妊活の知恵倉庫
切診は”脈診”と”腹診”についてまとめましたので、切診の残りの”触診”と”切穴”についてまとめていきます。
患部を触ることで身体を知る
皮膚病や痛みなどの場合は、その患部を触ることで情報を得る方法もあります。
分かりやすいのは患部を触った時に熱を持っているか、冷えているかを参考にしたり、患部を圧迫した時に痛みは改善するのか、または悪化するのか、そして表面の肌質はしっとり潤っているのか、自汗傾向にあるのか、鮫肌の様にざらざらとしているのかなどを参考にしていきます。
ただし、肌の寒熱においては、肌が冷えているからといって体の中が冷えているとは限らず、むしろ身体の陽気が中で籠って熱くなっているために肌は冷えていることもあります。
例えば、家でストーブをつけていても、ストーブの吹き出し口にタオルがかかっていた場合、タオルだけ過剰に熱せられ火事の危険性さえありますが、それにより熱エネルギーはさえぎられるために部屋は全く温まらず寒いといったような寒熱のムラを生じている状態です。
冷えを感じる女性は多いですが、そのほとんどの方は「自分は熱を生み出す力が無くて冷えている」と思いがちですが、臨床では一部で熱が滞って冷えを感じる部位まで届かず、中には熱が籠っている場合が多く見られます。
触ったり按じると症状が楽になる場合は”虚”がベースで、逆に触ったり按じると症状が強くなる場合は”実”が主体です。
これは生理痛の時にお腹をさすると楽になるかどうかにも関わってきます。
また、むくみなどは圧迫して手を離した時に、すぐに戻る張りがあるむくみは実腫、手を離しても凹んだままのむくみは虚腫と考えます。
また肌質が自汗(暑くないのに汗ばむ)傾向があれば衛気虚、肌が乾燥していれば血虚、ザラツキが強ければ瘀血などを意識していきます。
皮膚病には多用しますが、妊活では皮膚は患部でない為、多くの場合はそれほど参考にしていませんが、脈を取る際に手が極度に冷たかったり、手のひらに熱が籠っていたり、汗ばんでいたり、手や手の指の乾燥度合いなどは参考にしていることがあります。
あくまでその状態と子宮の状態を直結して考えるわけでなく、子宮に影響するほど全身症状が強いかどうかなどを計るために見ています。
切穴(・背診)
身体中には”経絡”と呼ばれる気・血・水などが通る道が存在します。
その道は常に何の問題もなくスムーズに流れているわけではなく、外邪や気・血・水の異常、または臓腑の状態によって、滞ったり空虚になりやすい場所が出てきます。
それが経穴(ツボ)です。
そして症状に悩んでいる時に、その症状に関係する経穴を”鍼”や”お灸”を使って整えることで症状が改善できる、それが”鍼灸治療”です。
(なぜお灸は『お』を付けるのに鍼には『お』を付けないのかは謎です)
それを逆手にとり、症状が出ていなくても逆に経穴の反応を見ることで身体の声を聴く、それが”切穴”です。(背診は同じように経穴の反応も見ますが、他にも筋肉など背中の状態を総合的に診る方法です)
私は経穴の知識は無いこともないですが鍼灸師の資格は無く、臨床においては全く使用していませんので、臨床例は書きませんが、経穴から情報を得ることは東洋医学にとってはとても有用なものです。
舌にも脈にも問診にも表れていないサインが、経穴の反応のみに出ているパターンも少なからずあります。
しかも前回まとめた腹診のように触らないで各経穴から情報を得ることはほぼ無理であり、他に代えることができない診察方法です。
以前は鍼灸師の方とタッグを組んで情報共有をすることで参考としていたケースもありました。
今は舌診と問診の技術が上がったことなどにより、鍼灸師とのタッグも行っていませんが、身体の状態が複雑で難しいケースでは必要になることもあるかもしれません。
その時はまた相談者が一番幸せになれる方法を考えていこうと思います。
切診、おしまい。
四診はあとは聞診を残すのみです。
最近相談がより忙しく、ブログ更新頻度は落ちていますが、書ける時にはしっかり書いていきます。
四診はかなり東洋医学に寄った話でしたが、四診をまとめ終えましたら2019年に相談し始めた方が今年に入ってからの妊娠報告が増えていますので、それも含め、また身近で分かりやすい西洋的な表現も交えてまとめていく予定です。
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