
妊活の知恵倉庫
2020-10-02 16:37:00
(この記事は約5分で読めます。難解度★★★★)
↓前回
では子宮筋腫についてまとめ、次の子宮内膜症の途中でしたのでその続きから。
子宮内膜症と不妊の関係
子宮内膜は本来、子宮の中に赤ちゃんの寝床として形成されます。
『子宮内膜症』は、その子宮内以外の場所にその内膜ができてしまう症状で、
子宮内であれば月経により排血され、リセットと成長を繰り返しますが、
子宮内膜症の内膜は、外と繋がっていない場所にできる為、排血できず、
生理周期で繰り返しエストロゲンが分泌するたびに子宮内膜症は増殖してしまいます。
子宮内膜は経血として出てくるように”血”でできているため、
子宮内以外のお腹の中に”血溜まり”ができてしまうイメージです。
小さいうちは問題ありませんが、広範囲になると色んな部位と癒着してしまい、
体の動きや内臓の動きに引っ張られ、激痛を生じることがあります。
癒着はガムテープの粘着力をイメージしてみてください。
ガムテープが肌に貼りついた時、ガムテープを引っ張ると皮膚が痛くなるように癒着した内臓が痛むわけです。
しかも内臓は皮膚に守られず粘膜が剥き出しなので、痛みは相当な激痛となります。
その為、生理痛がとても強く出てしまったり、
子宮と腸の空間であるダグラス窩で癒着すると強い排便痛が生じ、
部位によっては肛門痛を生じるなどが代表的な子宮内膜症による痛みとなっています。
痛みは激しく出ることが多いですが、痛みだけでは不妊の原因とはなりません。
・癒着することで子宮や卵巣が歪んだり動きが制限されることで機能が落ちること
・卵管が圧迫されて狭窄~閉塞してしまうこと
・子宮外の内膜の方にE2を奪われ、子宮内の内膜が薄くなってしまうこと
・癒着部分が炎症を起こし、炎症後に水が溜まること
これらが子宮内膜症による不妊の原因です。
ちなみに、子宮腺筋症やチョコレート嚢胞は名前こそ全然違いますが、子宮内膜症の一種で、
子宮筋内に子宮内膜が発生すると子宮腺筋症と呼ばれ、
卵巣内に出来るとチョコレート嚢胞と呼ばれます。
ようは腺筋症もチョコレート嚢胞も子宮内膜症ですが、
東洋医学としては病名が大事なのではなく、
部位やそれに伴う症状が妊娠へもたらす影響を考えることが大事ですのであえて分別し、
次回以降に腺筋症とチョコレート嚢胞をまとめる予定です。
子宮内膜症は血の問題
前回↓書いたように
子宮筋腫は東洋医学では水(リンパ・脂肪・体液etc)の問題が中心になりますが、
子宮内膜症は腹腔内での瘀血(血溜まり)が不妊の原因と考えます。
現代医学では子宮内膜症はエコーで確認することができ、
それを緩和する薬は低用量ピルとなります。
低用量ピルは排卵させないことで生殖活動を停止し、
子宮内膜が増殖してしまう女性ホルモン(E2)の増加を抑えることで内膜の増殖を抑えます。
つまり、低用量ピルによる子宮内膜症の治療と妊活・不妊治療は同時進行することができません。
(また、生殖機能を停止させると本来排卵しないといけない卵が成長も排卵も出来ないことで多嚢胞性卵巣症候群のキッカケとなることもあるので、子宮内膜症治療に低用量ピルを使用することはおススメしません)
また、低用量ピル以外では直接取り除く”手術”も一つの解決法ですが、
取れる部位であれば良いですが、癒着が激しい場合は取る時に子宮や卵巣に負担がかかってしまうため、難しいこともあります。
また、現代医学のお薬は血栓を作らないようにして血流を改善するお薬はありますが、
血管内の血の巡りは良くなっても内膜症の血を整理することはできない為、使用されません。
そんな時は瘀血を駆逐する”駆瘀血剤”、つまり漢方の出番です。
といっても駆瘀血剤も多種多様あり、
桂枝茯苓丸などのような牡丹皮・桃仁を軸としたメジャーな駆瘀血剤や
シャチュウや水蛭などのような虫を使用しないと瘀血が動かない強力な場合もあり
駆瘀血剤と簡単に言っても種類はとても多く、身体の状態に合わせて行わなければいけません。
また、瘀血(血溜まり)ができている時は血にだけ問題があるのでなく
冷えやリンパの巡りの悪さの影響、気の停滞などの別要因が絡むことで瘀血は生成される為、
駆瘀血剤だけでなくその原因にも同時にアプローチしていかなければなりません。
それだけ血の問題は水や気の問題よりも根が深く複雑ということです。
また、血溜まりができるということは、外には出ていないものの本来血管内を巡って分配されるべき血が消耗され、他に必要な血が少なくなり、いわゆる貧血を起こしやすい状態でもあります。
そんな血不足を起こしている所に駆瘀血剤をガバガバ使用すると貧血が強まる恐れもある為、
駆瘀血剤を使用しながら補血も同時に行うことも重要です。
子宮内膜症が原因の不妊症には
子宮内膜症自体を治癒させるには数ヶ月だけでは難しく、年単位になるでしょう。
しかし、妊活にはタイムリミットがあり、年単位なんて待っていられない!という人も大丈夫です。
数ヶ月で取り除くことは難しいですが
数ヶ月の漢方服用により妊活において悪さしないようにしていくことは可能です。
子宮内膜症でなかなか妊娠できないで困っている方、
子宮内膜症かどうかは診断されていないけれど月経痛や排便痛などが強い方、
経血の出血量が異様に増えてきている方は
自分に合った駆瘀血剤を服用することで
新し命の芽生えという幸せを掴むことができるでしょう。