
妊活の知恵倉庫
2020-06-10 16:17:00
前回の
の逆の症状ですが、生理周辺、特に生理前に便秘や便通が出にくくなる方も多いのではないでしょうか。
子宝相談や女性疾患の漢方相談にのっていると、生理前は便秘気味だったのに、生理がきた途端腹痛→下痢で今まで溜まっていたものが出るという人はかなり多く感じます。
腹痛~下痢とまでいかずとも、生理前だけ便秘になって生理が来て以降は快便になるという人もいるでしょう。
食べたものに特に思い当たる節は無いのに、生理周期でいつも出る便通の波は不思議に感じませんか?
ですが、便通が気になるのは慢性便秘でない限りその時だけなので、それほど気にかけていない人も多いです。
ということで、あまり気にしていない”生理前の便秘症状”において身体に何が起こっているのかを考え、その便秘症状が不妊に関係しているのか、
そして関係しているならどうやって改善するべきかを考えていきましょう。
生理前の便秘は旅行時の便秘と同じ
生理前の身体の状態はこちら↓
でまとめたように、子宮に気血が集まることで身体全体の気・血・水が鬱滞しやすい状態となります。
気の鬱滞は無意識に緊張していたり気が張りつめたような状態ということもあり、情緒変動が激しいなどの状態を生みます。
同じく気が張り詰めた環境での便通はどうでしょうか。
例えば旅行や誰かの家に泊まるなどした時、ぐっすり眠れなかったり便秘になってしまいませんか?
これはいつもと違う環境であるために無意識に緊張し、その緊張は身体のコワバリだけでなく腸の蠕動運動も固い動きにしてしまいます。
本来は蠕動運動が行われることで、飲食物が腸内を移動し、徐々に水分や栄養を体内に取り込み最後にそれを排出して便となりますが、
蠕動運動が固く飲食物を送る動きが停滞してしまうことで便秘になります。
また、それは気滞のみの影響ですが、気滞が強いと本来身体を巡るはずの体内の熱が集結し、一部に強い熱を生んでしまうこともあります。
ストーブで部屋全体を温めたいのにストーブの前に物があるとそこに熱が集中して部屋は温まらず、その物は極度に熱を持ってしまうイメージです。
この熱は腸に二つの作用をもたらし、一つは熱邪が刺激となり急激に腸の蠕動運動を強めることで熱性下痢となり、
もう一つは熱が腸内の水分を飛ばしてしまうことで便の水分量が少なくなり、コロコロ便や固い便になるという同じ熱症状でも真逆の状態を生みます。
過敏性腸症候群などは下痢にも便秘にもなりやすく、それはこの状態が絡んでいるという証拠です。
一般的な下剤
便秘薬(下剤)で停滞しているものを出す考えは悪くないですが、一般的に売られている便秘薬や、病院でも便秘といえばセンノシド系の赤い玉か、漢方では大黄甘草湯などが多いように感じます(酸化マグネシウムは別です)。
これらは基本的に腸を冷やしてしまいます。
熱が原因で便秘となっている場合にはフィットしますが、ただ腸の動きが悪いだけであったり、むしろ腸が冷えている方には適しません。
その場合はほとんどの方は強い腹痛などに襲われ、続けることもあまりないと思いますが、人によっては「出ないよりは」ということでそれが習慣化してしまって下剤を手放せなくなり、どんどん腸が冷える悪循環に至る人もいます。
本来ピンク色でツヤツヤして柔軟性があり、伸ばすとテニスコート1面分にもなると言われている腸が、下剤中毒になった人では黒くガチガチに固くなってしまっていることもあるようです。
また下剤だけでなく、乳糖不耐性の方はある程度の牛乳を飲むと下してしまいますが、それを良いことに便秘になった時に牛乳でコントロールしているという人も過去にいました。
そんな便の出し方はダメ。ゼッタイ。
便秘の改善方法
熱性便秘には先ほど書いたように市販の下剤にも含まれるセンナや大黄剤で良いでしょう。
腸に溜まった熱を散らし、また直接腸の蠕動運動を促すことで便秘を改善していきます。
また生理前に見られやすい気滞を伴った便秘には、枳実・厚朴などの気滞を改善するお薬と、それと共に熱を発生したら大黄を加味すると良いでしょう。
枳実・厚朴などでなくても、肝気鬱を改善する柴胡・香附子などにより、腸への負担がなくなる場合もあります。
また芍薬を加え、腸の筋膜を潤すことで柔軟性を高めることも気滞による便秘を助けるでしょう。
腸に水分が少ないタイプの便秘には酸化マグネシウムや芒硝で腸に水を集め、便の水分量を増やして蠕動運動による便の動きを改善していきます。
水分とは違うもので、腸管の油脂が枯渇すると便との摩擦が強くなり、便秘となってしまう場合もあります。
これは麻子仁などの仁類、つまり種の油を利用し、便通を改善してきます。
安易に大黄やセンナで蠕動運動を無理矢理刺激して排便させる処方が多いですが、老人や慢性便秘の場合はこの腸内の油脂の枯渇が原因となっている場合は多いので、その場合には麻子仁丸や潤腸湯などが良いでしょう。
腸が冷えていて便の出が悪い時は大黄で蠕動運動を刺激しつつ、でもそれだけだと腸の冷えを助長するので、附子で温めることで冷えを改善したり、大建中湯などで温めながら膠飴で腸を潤わせ排便を促すなどしていきます。
また、熱性便秘と水分の少ない便秘の場合は大黄と芒硝を併用したり、そこに気滞も絡まっていると枳実厚朴芍薬を使うなど、上記の状態が重なっていたらそれを併用して便通を改善していきます。
妊活においての生理前の便秘
生理前の気滞症状は生殖ホルモンの影響で起こり、生理前に便秘が起こるということは生殖ホルモンの変動が生殖器とは違う腸にまで波及しているということです。
つまり、生理前に便秘症状が見られるのであれば、「気滞を改善してホルモンバランスを整えてください」という身体からのサインと受け取れます。
”妊活≒温活”という人もいるように、特に腹腔内を冷やしてはダメです。
足元を冷やさないようにしたり飲み物を温めて飲んだり工夫しても、腸の動きが悪いことで腸の熱産生能が低下し、その影響で生殖器が冷えてしまうこともあります。
女性は生理によって血を排血し、血の汚れを整理できますが、男性の場合は直接出血で整理することはできません。
ですが、そんな中でも身体の深い汚れである血の老廃物は排出していかなければなりません。
老廃物を外に出す方法は、呼気・汗・小便・大便がありますが、一番深い汚れを排出するものが腸であり、大便です。
女性は生理で血の汚れを排出しているとはいえ、それは月1回程度のものですが、大便での排出は基本的には毎日です。
女性も生理で血が整理しきれていない場合、身体に汚れが溜まっているために卵子の成長が上手くいかなかったり、瘀血を生じたり、赤ちゃんが住みにくくなっているのは、便秘に一因していることもあるでしょう。
赤ちゃんの住み良い身体作りの為に、卵子の質を改善するために、ホルモンバランスを整えるために、生理前の便秘を見直し、漢方で整えていきましょう。
また、運動不足が腸の蠕動運動低下を引き起こしていることもあります。
食事や漢方で腸内を整え、運動すること、特に手足を日常的にしっかり使うことで蠕動運動を促し便通を改善、そしてそれは妊孕力UPへと繋げていきましょう。
※ちなみに便秘はたった1日でも出ないことを便秘というわけでもなければ、毎日排便してはいるものの出きっていない状態を便秘というように、定義は曖昧ですが、便が出ないことで身体に負担をかける状態は望ましくないので、便から色んな症状への負担や妊孕力を緩和することも大切でしょう。