妊活の知恵倉庫
生理前症状から不妊原因を知り、妊娠力を上げようシリーズ!
今回は相談の中では3人に2人ほどの方に見られる『生理前の胸の張り』症状についてです。
排卵を過ぎた頃から生理が来る直前まで、歩くくらいの振動でも胸が張って痛みを感じたり、触ると張っていると感じると訴える人はとても多いです。
頭痛やイライラ、めまいなどのように生活への支障はあまりきたさない症状であるため見過ごしがちですが、
今はまだ妊娠を考えていない方も、妊活中の方も胸の張りを放置していると起こる身体の変化(ホルモンバランスの乱れ、妊娠力の低下)とその改善法についてまとめていきますのでご一読ください。
胸が張るのか、乳首が痛いのか
まず、生理前の胸の症状と言っても胸(乳房)か乳首(乳頭)かでも漢方の見立ては変わります。
というのも、それぞれ流れている経絡が違うためにどの経絡に異常があるかによって部位も変わってくるためです。
乳房は胃に属し、また少陰腎経も乳房に入り『衝脈任脈は胸に至る』ことから、胃・腎経・衝脈・任脈の異常が乳房の張やふくらみに影響します。
一方で乳頭は肝に属する為、胸全体の張りよりも、乳頭のみがチクチク痛みや痒みを生じる場合には肝に異常があるとわかります。
理屈と現実の違い
上記は一般的な経絡の考えでは間違いはありませんが、実際はほとんどの場合で肝の疏泄異常が乳房に影響しています。
また、胃に影響する原因も、肝鬱による化火→胃火に波及していることがほとんどであり、基本的には肝の影響力が強く、
腎陰虚による乳房の張りも、肝陰虚→肝腎陰虚に発展したことで起こりやすく、
つまり理屈でなく臨床の上ではどちらも元々は肝に原因があることがほとんどです。
結果としてはほとんどの乳房の張の臨床例では肝を主体に胃に影響しているのか、もしくは腎に影響しているのか、肝だけなのかを考えていきます。
つまり症状の違いによって清胃瀉火か滋腎陰などをする必要がありますが、胸の張りが見られる時点で調肝することは生理前後に関わらず続けていかなければなりません。
その中でも特に生理前での症状が強い場合は生理前にはより一層調肝作用を強めます。
胸張りと妊娠力の関係
胸が張るということは疎肝機能が縛られている状態でもあるので、つまりそれはホルモンバランスが乱れやすい状態にあるということです。
まだホルモンに影響していなくても、生理前の胸の張りが強い方はホルモンバランスが乱れやすい体質を示している為、
そうなる前にしっかりと調肝して行くと妊娠力は低下しないで予防できます。
その状態が続くと、高プロラクチン血症となり、乳汁分泌なども起こりやすくなります。
”プロラクチン”とは出産後に授乳する際の母乳分泌機能を高め、かつその間の月経を止める働きのあるホルモンです。
普通は産後以外の時期に高まることはないはずですが、
肝の乱れ常時見られる方では胸を刺激し異常を起こし、産後に関わらずプロラクチンが高まってしまいます。
そうすると無月経や無排卵になるなど、子宮や卵巣が妊娠に必要な働きをしなくなってしまいます。
この高プロラクチン血症は現代医学でも『不妊の原因』とされているものですので、胸の張りが極まったものが不妊を生むというのは現代医学でも証明された考えです。
現代医学ではカベルゴリン(カバサールなど)というお薬を飲むことでプロラクチン数値を下げ、月経を正常なものとしますが、
副作用で体調を崩される方も多く、また胸の張りやプロラクチンは改善するものの
根元の妊娠力を上げる身体作りには繋がらない方も多いので、漢方での調肝薬を使用すると良いでしょう。
具体的な漢方薬は次回に続きます。