妊活の知恵倉庫
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の続きで、生理前・中・後の精神不安定についての原因解明と治方についてまとめていきます。
生理周辺の精神症状の弁別
前回の復習:生理周辺の精神症状では①イライラタイプ②落ち込みタイプ③イライラ&落ち込みの混合タイプの3つのタイプがあり
また原因にはA気血不足B肝鬱気滞C痰火擾乱の3つがありましたとさ。
まず、①~③の3タイプについては、①のイライラなどの攻撃的感情が強い症状ほど熱や化風症状が強く、つまり(虚実錯雑もあれど)気・血の滞り症状が強く見られます。
逆に②の抑鬱症状は十分な心気・心血で満たされていない状態が多く、③のタイプはその混合型です。
また、病因から考えると、生理前・中・後と時期を分けているように、生理前は肝気(衝気)が高まる時期で、あり生理中~後になるほど血(気もですが)が虚していきます。
つまり、Aの気血両虚型は生理中~の感情負担が強い方で、Bの肝気鬱結型は生理前に特に症状が強く、Cは精神不安定もそうですが、胸が悶々と苦しくて落ち着かず、イライラしたりぼーっとしたり、支離滅裂なことを発現するタイプです。
またA、Bは気・血の増減に顕著にリンクしますが、Cの痰火は生理の終了と共に緩和はしますが、他の原因に比べ長期化し、生理中~後数日まで響きやすいです。
治法
Aの虚のタイプは気・血が虚す生理後に普段より食欲が無くなったり、胃もたれや消化不良、食後の眠気など脾胃の気虚症状や、立ち眩みなどの貧血症状などを伴う、また経血は少なめでダラダラと長い、もしくは極端に短く経血の色は薄めのことが多く、舌質が軟らかく色が淡色で、脈力も弱を呈します。
生理中が一番気・血を消耗する為、生理中の疲労感が強い場合に多いです。
漢方薬では甘麥大棗湯、帰脾湯、逍遙散、補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯、天王補心丸、桂枝加竜骨牡蠣湯などを使用します。
Bの肝鬱タイプは生理前に食欲が過剰になったり、胸張、肩こり、頭痛、吐き気などを生み、生理周期が早め(25日以内)で経血色は鮮やかで赤味が強く、量は多めで、舌先~舌淵の赤味が強く、脈はやや早めで張った弦脈を呈します。
生理前の気・血の鬱滞が不調の原因なので、生理中はむしろスッキリと過ごしやすくなる場合が多いです。
丹梔逍遙散、竜胆瀉肝湯、四逆散、大柴胡湯、血府逐瘀丸、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡疎肝湯などを使用します。
Cの痰火タイプは口苦い、オリモノの色が濃く匂いが強い(血の匂いではない)、便秘、もしくは軟便で匂いが強くスッキリしない、舌苔が黄色で粘っこいなどを呈します。
精神負担や胸部の不快感を生理中~後まで引きずる粘着タイプに多いですが、生理前後だけの症状では見極めにくく、その他の症状・状態で痰火を見極めることが重要です。
漢方薬では温胆湯、穿山薯預などを使用します。
痰火はポリープ(腫瘍)や異形成、子宮筋腫などの原因ともなります。
過去にそういった病歴のある方や現在進行形でそれらの存在がある場合は、妊娠力UPの為にもそれらの病邪をこれ以上の負担にしない為にも上記の漢方薬は有効でしょう。
次回は②生理前の発熱・微熱感症状とその原因と漢方薬をまとめていきます。
当てはまるものがあったとしても、一つの症状だけであなたに合った漢方薬を見つけるのは難しいですが、参考として下さい。
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