
妊活の知恵倉庫
2020-12-11 19:15:00
(この記事は約5分で読めます。難解度★★★★★)
では陰(潤い)は普通でも陽(熱)が過剰な実熱タイプについて
書きかけていたのでその続きです。
実熱(陽↑陰→)の種類と対策
実熱は五臓六腑の中では”肝(胆)火”、”心火”、”胃火”があり※1
気血水では血熱、湿熱&痰熱※2があります。
※1
肺熱もあるが、これは基本的に外感、
つまり感染症によるもので
それこそコロナや結核などによるもので
今回はコロナ以外の熱なので省いている。
※2
血熱と湿熱・痰熱はあるのに気熱がないのは
ここでは肝気や胃気、心気の熱化を
それぞれ肝火、胃火、心火としているため。
また腸が生み出す熱もあるが今回は胃火に複合している。
肝熱の特徴
寒熱のイメージはイライラして顔が赤らんでいる状態です。
または恥ずかしさのあまり、顔が赤らんだりのぼせたりするものも肝熱によるものです。
つまり肝火は、
一時の感情によって気の巡りが滞り
気が伝える熱エネルギー鬱滞→熱化し生じます。
ちなみに赤ら顔になるのは
気分の熱が血分にまで波及する為で
充血することで血の赤さが現れます。
ですが、この状態は一時的な肝火が充血を起こしますが
ほとんどの場合、血に熱が籠る”血熱”までいかない為
その赤味は気持ちが落ち着くとともにすぐに元の色に戻ります。
怒りや緊張で生じやすい肝火は
排卵や生理前、更年期などの
ホルモン変動が激しい時にも生じやすくなります。
なので、生理周期毎に原因不明の熱が見られたり、
更年期になってから平熱が高く出ている人は
このホルモンバランスの影響→肝火となっている可能性が高いです。
肝火を治す漢方薬
ファーストチョイスでは
肝鬱化火(火の勢いは弱)→加味逍遙散
肝火上炎(火の勢いが強)→竜胆瀉肝湯
となります。
加味逍遙散は病院で処方されている中で
TOP3に入る漢方薬でしょう。
特にPMSや更年期症状に対して
多用されているはずです。
まさにPMSや更年期症状は
イライラ・不安・不眠・ホットフラッシュ・肌荒れ・口内炎
などのようにホルモンバランス(肝気)の乱れが熱(肝火)を生じるものであり
肝鬱化火に加味逍遙散は第一選択となるでしょう。
教科書的には間違ってはいないのでそれで熱が治まる人もいますが
臨床的には身体の状態に合わせ胆火も意識し
枳実や黄ゴン、山梔子などの入ったものが有効であることも多いです。
方剤でいうと大柴胡湯、肝廣仙などです。
また肝火は心火や胃火、血熱や湿熱・痰熱へ連動しやすい為
・心火を緩和する黄連解毒湯のような芩連剤
・肝火から血熱に波及した場合は清営顆粒
・胃(腸)火に影響した際には大柴胡湯などの大黄剤、鬼菊
・湿熱に波及した場合は茵蔯蒿湯や茵蔯五苓散
・痰熱に波及した場合は温胆湯や黄連温胆湯、竹茹温胆湯、センザンショヨ
を組み合わせていきます。
また肝が強まると脾(胃腸)が克され弱まるため
実熱であっても人参や甘草などを合わせることもあります。
肝火の漢方薬以外での対処法
簡単に言うと
イライラや緊張、ホルモンバランスの影響により熱が起こるので
それらの感受性を朗らかにすると良いです。
つまり、イライラした時には深呼吸やストレス発散。
緊張している時にも深呼吸。
ホルモンバランスが乱れやすい場合は
普段からストレスが多いことや
運動不足や食事の乱れ、睡眠時間のずれなどの
生活習慣の乱れが大きな要因です。
漢方で立て直すことをお勧めしますが
早寝早起き、食事時間を3食で整え、内容も偏りなく、
筋肉もつけ、有酸素運動もすることが望ましいです。
そんなに大変なの?と思うかもしませんが
それほどホルモンバランスを立て直すことは大変な事なんです。
それだけ状態を引き起こす日常を
今まで過ごしていたということは知っておきましょう。
余談
市販薬で有名な商品に『命の母』というものがありますが
これもPMSや更年期症状を緩和する漢方薬です。
命の母は主に2種あると思いますが、
確かに肝火を鎮静化する成分も入ってはいるのですが
成分量や比率的にはそれほど多く入っていない為
多少の緩和は見られることはあると思いますが
バッチリハマるということは少ないのではないかと思います。
欠けたパズルのピースをバチっとハメるというより
多くの人に合うように
広く浅く構えた処方の様に感じます。
広告の上手さから良く使用されている印象がありますが
「命の母や加味逍遙散は服用したけれどイマイチ効果を感じなかった。」
「医師に出された加味逍遙散が効かなかったのであれば漢方は合わない」
「宣伝で私にピッタリと思って飲んだのに効果が感じなかったから漢方自体合わない」
このような方は多いですが、
しっかりと相談し体質に合わせることで
効果を感じられる漢方に出会うことはできます。
今回は実熱の中でも臨床数が多い”肝火”について書きましたが
あなたの発熱は”肝火”ではないのかもしれません。
というわけで次回は”心火”に続きます。
”肝火”と同じように多くの方に見られ、
肝火と心火の繋がりは強いのでそのタイプ分けなどもまとめようと思います。
(1~2つくらいの記事にしようと思ったのに、書き出したらまだまだ続きそうだ・・・
直接妊活的な内容ではないと思うかもしれませんが、妊活にも繋がりますよ!)