
妊活の知恵倉庫
2020-09-12 16:00:00
総裁選に感化されて走り書いた
の続きです。
(今更ですが、体外受精・顕微授精はARTと言うので、以後ARTと表記します。)
ARTの現実
ARTは最先端の技術であることと1回の金額が50~70万円かかるということから
ARTの妊娠率はそれまでの治療法に比べ、激増すると思われがちですが、現実的な妊娠率はご存知でしょうか?
実際は日本産科婦人科学会の発表によると↓(下記は参考リンク)
2017年の1年間で448,210治療周期のARTが行われ、
このうち生産分娩にまで至った治療周期は52,997周期(11.8%)だったとのことです。
つまり、ARTを9回やって1回出産できるという確率になりますが、この数値はイメージと一致していましたか?
もちろんこの確率は全年齢を対象としたもので、年齢によって大きく違うところもありますが、
↑グラフから、青はARTによる妊娠率で赤は全治療による妊娠率なので、
ARTを介することで、大まかには各年齢において2倍に届かないくらいの妊娠率になるという結果のようです。
タイミング療法や人工授精は1周期当たり数万円の費用となり、
ARTは1周期当たり50~70万円ほどとなると考えると十倍以上の費用負担となります。
つまりコスパ(費用対妊娠率)で考えてしまうと、10倍のお金をかけても確率は2倍程度の上昇ということで
タイミング療法・人工授精>>ARTとなってしまいます。
全ての不妊治療をまとめて計算してしまうとこうなりますが、
ARTをしなかったら生まれない命もあるということは忘れないでください。
つまり、本当に子供が欲しいのであれば、単純なコスパだけでは語れないということです。
そうはいっても費用面の負担も大きいのは事実なので、
このARTのコスパが人工授精レベルにまでになるように助成金を組み込む形が望ましいのではないかと思います。
特にARTにおいての妊娠率が40%↑である20代~30代前半の方が
もっと気軽にARTできれば、不妊治療期間を短くして出産数を増やすことができるのではないかと思います。
コスパに脱線しましたが、ここで話を戻すと
ARTってスゴイことをしているようで、妊娠率上昇のメリットは思っているほどでもないということを知っていただきたいのです。
ARTの最大のメリット
最大のメリットは「精子と卵子が確実に出会うこと」であり、
そのことで、より不妊の原因を追究できるということにあります。
現代医学のホルモン剤などによる卵巣刺激などは、採卵する卵子の数は増やせますが、
意図的に卵子の質を高める方法は見つかっていません。
一方で、東洋医学では妊娠率低下している原因は腎虚(生殖機能の低下)や
血虚、または瘀血によって血の巡りが悪いことを主に考えていきますが、
残念ながらそれらは現代医学で証明できるものではありません
タイミングや人工授精だと、いくら身体作りや不妊治療が完璧でも、
精子と卵子が出逢えていない為に妊娠に至らないということは少なくありません。
しかし、ARTではその問題が省かれ、
・受精できるかどうか
・受精後に移殖できるまでに成長するか
・移殖後着床できるか
・着床後の成長はどうか
受精状態がクリアになることで、これらの点に絞ることができます。
つまり、ARTのメリットは卵子と精子、そして子宮内膜の状態に問題を絞ることができるという点にあると思います。
成果が上がらない時は漢方の出番
人の手によって受精をさせても、そこからが問題なのであれば、
一般には薬の量を増やしたり、ART回数を増やすなど、量で責めることが多いのが不妊治療ですが、
ARTをやみくもに繰り返すのは得策ではありません。
受精しても育ちが悪い、育たない、質が悪い場合はむしろARTを繰り返すことで
卵子を育てる卵巣が疲れ、治療を続けるほどに結果が離れていく事態にもなってしまいます。
そんな時は、ARTをごり押しするのでなく、精子と卵子の質を上げる身体作りからしていかなければなりません。
それは食事や運動、睡眠、ストレス管理などで改善していくのですが、
その点で上手くコントロールできない場合には漢方の力が活きてくるのです。
我が子の命を育むためには、現代の中心である西洋医学にばかり偏るのでなく、
東洋医学・西洋医学の互いのメリットを上手く使い分けることで一番の妊娠力を高めることが一番だと考えています。
数は西洋医学での卵胞刺激、質は東洋医学での身体作りをすると、
繰り返しARTをしなくても妊娠に辿り着けるでしょう。
繰り返しARTをしなくても妊娠に辿り着けるでしょう。
「ARTにお金がかかるから身体作りにお金をかけられない」
と言われて、身体作りに対する漢方薬などをケチったり、服用を止めるケースも経験しています。
これは何とも伝えにくいですが、正直とてももったいないです。
大体そういった方は、なかなかうまくいかず、ARTを繰り返すことでむしろ総合的な費用が莫大にかかってしまうケールの方が多いように思います。
漢方でも初めはお金がかかりますが、十分な身体作りができることで、平均したART回数が少なく妊娠に至り、
長い目で見た場合の節約にもなっています。
ARTにお金がかかるからこそ、1回1回のARTを大事にして、できる限り可能性を伸ばさないといけないと、私は思います。
でないと、可能性が低い中でARTを繰り返し、採卵のたびに卵巣は疲れ、身体作りからは遠ざかり
費用と時間と身体を消耗するだけで何も得られず、心も荒んでしまうでしょう。
そんな方を多く見てきています。
一時的な金額が負担になることはわかりますが、
身体作りを一度挟むだけでそれ以降のARTなどの不妊治療効果が劇的に良くなり、
精神的にも妊娠に近づけた結果から前向きになり、もちろんそれは妊娠の近道となり、結果に繋がるでしょう。
西洋医学が全てのように思えると思いますが、
妊娠するのはホルモン剤によるものでなく、あくまで母体のあなたの状態が大切なのです。
今一度、妊娠できる身体作りを意識して妊活してみてはいかがでしょうか?