻すと
ARTってスゴイことをしているようで、妊娠率上昇のメリットは思っているほどでもないということを知っていただきたいのです。
ARTの最大のメリット
最大のメリットは「精子と卵子が確実に出会うこと」であり、
そのことで、より不妊の原因を追究できるということにあります。
現代医学のホルモン剤などによる卵巣刺激などは、採卵する卵子の数は増やせますが、
意図的に卵子の質を高める方法は見つかっていません。
一方で、東洋医学では妊娠率低下している原因は腎虚(生殖機能の低下)や
血虚、または瘀血によって血の巡りが悪いことを主に考えていきますが、
残念ながらそれらは現代医学で証明できるものではありません
タイミングや人工授精だと、いくら身体作りや不妊治療が完璧でも、
精子と卵子が出逢えていない為に妊娠に至らないということは少なくありません。
しかし、ARTではその問題が省かれ、
・受精できるかどうか
・受精後に移殖できるまでに成長するか
・移殖後着床できるか
・着床後の成長はどうか
受精状態がクリアになることで、これらの点に絞ることができます。
つまり、ARTのメリットは卵子と精子、そして子宮内膜の状態に問題を絞ることができるという点にあると思います。
成果が上がらない時は漢方の出番
人の手によって受精をさせても、そこからが問題なのであれば、
一般には薬の量を増やしたり、ART回数を増やすなど、量で責めることが多いのが不妊治療ですが、
ARTをやみくもに繰り返すのは得策ではありません。
受精しても育ちが悪い、育たない、質が悪い場合はむしろARTを繰り返すことで
卵子を育てる卵巣が疲れ、治療を続けるほどに結果が離れていく事態にもなってしまいます。
そんな時は、ARTをごり押しするのでなく、精子と卵子の質を上げる身体作りからしていかなければなりません。
それは食事や運動、睡眠、ストレス管理などで改善していくのですが、
その点で上手くコントロールできない場合には漢方の力が活きてくるのです。
我が子の命を育むためには、現代の中心である西洋医学にばかり偏るのでなく、
東洋医学・西洋医学の互いのメリットを上手く使い分けることで一番の妊娠力を高めることが一番だと考えています。
数は西洋医学での卵胞刺激、質は東洋医学での身体作りをすると、
繰り返しARTをしなくても妊娠に辿り着けるでしょう。
繰り返しARTをしなくても妊娠に辿り着けるでしょう。
「ARTにお金がかかるから身体作りにお金をかけられない」
と言われて、身体作りに対する漢方薬などをケチったり、服用を止めるケースも経験しています。
これは何とも伝えにくいですが、正直とてももったいないです。
大体そういった方は、なかなかうまくいかず、ARTを繰り返すことでむしろ総合的な費用が莫大にかかってしまうケールの方が多いように思います。
漢方でも初めはお金がかかりますが、十分な身体作りができることで、平均したART回数が少なく妊娠に至り、
長い目で見た場合の節約にもなっています。
ARTにお金がかかるからこそ、1回1回のARTを大事にして、できる限り可能性を伸ばさないといけないと、私は思います。
でないと、可能性が低い中でARTを繰り返し、採卵のたびに卵巣は疲れ、身体作りからは遠ざかり
費用と時間と身体を消耗するだけで何も得られず、心も荒んでしまうでしょう。
そんな方を多く見てきています。
一時的な金額が負担になることはわかりますが、
身体作りを一度挟むだけでそれ以降のARTなどの不妊治療効果が劇的に良くなり、
精神的にも妊娠に近づけた結果から前向きになり、もちろんそれは妊娠の近道となり、結果に繋がるでしょう。
西洋医学が全てのように思えると思いますが、
妊娠するのはホルモン剤によるものでなく、あくまで母体のあなたの状態が大切なのです。
今一度、妊娠できる身体作りを意識して妊活してみてはいかがでしょうか?