妊活の知恵倉庫
(この記事は約6分で読めます。難解度★★★★★)
私のブログを読んでいると、漢方は色んなものに効く万能薬の様に過信してしまう人もいます。
また逆に、漢方との縁がほとんどなかったり、漢方は飲んだことがあっても
「妊活だから当帰芍薬散」や「風邪だから葛根湯」のような体質を考慮しない病名漢方だけで
あまり漢方の効果を実感していない人は、漢方の力を侮っていることも多いように思います。
子宝漢方を例にいうと、
子宝漢方の力だけで妊娠できない状況もあれば、
西洋薬だけでは全く赤ちゃんの「あ」の字にも到達できなかった難治性の不妊症の方が
漢方薬の力を借りただけで命が育まれたという例もあります。
ですが、その両端だけを捉えて漢方を語るのでなく、総合的にもっと漢方のことを知って欲しい!
そんな思いをまとめていきます。
漢方の理解し難さ
多くの人が漢方との距離感があり、近づこうともしない理由には
漢方においての表現が”具体的”なものよりも”抽象的”な表現が多い為でしょう。
例えば、漢方では”陰陽”や”気”という概念が存在しますが、
『気』は”神経伝達の電気シグナル”、”体温”、”エネルギー”、”ホルモン”、”精神”
などと言われるように、目に見えるモノではないので具体性が弱く感じます。
しかも気の表現をいっぱい上げたように、その人によってその捉え方も変化します。
A先生にはエネルギーと言われたのに、B先生には精神的なものと言われたら混乱しますよね。
血のように物質的で具体的なものであれば理解もしやすいのですが・・・
また、『陰陽』は寒熱・表裏・虚実などの物事の二面性を複合した意味合いがあり、
その表現は”絶対的”なものではなく”相対的”なものであるため、とても複雑です。
例えば体温が36.6度だとした場合、高温期としては低く、低温期としては高いですし、
平熱が35℃台のAさんにとっては微熱状態であり、
平熱が37℃台のBさんにとっては寒い状態です。
現代医学ではこういった分類はあまりせず、基準の数値の範囲内か以下か以上か
これが全てで絶対的な指数を基に考え、ほとんどの場合相対的に変化しません。
決まったルールがある方が誰でもわかりやすいのですが、
人は動物であり、常に動いているものです。
増して、他の動物よりも感情も強く持った動物で、
身体の状態よりも感受性が個々により違うため、本当は漢方の様に
身体の状態を見つめる時は柔軟な相対的に考えることが重要なはずです。
(ついてこれていますか?)
ようは、漢方は指標やルールが流動的で、人・時・環境によって変化する為把握しにくいですが
それを柔軟に受け止めることができたならこれほど強い武器になるものは無いということです。
それが出来るのが漢方をしっかりと勉強し、また臨床に活かしている漢方家です。
エビデンスエビデンスと数で示された臨床結果にばかり目がいく医師はこういった見方は出来ず
人を見るのでなく、数値や病名のみでそれこそエビデンスに沿った漢方の出し方ばかりしています。
西洋医学の土俵ではそれで良いのでしょうが、
漢方薬を使っているのにも関わらず、
つまり人によってルールが変わる世界なのに
型にはめて自分の決めたルールで出した漢方はあまり効果を発揮せず、
「漢方を飲んだことがあるけど、実感がわかなかった」
ということに繋がってしまい、この積み重ねが現在の世間が漢方の力を見誤っている状態を生んでいると感じます。
漢方を過信する人が陥る落とし穴
かといって、私も含めですが、漢方を取り扱っている方の臨床例などをみると
どんな状態にも合わせ改善する万能薬の様に感じることもあるでしょう。
ですが、私としてはこれは本意ではなく、
本当は「漢方の力を過信してはいけない」と伝えたいです。
漢方自体に力が無いと言っているわけではありませんが、
そういった力があるとしてもそれにすがってしまうとその力は発揮されにくくなります。
どういうことかというと、漢方の力を信じすぎている人ほど、
「漢方を飲んでいれば大丈夫」と
自分自身を見直さなくなってしまう人が多いのです。
あくまで漢方は、その人の足りないところや余計な部分を補助することで
難治性の症状を緩和したり、難しい不妊症を妊娠に導くことができています。
実際に治ったり、妊娠しているのは自分の力によるところが大きいということです。
漢方の力は、自分自身でもある程度努力しているが、あと何歩かで幸せにたどり着けない方に著効します。
例えば、漢方だけは真面目に飲んでいても、夫婦間でセックスしていなければどんなに妊娠力が高まっても子供はできません。
信じられないかもしれませんが、身体作りは頑張っていても子作りが頑張れていない夫婦は案外多いのです。
そんな時、不妊治療ならセックスしていなくても人工授精や体外受精で妊娠することもあるでしょう。
身体作りをして子作りしないというのはかなり極端な例ですが、
身体を解毒する漢方を飲んでいるから、暴飲暴食している人や
自律神経のバランスを整える漢方を飲んでいるから、夜更かししてしまう人
身体を温める漢方を服用しているから、お風呂に入らずシャワーで済ませる人
こういう人は結構多いです。
完璧な生活習慣を身に付けないといけないと縛ることはしませんが、
自分を甘やかすために漢方を飲んでも、自分自身は満たされないということです。
そういった形で妊娠出来ても、妊娠中も産後も子育ても誰かに甘え、文句を言うことが多くなってしまいます。
本人は気付かずとも、本当にそういった方は多いので、
漢方での身体作りも大事だけど、自分は自分で良くする気持ちは捨てないようにしましょう。
最後に
漢方はあくまであなた自身の力を最大限に引き出すものです。
引き出した上で、その力を邪魔する生活習慣をしてしまうとその力は弱まりますし、
最大限の力を引き出せていても自分で使わないと意味がありません。
また、不妊治療では逆に自分の持つ力以上のものを引き出すこともありますが、
逆にその力の反動で不調になることもあります。
漢方薬で引き出された力は本来は自分自身の力ですので
身体に合った漢方薬であれば不調になることはありません。
また、不妊治療の際に自分の力以上に出された身体の負担を軽減することにも漢方薬は効果的です。
