妊活の知恵倉庫
の続きです。
今回は『頭痛の誘発要因』『頭痛の増悪・緩解因子』『頭痛と時間の関係』『その他』からの考察をまとめます。
頭痛の誘発要因
”どんな時”に頭痛が出るか、ということですが、今回の場合は生理前・中・後という明確な要因が関わっていますね。
「生理前の身体の状態について考える」でまとめたように、生理前は『子宮』とそれに関わる『経絡』が気・血が満たされることで身体に不具合(不快症状)を起こしやすい状態にあります。
その為、PMSなどという言葉があるくらい、生理前に体調が悪くなる方が多いのですね。
経絡の中でも特に『衝脈』は十二経および五臓六腑の気・血全てを調節し、月経を管理する為、この衝脈の働きが上手くいかない人ほど、生理前に体調不良を起こしてしまいます。
ストレスを上手く発散出来る人もいれば、発散できずに溜め込んでしまう人がいるのは、この衝脈の気・血を調節する働きがスムーズにできるかどうかに関わっています。
例でいうと、道路の渋滞です。
生理前というイベントになると、イベント会場に車がドッと押し寄せ、混雑します。
ですが、交通整理が上手いと車の多さに関係なく、渋滞することはありません。
しかし、交通整理でさばける量を超えた車(気・血)であったり、交通整理する能力が劣っている場合はこの衝脈がパンパンに詰まります。
そういった時に生じやすい症状が「胸の張り」や「イライラ」、「肌荒れ」、「便秘」で、その一つに「頭痛」も含まれるのです。
またその一部に気・血が集中している裏では、頭部への気・血不足が起こり、部分的な気血両虚を生じるための頭痛も起こり得ます。
増悪・緩解因子
生理中・後の頭痛
生理前は気・血の渋滞によるもの、または一部(子宮)に気・血が集まる為の頭の貧血頭痛などもありますが、生理中・後はほとんどが虚が主体で流れの悪さによる頭痛はほとんどないでしょう。
その為、それらの虚から来る頭痛に対してはスタンダードな補気補血で良いでしょう。
まれにですが、生理中・後でも邪実による頭痛を生じる例外もあります。
それは気・血が抜けて虚(免疫低下)したところに風寒などの外邪が影響するために起こる頭痛です。
または、虚が軸にはなりますが、気虚による水滞が起こす頭の重痛さでしょう(厳密にいうと頭痛でなく頭重ですが)。
外邪由来の場合は、頭痛は表証であるため浮脈などから感じ取ることも出来ますが、その他に寒気や喉痛、肩こり、全身の倦怠感、関節痛、微熱感などの風邪症状も伴うことで判断すると良いでしょう。
この場合には、たとえ裏に虚があったとしても、標(急性症状)を先に治すべき(標治)なので、風邪症状に合わせた去邪の漢方を主体とし、それが治ってから”本治”として気血の虚を補うのが一般的です。
頭痛の出る時間帯
朝から痛みが出て昼頃には緩和する頭痛や、夕方頃に強く感じやすい頭痛など、一定の時間帯に症状が出やすい場合もあります。
日中は陽(気)の活発な時間なので、陽(気)に問題がある場合は日中に出やすく、陰(血・水)に問題がある場合は夜に症状が出やすかったり、
1日の中でも5臓にそれぞれの時間帯もあり、そういった影響で時間帯により頭痛の強さが変わるなどが主の要因と考えられます。
もしくは陰陽五臓の時間に関わらず、単に寝ている時に痛みが出るのは気血の流れが穏やかなため、滞りを生むことで痛みを生じてしまったり、
寝ている状態から身体を動かす時に悪化するなどは停滞気味な血が動き出した時の負荷で痛みを生じ、
逆に日中の活動期は気・血がフル稼働していても、夕方で仕事が終わって帰宅となると一気にスイッチオフとなり、急激に血の巡りが停滞する落差が痛みを生んだり、
一日の気・血を使い果たしたために残りの気・血が不足してしまうために痛みを生じるなどもあります。
ですが、これは慢性頭痛を考える上では重要ですが、生理前・中・後に出る頭痛の場合には重要度は低いです。
その他
痛みが出る部位がいつも同じところなのか、毎回バラバラな場所に出るのか、頭も特定の場所でなく全体なのか、左右対称なのか、片方だけなのかなども参考になります。
気滞による頭痛は毎回場所が移動しやすい遊走性であり、その時々で左右も変わったり同時に出たり、痛みも出たり引いたり変化に富んだ性質を持ちます。
一方で瘀血の関わる痛みは固定痛でいつも同じところが痛みます。
湿痰の関わる痛みも固定痛ですが、局所的よりも場所のつかみどころがなくボアっと範囲が広めです。
これで生理前・中・後に生じる頭痛の理屈はおしまいです。
次回はその理屈を元とした生理前・中・後の頭痛に対する漢方処方をまとめます。
長ったらしい理屈抜きで「この状態にはコレ」という形でシンプルにまとめていきたいと思います。
あなたの妊活応援・漢方相談の平成堂薬局
完全予約制(遠方・積雪の場合は電話相談・メール相談可)