妊活の知恵倉庫
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生理前症状の中に、吐き気や嘔吐で困っている方もいるでしょう。
そんな時に身体ではどんなことが起こっているのか、またそこから妊娠力を高めるにはどうすれば良いのかをまとめていきます。
吐き気・嘔吐の病因
食べ過ぎたりした後なら胃腸のキャパオーバーで吐き気・嘔吐となってしまったり、悪い食べ物やノロウイルスなどが胃腸に入ったのを吐き出すために嘔吐となるのはわかると思いますが、
なぜそんな食べ物がお腹に入るというキッカケがなくても吐き気を生じることがあるのでしょうか。
本来、胃腸の流れというものは口から食べたものが食道~胃~腸~吸収or排出となるように上から下方向に流れていきます。
それが食道で滞るとみぞおちの痞え感、悪心、胃で滞ると胃もたれ・消化不良・機能性ディスペプシア・張りや重感などの胃部不快感・ゲップ・胸やけ、腸で滞ると腹部の張り・消化不良・便秘・下痢・おならなどを生じます。
そして、その滞りが強すぎて渋滞し、その圧力の逃げ道として流れが上方向に逆流する時に生じるのが”嘔吐”です。
つまり胃の気の巡りが停滞→逆流し胃気上逆して嘔吐になるということですが、その胃気の停滞には
①肝鬱気滞②胃寒③胃熱④湿困脾胃⑤脾胃の虚⑥脾胃湿熱⑦肝胆湿熱⑧肝寒⑨食積などが原因となります。
生理前の嘔吐
嘔吐には①~⑨の原因があるとわかりましたが、それぞれがどんな意味かは置いておいて、生理前には①~⑨のどれが関わっているかを考えていきましょう。
毎度の如くですが、生理前は”生理前の身体の状態”でまとめたように、気・血・水が停滞しやすくなります。
その中でも特に肝気が鬱滞しやすく、肝気の鬱滞が強いと胃気にまで気の停滞が影響し、胃気が上逆してしまうことが一番多い原因でしょう。
肝鬱気滞による嘔吐は、イメージでは緊張しすぎてえずきが出ている状態です。
私の中では内村光良さんが本番時に「オエ~ッ」としているイメージが浮かんでしまいます。(紅白総合司会前にもえずいているんでしょうか)
生理前には同じように身体が緊張状態になりやすく、肝鬱気滞→胃気上逆が生じるのです。
ただ胃気が上逆するだけの場合は”えずき”が主ですが、そこに気鬱化火が絡んだり、食べたものの鬱積が湿熱・痰熱を生み、火が燃え盛ると上逆の勢いが強まり、”えずき”では収まらず”嘔吐”にまで発展します。
この熱が絡んだ嘔吐の場合、嘔吐物は未消化物が少なく、胃酸が多めで臭いが強い傾向にあります。
逆に生理前による気の停滞が熱を伝えられず胃気を冷やしてしまったり、元々身体に隠れていた肝寒が生理によって胃に影響すると急に冷やされた胃気は拘束され下に行けず上に上逆します。
その時も”嘔吐”となりますが、この嘔吐物は未消化なものが多く、希薄で臭いは弱い傾向にあります。
また、胃寒や肝寒に伴う上逆は嘔吐だけでなく頭痛に影響することも多く、生理前に片頭痛が強く出やすく吐き気や嘔吐を伴う方に多く見られます。
また、気の停滞はそれほど強くなくても、普段から湿痰や食積の存在がある場合、生理前の気滞症状に感化されて湿痰・食積が胃気と共に上逆して嘔吐となります。
また普段は食積が無い人でも、生理前になるとやたらと食欲が過剰になり、食べ過ぎることで一時的に食積を生むことで嘔吐となる方もいます。
湿痰が絡まないのであれば柴胡・枳実・陳皮・橘皮・香附子・紫蘇葉・枳殻などで生理時の気の鬱滞を改善し、予防していきます。
湿痰が絡む場合は半夏・厚朴、湿熱・痰熱が絡む場合は竹筎・黄連・黄ゴン・栝楼仁・石膏・山梔子などを使用していきます。
生理前の嘔吐と妊娠力
これから見てもわかるように、嘔吐症状は気・血・水の中でも気・水が中心であり、基本的に血の症状は絡みません。
血が絡まない問題の為、一見妊活に関係ないと思ってしまうこともありますが、嘔吐に伴い気・津を消耗し、つまり体力を消耗することで生理時の排血がスムーズに働かず、赤ちゃんの育む場が整えられなかったり、
また嘔吐で多い水毒の存在は卵子の成長を邪魔してしまうので、嘔吐症状が出るほどの水毒体質はしっかりと解毒することで妊娠力を高めることは重要でしょう。
また水毒が無くても、極端な冷えや熱も体内にある状態は赤ちゃんに悪影響で、食積、つまり停滞した食べ物の存在は卵子への栄養でなく溜まった老廃物を送り、卵が汚れてしまいます。
水毒・熱・寒・食べ物が絡まない場合は気の停滞のみですが、吐き気にまで発展する気の停滞を持っていると、精神的な不調も強いはずです。
精神的な負担はどんな時でも生活するにおいて本人も周りもツラい症状となってしまい、特に妊活ではホルモンバランスにも影響してしまいます。
それらの身体の状態を映し出している”吐き気・嘔吐”を見逃さず、しっかりと妊娠力を高めることが新しい命の誕生に繋がっていくかもしれません。