妊活の知恵倉庫
(この記事は約5分で読めます。やや専門的で難しい内容です)
前回の『衝気について』、『衝脈について』の続きで、『任脈について』をまとめていきます。
任脈
”任脈”とは何かを知るために、まずは『任』の言葉の意味を知りましょう。
任・・・妊娠・胎児養育の意味の『任養』と責任の意味での『勤め』の意味があり、任脈においては妊娠・胎児養育を示す
ということで、妊娠する為に重要なものということがわかるでしょう。
そして、前回の話では衝任の内の”衝”は『衝気・衝脈』でソフトとハードに分かれていましたが、”任”に関しては『任気』というものはなく、『任脈』のみで任脈自体にソフト面もハード面も複合されています。
意味がわかりづらいかもしれませんが、本体に機能が内蔵されているものが任脈ということです。
任脈の働き
難しい言葉なので分かりづらいですが、血や陰液(潤い)を保持する場所とそれを保持する機能を指す言葉ということです。
もっと身近な表現に置き換えると、”子宮内”の状況をイメージしましょう。
月経が来たら子宮内の血が排出されリセットされますが、その後は子宮内に血が流入し、”子宮内膜”として貯蓄されていきます。
それが封蔵でいうところの”蔵”としての物質的な側面であり、またその血が月経で排出されない限りは子宮内で留めるように”封”じこめる機能が働くことで血は留まっています。
この”蔵”の物質面が生まれつきや生活習慣などによって消耗してしまうと、子宮内膜の厚みが厚くなりにくくなり、”封”の機能面が弱まると生理時以外の不正出血となるでしょう。
任脈と衝気
任脈は子宮内膜をイメージで、赤ちゃんのベッド・布団の準備として日々厚くなり、それが漏れないようにするというものですが、
残念ながら排卵したのに受精できなかった場合、次のチャンスに備えて子宮内をリセットする必要があります。
それが、前回までに書いた衝気による疏泄です。
つまり任脈の封蔵力を衝気の疏泄力が上回ってきた時に出血、つまり月経が始まります。
この衝気の高まりに合わせて衝脈にも気血が満たされますが、その時に気が溜まりすぎて滞ってしまうと胸の張りや下腹部の張、吐き気、イライラ・落ち込み、のぼせ、不眠、寝汗、肌荒れ、吹き出物、便秘、食欲過剰、肩こりなどを、血が溜まりすぎている場合は生理前のチクチク痛みや見た目での下腹部の膨張、頭痛、腰痛などを生みます。
衝脈の中でも生殖器に気血が偏って多い状態であるため、全身としては頭に血が足りなくなり頭冒感や立ち眩み、めまい、目の乾燥、気不足として疲労感、倦怠感、眠気、軟便、むくみなどを生むでしょう。
つまり、これらの症状を整えることは衝気・任脈のバランスを整えることに繋がり、逆に衝気・任脈が整っていくと、そういったPMS症状は緩和していくでしょう。(全てが無くなるわけではないですが)
衝気+任脈=『腎(生殖)』と始めたように、衝気&任脈が整うことは生殖力、つまり妊娠力(妊孕力)UPに繋がるのです。
PMSを感じている人は、PMS症状自体はとても憎い症状に感じるでしょう。
しかし、これは身体からの異常のサインですので、ただ憎んで我慢したり、それを抑え込む薬を飲んだりするのでなく、身体を見直すキッカケとしていきましょう。
また、PMSはわかりやすい例として使用していますが、PMSが全くない人でもなかなか妊娠できない場合、身体の症状には現れにくい体質かもしれません。
その場合は、舌診、脈診、顔色、声、目、問診などで、自分では気づきにくい身体の声を聴くことが、我が子を抱いている未来の自分に歩み寄るための大きな力となるかもしれません。
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