妊活の知恵倉庫
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以前に『衝気と任脈』についてまとめましたが、覚えていますか?
見慣れない言葉、難しい表現が多いのでわかりにくかったかもしれませんが、簡単に復習すると
①妊娠する為には”衝気”と”任脈”というものが関わっている
②”衝気”は気・血・水を分配・調節・排泄する機能(それを”疏泄”という)
③”任脈”は子宮内の血そのものや、それを漏れ出ないように留める機能(それを”封蔵”という)
といった具合です。
生理周期に合わせ、血の排出(生理の出血)・血の蓄え(内膜成長)・体温維持(高温期)は、それらの衝気と任脈のバランスにより生じているものということです。
このバランスが崩れてくると世間的に有名なPMS症状を強く感じ、生理中~生理後に不調を感じてきます。
またそれは症状だけでなく、子宮内のお掃除と子宮環境の組み立てにも影響する為、そういった負担を感じるほど赤ちゃんが育ちにくい環境であるとも言えます。
今回はそういった症状から”衝気”&”任脈”のバランスがどうなっているのか、そしてどうしたら妊娠力は上がるのかをまとめていきます。
生理前・中・後の症状
まずは、生理前・中・後に見られやすい症状を上げていきましょう。
①イライラ~落ち込みなどの精神不安定
②発熱・微熱感
③頭痛・肩こり・吐き気
④軟便・下痢
⑤便秘
⑥鼻血
⑦口内炎
⑧めまい
⑨むくみ
⑩胸張り
⑪寝汗
⑫感冒
⑬眠気・倦怠感
⑭肌荒れ・ニキビ
⑮冷え
まだまだあるという人もいるかもしれませんが、多くの人が感じやすい症状は大まかに以上に含まれるでしょう。
それではそれぞれの症状を”衝気”・”任脈”のバランスとそれによる五臓・気・血・水の影響目線で見ていき、また解決法も見ていきましょう。
①生理前・中・後の精神不安定
生理周辺の精神不調は”PMS(月経前症候群)”と言う言葉が浸透するほど、特に生理前の精神不安定は多くの女性が抱えている問題でしょう。
この症状には
①イライラなどの攻撃的な感情が主なタイプ
②落ち込み・不安・悲しみなどの抑鬱症状が主なタイプ
③イライラも落ち込みも感情の起伏が激しいタイプ
の3タイプがあります。
また、それらの病因病機には
A 気血虚弱:脾虚により全身の気血不足を起こし、そのために心気&心血が不足、そして心神が満たされないことで精神不安定を生む。
B 肝気鬱結:生理前には血も気も身体に一番充満している状態であり、それに伴い肝気が鬱滞しやすくなります。肝気は感情やホルモンなどの気の流れを整えるものなので、肝気が鬱滞すると感情の起伏が抑えられなくなるため精神不安定を生む。
C 痰火擾乱:元々水毒(湿痰邪)が多い体質、もしくは肝鬱により脾を傷め、脾の水湿運化不良により湿痰が生成されてしまい、生理前の衝気の高まりによりこの湿痰邪が化火し、その熱が心神を煽り、精神不安定を生む。
この3つが原因で症状を引き起こしていると考えています。
精神不安定と妊娠力の関係
精神症状と妊娠は関係ないように思うかもしれませんが、大きな関りがあります。
1つは精神状態はホルモンバランスにも影響しやすく、生理周辺での精神症状が強いほどホルモンバランスが乱れています。
つまり精神不安定症状が起こる場合は、卵子の成長や内膜を安定して育てにくい体質ということです。
また、精神的な不調は筋の緊張を生みやすく、子宮筋が固くなり赤ちゃんが育みにくい環境となり、また筋膜の塊である”横隔膜”の柔軟性にも影響し、呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅いと酸素濃度が低くなり、卵子の活性化、全身の疲労感などを生んでしまい、妊娠力低下と繋がってしまいます。
かといって精神安定剤などの使用は赤ちゃんを育む上での毒素となってしまうリスクがあります。
また、精神安定剤は心や頭を麻痺させているだけで治しているわけではないので、生理周辺の精神不安定への使用はおススメしません。
長くなったので、次回「生理前後の精神不安定の『”弁証”と”治法”』について」に続きます。
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