妊活の知恵倉庫
(この記事は約6分で読めます)
連日のコロナウイルス騒動の中で、海外ではありますが妊婦や新生児がコロナウイルスに感染していたというニュースをチラホラと見かけます。
また、以前まとめた”日本生殖医学会による『不妊治療に対する声明』”も相まったためか、”コロナと妊活”に関しての相談は、週数間前までは体外受精などの”妊活自体”で通院回数が多い方からばかりでしたが、子宝漢方のみで全く不妊治療していない自然療法の方、クロミッドだけは処方してもらっているタイミング療法の方、また人工授精中の方達など、不妊治療のための外出機会が少ない方々からの相談される機会が増えてきました。
「コロナウイルス感染が拡大する現状で、妊娠した場合にリスクはないのか?」
「リスクがあるなら、今の妊活は騒動が落ち着くまで見送るべきか?」
このような相談が増えています。
今妊娠中、また妊活中でこれから妊娠する可能性がある方は、コロナウイルスの赤ちゃんへの影響は大きな不安だと思いますので、現時点でのコロナの胎児への影響をまとめていこうと思います。(あくまで2020年4月10日時点)
妊娠中のコロナ感染の影響
感染症が胎児に影響を及ぼす例では”風疹”が有名ですね。
風疹は妊娠初期~中期に感染すると、産まれてくる胎児が心疾患、白内障、緑内障、難聴、精神や身体の発達の遅れなどの障碍を持って産まれてくる可能性が高くなってしまいます。
コロナウイルスにそういった影響があるかというと、現状では妊婦のコロナ感染での胎児への先天性の障碍は報告されていません。
しかし、注意点としましては、今回のCOVID-19というコロナウイルスに対する妊婦の症例数は圧倒的に少なく、その中でも妊娠初期に感染した方は皆無ですので、妊娠初期のコロナ感染による胎児への影響はまだ把握しきれていないというのが現状です。
後期に感染した妊婦さんは一定数いたようですが、問題なく生まれた方もいれば、胎児に遷った方もいたようです。
ですが、特別胎児・新生児の時に感染しやすいなどの特異性は見られていません。
むしろ産直前・産後~6ヶ月までは母親から免疫をもらっているので、それほど低くはありません。
その免疫がなくなる6ヶ月~1歳までの間が一番免疫力は低下しますので、その間が一番感染リスクが高まるでしょう。
薬の影響
現状でCOVID-19に対して有効な薬が確立されているわけではありませんが、アビガンというお薬が注目されていますね。
しかし、こちらは胎児への影響(催奇形性)が不明である為、現状では妊婦への使用は禁止されています。
他にもCOVID-19に対しての新しいお薬は同じように胎児への影響不明であるため原則禁忌扱いとなるでしょう。
現在までに使用され、胎児に影響しないとわかっているお薬が劇的に効くという奇跡が起きない限りは、妊婦が薬を服用して治すという方法は難しいでしょう。
他の風邪などと同様に、症状を抑えるお薬は風邪の時に準じて使用できるでしょう。
解熱鎮痛薬である『”イブプロフェン”はCOVID-19に悪影響を及ぼす』という情報が一時流れましたが、その真偽は良くわかっていないとのことです。
ですので、コロナかどうかわからない風邪っぽい時は、イブプロフェン含有のお薬は控えるようにしましょう。(バファリンプレミアムやイヴなど)
もし今発熱した場合は、解熱効果も強くはありませんがリスクが少ないと考えられる”アセトアミノフェン”製剤での解熱をお勧めします。
(アセトアミノフェンも妊娠中の服用は動脈管収縮を生む可能性があると報道されたことがあるが、実際に妊娠中に多くの妊婦で服用されているが問題は出ていません)
肺炎の影響
COVID-19は肺への影響が大きいもので、肺炎になったり、それに至らずとも咳が多発しやすいです。
胎児に直接ウイルス感染が起こらずとも、咳を繰り返すことで知らないうちにお腹に力が入る状態が増えてしまいます。
お腹に力が入ると身体全体も力み、子宮も大部分が筋肉でできているものですので、子宮が筋張り胎児への血流にムラが生じてしまいます。
これはあくまで咳による影響ですので、風邪でもインフルエンザでも同じですが、特別このウイルスは肺に影響しやすい為、そういった意味では妊娠中に罹患すると流産リスクが高まると考えられます。
これらを総合的に考えて
妊活中の皆さんは、これらを踏まえて現状で妊活を続けるか、落ち着くまで妊活を一時中止するか、とても悩んでいると思います。
最終的には自分たち夫婦で決めることですが、これらを受けてのアドバイスを致します。
万が一、自分が罹患し、せっかく授かった命がその影響を受けてしまうと想像した時に不安を強く感じる場合は、いずれコロナの脅威が去った時に備え、身体作りに専念し、不妊治療や避妊は控えることをお勧めします。
想像しただけでも不安が強く出てしまうということは、実際に妊娠できた場合はその不安が何倍にも強くなるでしょう。
すると、感染しなくてもその精神状態は、妊婦と赤ちゃんの心身への負の影響が想像以上に大きくなり、マタニティブルーや産後鬱リスクが高まり、無事に出産出来ても大きな負担を追ってしまう可能性が高くなってしまいます。
しかし、年齢などの面で、一時の時間も無駄にしたくないという人も多いはずです。
そんな不安の気持ちよりも、「妊娠したい」気持ちの方が強ければ不妊治療・妊活を続けましょう。
人生は1回きり。
その1回の人生に、今しかチャンスがない時なのにコロナが流行ってしまった。
そんな時でも、不妊治療・妊活・妊娠中に仮に感染しても悔いはないと思える、今しか時間がないと思う人はその考えに従うべきです。
ただし、「自分は大丈夫だろう」という気持ちではだめです。
感染する可能性は誰もがゼロではない状態になっているため、仮に妊娠中に感染しても、胎児に何らかの影響が出ても、責任を自分で負う覚悟を持ったうえで、妊娠して出産する気持ちが上回るようであれば、今もあなたの妊活は進むべきです。
妊娠できるかできないか。
感染するかしないか。
全ては結果論ですが、それを言っていたら今の自分の行動を導き出せません。
今は皆が不安を強く感じる事態ですが、妊娠できるかどうか、感染するかどうか、などの点で考えてはいけません。
妊娠した未来、妊活を一時中止した未来、妊娠したけれど感染した未来など、色んな可能性を考え、それも妊娠中や出産だけでなく、1年後5年後10年後20年後と先の未来を考えて、今の選択がベストなのかを考えましょう。
もしそれが自分だけで考えられない時は、私にご相談ください。
もちろん感染しないことが一番なので、妊娠中の外出は極力避け、手洗いうがいは徹底!など、予防対策はしっかりと行いましょう。
あなたの妊活応援・漢方相談の平成堂薬局
完全予約制(遠方・積雪の場合は電話相談・メール相談可)