妊活の知恵倉庫
(この記事は約5分で読めます。難解度★3)
強い不快症状ではないものの多くの方で見られる症状に”首・肩こり”があります。
症状が起こる限りは身体からの声であると考え、その原因と対策することでいかに妊娠力UPへ繋がるかをまとめていきます。
首・肩こりと妊娠力の関係
正直、肩周囲の筋肉と血流状態と子宮周囲の筋肉と血流状態は、同じ1つの身体であるために連動することもありますが、他の部位と比べると肩と子宮の連動性は強い方ではありません。
ですが、生殖ホルモン伝達と首・肩こりの関係を考えると、妊娠力との繋がりが見えてくるでしょう。
生殖機能はホルモンによって調整され、またそのホルモンは下垂体&視床下部、つまり脳から発せられます。
現代医学ではホルモンバランスに異常が起こった際には、それが発せられる下垂体・視床下部・卵巣に異常があると部分的に捉えることが多いですが、
東洋医学では途中経過、伝達異常も重要視します。
それを考える上で代表的なのが『気・血・水(津液)』なのです。
首・肩こりと繋げて考えると、脳からのホルモンは必ず首を通って生殖器へ伝わる為、首~肩こりが強いとその流れに滞りを生んでしまい、ホルモン伝達に不具合が生じやすくなる、と考えられるのです。
肩こりの原因と対策
まずは生理前に関わらず、慢性的な肩こりの原因から考えてみましょう。
一昔前は、畑仕事や重労働、赤ちゃんを抱っこする、機械に頼らない家事などの肩を酷使することにより筋肉が疲労します。
その筋肉疲労自体もこりとして感じますが、疲労により筋肉が固くなり、血行不良も伴うことで慢性的な肩こりに発展してしまいます。
一般的に肩が凝った→血行不良と考えることが多いのはこの考えが浸透しているためでしょう。
ですが、現代人は仕事も家事も機械やPCでの仕事が増え、肩の筋肉を酷使する機会は減ったのにも関わらず、特に女性は10代などの若い頃から肩こりに悩まされる方が増えています。
この場合は筋肉疲労ではなく、逆に肩を使わないことで筋肉が弱くなり血行不良を生んでいることが大きな原因です。
また運動不足は肩だけでなく、腹筋背筋などの体感筋も弱まり猫背などの姿勢が悪くなることも肩の血行不良の一因となっています。
これは筋力不足だけでなく、デスクワークや自宅でくつろぐ時も猫背姿勢が多く、全て肩の血行不良へ繋がって慢性化してしまっています。
ですので、昔の肩こりは肩を揉むとカチカチに固くなっていましたが、今の肩こりは他覚的にはあまり固くなく、むしろ軟らかいこともあり、筋肉疲労よりも筋力不足であることが原因になってきていることが分かるでしょう。
また、猫背は肩への直接的な血行だけでなく、横隔膜も固くしてしまい、全身の筋膜にも影響して肩こりにも影響してしまいます。
他にもこれからの時期は外は暑いため薄着になることが多いですが、そんな時に冷房で肩~首が冷えて筋肉が収縮→血行不良となることで肩こりが悪化することもあります。
それらの慢性の肩こりに悩んでいる方は、肩回し運動、横隔膜を柔軟にする腹式呼吸、直接肩に冷房を当てない、背筋ピーン、長時間同じ姿勢の時は軽くストレッチする、などを心がけると緩和するでしょう。
慢性の肩こりは一時的な血行不良で起こるのでなく、慢性的な血行不良で起こる為、上記の習慣づけは一時的で効果がないから止めるのでなく、習慣として根付くと気が付くと楽になっているものですので、続けることが第一です。
漢方で考えるに肩こりの原因と対策
漢方的に考えると、肩こりは気・血・水のいずれか、もしくは複数の巡りの悪いことで生じます。
前に書いた生理前の身体の状態にあるように、生理前では気・血が滞りやすくなり、それに連動して水の動きも停滞します。
つまり生理前は普段よりも気が停滞し筋肉は固く緊張しやすくなり、血の巡りも悪くなりやすい為、月経前に肩こりが強まるのです。
張りが主体の時は気滞を理気し、凝りが主体の時は気結&血瘀を活血破気していくと良いでしょう。
張や凝りでなく重ダルイ時は水滞を利水化痰、また肩を使うほどダルさが強まる場合は補気補血ですが、このタイプはあまりいないでしょう。
筋肉不足による気滞・血滞の場合、逍遙散などで改善も見られることもありますが、漢方で筋肉が発達することは無く、漢方でなく自分で動かさないと改善しない場合もあります。
風邪薬で有名な葛根湯で肩こりが楽になる例も多くありますが、これは風寒による項背部の筋緊張を取り去ることや、もしくはそれに伴う首・肩周囲の筋脈の潤い枯渇による緊張を、胃の清気を上行して津液(水)で潤わせることで緩和する理屈です。
この葛根湯タイプのコリは、必ずしも寒邪によらないですが、肩よりも首~背にかけての縦のコリが主体であり、また逍遙散などの柴胡剤や枳実の入った理気・破気剤が主となります。
最後に
読んでいるうちに肩こりばかりに意識がいってしまうかもしれませんが、主には妊娠力を上げるための一つの指標としての肩こり改善です。
妊活が軸となる上での肩こりがある場合、漢方での処置は十分でも運動不足ゆえに改善しきらないことも多いです。
繰り返しになりますが、肩は子宮と離れているため、妊活に関係ないと思ってしまう方が多いですが、ホルモンの流れを改善する上で重要な部位です。
肩回しは数秒でできますし、やってみるとスッキリするでしょう。
さらに赤ちゃんにも良い影響があるのですから、慢性の肩こり、生理周辺での肩こりが強まる方は肩回し・肩ストレッチを習慣化し、赤ちゃんに歩み寄っていきましょう。