
妊活の知恵倉庫
2020-09-16 19:30:00
言っている間に新総理が誕生しましたね

不妊治療に関わらず、菅首相はこれからの日本にどんな功罪をもたらすか楽しみです。
ということで総裁選で盛り上がった不妊治療支援の続きです。
不妊治療支援賛成記事↓
支援が強化された後の体外受精・顕微授精のメリットと現実↓
では不妊治療支援がもたらすメリットを中心にまとめていきましたが、
やはり物事の裏に必ずあるデメリットも考慮すべきです。
国にかかる費用面の負担などはもちろんデメリットですが専門ではないのでわかりません。
専門は東洋医学の面で妊活・不妊治療ですので、その視点からの不妊治療支援のデメリットをまとめていきます。
不妊治療推進のデメリット
一番の懸念は
『安易にホルモン剤を多用することで、卵巣に負荷をかけすぎて出生率が落ちる』
という点です。
で書いたように、ART自体の妊娠率は金額に見合うほど高くありません。
あくまでART(体外受精・顕微授精)のメリットは妊娠率の高さにあるのでなく、
受精障害・着床障害・受精してからの成長不良などを可視化することにあります。
問題が見えても同じ方法でARTを続けることはそのメリットを活かしきれず、
むしろ何もせずに不妊治療を繰り返すほどに卵巣は疲れ、老化し、妊娠率は落ちる一方です。
不妊治療支援が強化されるとその傾向がより強まってしまう、というのが私の考える最大の懸念です。
費用に余裕がある夫婦とない夫婦の例
費用面に苦が無い夫婦と工面が難しい夫婦のどちらの子宝相談にのることは多いですが、
金銭面で無理がない人の方が費用面の懸念よりも年齢などによる焦りが強く、
不妊治療を立て続けに行うことが多くなる傾向にあります。
一方で費用面の負担が大きい夫婦でも焦りは強いですが、
回数を多くできないこともあり、元から回数を絞ったり、1回1回を大事にしていく傾向にあります。
そうした結果、当薬局でのそれぞれの夫婦の出生率を平均して比べると
回数を絞って1回1回身体作りを行った夫婦に方が出生率が上回っていました。
これからわかることは、
ホルモン剤での卵巣刺激は連続する程に卵巣が疲れ、結果から遠ざかってしまうことがあります。
西洋医学での卵巣刺激は数は増やせるものの、質は上げられない為、
「数撃ちゃ当たる」式で採卵数を増やして当たりを引くまで引く方法が一般的です。
理屈はわかりますが、現実では高刺激が休みなく繰り返すほど、次の周期に卵巣は疲労を持ちこしてしまいます。
すると不妊治療を続けるほどに卵巣のパフォーマンスは落ちることで
卵子の質は落ちてしまい、数も少なく、卵胞は多くても中が空っぽの空胞が増えるなども増えてきます。
薬は増えて採卵回数だけは増えていっても、移殖胚が得られなかったり受精卵の質が改善しないなどで
移殖するという舞台にすら立てない悪循環が起こっていることも少なくありません。
逆に金銭面の負担がある方の方が、連続した卵巣刺激を行わず、採卵周期に向けた身体作りを行うことが多く、
その為に採卵数こそ少なくても1つ1つの質が高くなることで妊娠~出産に至る出生率は高くなったと考えられます。
どれだけ採れてもそれは結局妊娠・出産に至る質の良い受精卵を厳選する為だけですので、
数重視の不妊治療だけでなく、質を考慮した身体作りを行うことも重要といった例です。
身体作りを併用すること
1回50~70万円するARTの費用が例えば1~5万円ほどでできるようになると、
安易に多く回数をこなした方が妊娠率が上がると思い、連続して卵巣刺激する例は絶対に増えてくるでしょう。
↑図にあるように、日本は不妊治療大国で、件数はダントツの1位ですが、逆に出生率はダントツ最下位です。
この原因は技術にはなく、日本の不妊治療が高齢な傾向にあるということと
同じ人が連続して複数回採卵し、卵巣を休ませない傾向にあるためです。
日本人は他国に比べ仕事時間も長く、休息が少ない傾向にありますが、
その国民性が不妊治療にも色濃く反映されているようです。
しかもそれは良い方向へ働いていないですが、
費用の軽減により歯止めが効かなくなるとより悪い結果に繋がりかねません。
デメリットを活かす
ここで掲げるデメリットとは費用面の負担が無くなり休みなく不妊治療することで卵巣を傷めてしまうということにあるので、
不妊治療者の頭にそういった意識ができないと大変なことになってしまいます。
過度に最先端の現代医学に頼るのでなく、上手に使っていければ良いのです。
そこに臓腑弁証や気血津液弁証で得られた東洋医学での情報を組み合わせ
身体の中から妊娠力を下げている原因にアプローチする漢方薬や鍼灸を行うと自ずと幸せは近づいてくるでしょう。
つまり大事なのは、ARTを簡易に行うことで見えてくる身体の問題を
どうやって妊娠できる身体作りに活かすのか、ということでしょう。
不妊治療を行っている人へ伝えたいこと
仕事などでの疲労やストレスで自分の身体を傷めることは自分自身に返ってくるだけの自己責任ですが、
赤ちゃんは自分の意思で卵巣環境や子宮環境に負担をかけているわけではありません。
これからの妊活は、赤ちゃん目線で自分の生殖器への負担を少しでも軽減することを意識してみませんか?
例え痛みを感じなくても卵巣は刺激を受け続けることで疲れているんです。
運動や食生活を見直すことができないのであれば、漢方の力に頼ってください。
運動や食生活を見直しても上手くいかない場合は、漢方で中から自分に合った体質改善をしないといけない身体かもしれません。
卵巣年齢が高いとショックを受けることは当然だと思いますが、
その要因を作っているのは自分かもしれません。
費用面の懸念も大事ですが、卵巣を労わることも考えていきましょう。
それはARTだけでなく、タイミング療法や人工授精においての排卵促進剤でも同じく卵巣に疲労は溜まります。
費用面の負担がない方も、私がブレーキ役となることで無事に妊娠に至った例もあります。
そういったコントロールは本来は医師がすべきですが、
身体の状態を考慮せずマニュアルに沿うのみで相談も満足にできないところが多いので、
セカンドオピニオンとしてのご相談も受けております。
不妊治療を繰り返す中でなかなか上手くいかないのであれば、
ただ卵巣を刺激したり休ませるのでなく、卵巣・子宮の環境を整えることが必要な身体なのかもしれません。
その場合、休むだけでは卵巣は整いません。
漢方の力で内面から卵巣環境を整えることや食事・運動を見直していかなければいけません。
そういった身体作りは気力も体力も時間もお金もかかるかもしれんが、
命の誕生に確かに近づけるものです。
やろうと思っていてもやらないままでも良いのであれば、無理にとは言いませんが、
たった1度の人生、後悔のない選択をするために、いっぱい悩みましょう。
悩むことはツラいですが、先の幸せに繋がるために必要なことも多いと思います。
菅首相になったことで不妊治療支援がどうなるかはわかりませんが、
こういったことをキッカケに、薬で卵巣に無理をさせるだけでなく
妊娠できる身体作りをしていく意識が妊活者に根付くように
どんな形でも何度でも繰り返し話題になってくれたらと思います。
全ては子供を望む皆様が幸せを掴み、
そして少子化の問題も解決するために・・・