妊活の知恵倉庫
2020-09-10 19:40:00
総裁選の討論会にて『不妊治療の保険適応化』が言及されました。
今朝のTVニュースでもその話題が中心となりアレコレ言っていたので、
妊活支援している身としての意見をまとめていこうと思います。
(政治的な意見について書くつもりはありません。誰がどうなろうと妊活者が、日本の未来が良くなるように私は尽力するのみです。)
不妊治療が保険適用化することに賛成か否か
簡単に答え難い問題ですが、不妊治療をしている夫婦の金銭的負担を軽減しようという考えには大賛成です。
金銭面を理由に自分の子供を諦めてしまう方は多く
不妊治療のためにお金が必要で、妊活に専念したくても仕事をしなければいけずというジレンマに陥りなかなか妊娠できないなど
ただでさえ妊活中では精神的負担が強いのに、金銭面の負担だけでも解決できれば、という思いは前から強く感じていたからです。
こちらの支援も、基本的に相談料はいただかないなどしてはいるのですが、
お出しする漢方薬やサプリメントは自費であるため、妊娠力を高める効果はしっかりとありますが、決して安いものではないという面でも
費用面での苦労はヒシヒシと感じております。
ですので、それを国が支えてくれるという動きには大賛成です。
ですが保険適用に賛成かというとそう単純でもありません。
朝のニュースでも誰かが言っていたと思いますが、
『保険適用されるのは”疾病・病気”』ということが大原則であり、
不妊症というのは”疾病・病気”ではないため、
その解釈を改正していくことは多大な労力と時間とお金がかかると思います。
(どことは言いませんが、日本の未来のことを考えず、その時の首相が属さないグループの多くが足を引っ張ることで)
保険適用化するということ自体は強く後押ししたいのですが、
理想と現実の違いを考慮し、効率的には賛成していません。
現実的には、現在もある”助成金”による支援を優遇改正していく方が手早く効率的ではないかと思います。
お金と時間の問題
助成金に偏った優遇処置を施すと、その面での経済的負担はとても大きくなってしまうでしょう。
もちろんお金の問題は簡単なことではないですが、かける価値があると思っています。
より深刻なのは時間です。
時間は取り戻すことはできません。
特に妊活においての時間は残酷なほどにこれ以上ないほどに重要です。
妊活している女性たちを支援する体制を整えるためにお金を使うことは一時は仕方ないことでしょう。
それは、今は苦しくても、未来の日本のために必要な投資だと思います。
ですが、時間は投資しすぎると根本の妊活している女性に影響してしまい、
少子化問題がより深刻化して、取り返しのつかない状態にまで発展してしまいます(もうなりかけていますfが)
保険適応でも助成金の改正でもなんでも、一刻も早い支援を目指すべきだと思います。
そういった面で、保険適用を目指してしまうと、打ち出してもなかなか施行するまでに時間を費やすリスクがあると考える為、
保険適用よりも助成体制を整えることを優先すべきかと思います。
今の助成体制
現在の厚生労働省での不妊治療に対しての助成詳細はこちら↓
簡単にまとめると、43歳未満、年間世帯収入730万円以下、1回の助成が15万まで(初回のみ30万)で計6回まで(条件によっては3回まで)
などの条件があることで、経済的支援が欲しくても得られない夫婦の方が多いことが現状です。
具体的な数字は簡単には述べられませんが、例えば所得制限は撤廃したり、助成回数上限を増やすなどすると良いでしょう。一部が助成適応されるのでなく、保険適応に近いレベルで、誰もが適応対象となるくらいが良いでしょう。(簡単に言ってますが)
タイミング療法は元々保険適応で、人工授精・体外受精・顕微授精は保険適応外ですが、
人工授精に関わる費用はタイミングと比べそれほど大きくなるわけではないので、助成は必要ないのではないかと思っています。
実際に現在の体制でもタイミング療法→人工授精においてのハードルは低めで、大概の人はすぐにステップアップしますが、
人工授精→体外・顕微授精においてはほとんどの人がスムーズにステップアップしません。
その一番の理由は体外受精・顕微授精となると、桁が上がりグッと負担が増える、つまり金銭的負担のためです。
この段階で諦める人は多いでしょう。
特に、チョコレート嚢胞や多嚢胞性卵巣症候群による排卵障害などでまず受精ができていなかった人の妊娠率が著しく低く、
体外受精をすると明らかに妊娠率が上がるケースでも、
年齢が比較的若いご夫婦の場合、経済的余裕もないことから諦めてしまう方は多いです。
体外受精により受精卵こそできたらそれからの妊娠率はとても高いはずの若い人たちこそ、体外受精の高額費用で諦めてしまうのです。
ですが、助成体制、もしくは保険適応となり、ここのハードルも下がることで、グッと妊娠率は変わってくる可能性があります。
体外受精・顕微授精が人工授精レベルでできるように負担軽減できることは少子化問題を少しでも解決に導くカギとなるかもしれません。
まだまだ書き足りないので次回に続きます・・・
2020-09-07 19:35:00
不妊治療中の方へ。
あなたは、赤ちゃんの卵である卵子、それを育む卵巣のことを想っていますでしょうか?
「妊娠したい!」という気持ちばかりが先行して、卵巣に無理をさせていませんか?
現代の不妊治療にありがちな『卵巣のブラック企業化』については↓
卵巣の休ませ方
ホルモン剤で卵巣にムチを打ち続けても、よほどのことが無い限り卵巣が痛く感じたり排卵不良が生じたりはしません。
しかし中にはホルモン剤を今まで通り使用していたのに、
今までの成長よりも異常に成長や排卵時期が早かったり、
逆に成長が遅かったり、成長がストップしたり、排卵できないということもあります。
それは数少ない卵巣からの悲鳴です。
そういった周期を経て妊娠できなかった次の周期は、一切のホルモン剤を中止して卵巣を休ませることをお勧めします。
病院では卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にならない限りそういった指示はないと思いますが、
この休憩は卵巣の為を想う、つまり妊娠できる卵子作りを想う大事な休憩です。
決して赤ちゃんへの歩みを止めるわけではない休憩で、
むしろホルモン剤を連用することで悪循環に陥り進めずにいたものが、大きく進むキッカケとなるでしょう。
ホルモン剤の使用を止めると生理周期が乱れることも
今まで正常に来ていた排卵期や月経が、ホルモン剤の服用を止めることでズレてしまうこともあります。
ほとんどの人はこれにショックを受けてしまいますが、これはこれで良いのです。
ホルモン剤を使用せず休ませた結果、生理周期が前後するということは、
それだけ卵巣の状態が万全でなく、回復するために休憩が必要だったということです。
ですが、元々自力での排卵がなかなかできず月経不順である方や、
元々は問題なかったのに、ホルモン剤を始めてからホルモン剤を使っていないと月経不順になってしまう方は
本来の排卵する力や妊娠する力を失ってしまっているかもしれません。
それを取り戻すには”漢方”と”生活習慣”の力が必要になります。
積み重ねの力
漢方と生活習慣の力とは、ホルモン剤の様に爆発力があるものではありません。
妊活においては昨日やって今日結果が出ることはほとんどないと言い切れます。
その点、ホルモン剤は数日飲むだけでも強力な力を発揮しますが、それだけに卵巣に無理をさせ得るということでもあります。
本来は生活習慣を見直す中で自分の身体をコントロールして妊娠力を高めることも出来るでしょう。
ですが、生まれつきの体質のために生活習慣の力だけでは妊娠力が十分に高まらない場合、
また、生活習慣において仕事などの影響で十分に運動できず、睡眠時間は削られ、ストレスに曝され、食生活は乱れることも多いでしょう。
本来生活習慣で積み重ねるべきプラスポイントが
悪い生活習慣によりむしろ妊娠力を下げるというマイナスになっている人がほとんどです。
生活習慣を見直すに越したことはありませんが、なかなか理想通りにはいかないもので、そんな時に力になるものが漢方です。
日々、漢方を飲む努力を怠る場合には、飲みやすい時間や方法などは提供しますが、その上でも続けられない場合は手伝うことはできませんが、
生活習慣を完ぺきとは言えない状況の中で、つまり自分の中でできる限りの中で妊娠力を底上げすることができるものが漢方というわけです。
「妊娠したい」という焦りが強い時には
漢方は飲んですぐに妊娠力が上がるものではありません。
今までの相談の経験でも、ほとんどの人が漢方の服用1日で経血が綺麗になるということはありませんが、
個人差はあるものの1ヶ月~3ヶ月の服用を続ける中でほとんどの人は経血の改善を感じます。
それも期間を経るごとに改善することがほとんどで、時間と共に自分の身体の中が変わっているということを実感してくれます。
だから漢方はすぐに妊娠したいと焦っている人には向いていないように思う人も多いですが、逆だと思っています。
焦りの気持ちが強い方にほど、『子宝漢方相談』をお勧めしたいです。
”急がば回れ”という言葉がありますが、まさにそれが当てはまります。
早く妊娠したい!という気持ちがあるほど、一般的な不妊治療に走りがちですが、
今までの不妊治療は、急いで前に進んでいるはずなのに赤ちゃんとの距離が縮まっているように感じていましたか?
身体の準備ができていないのに最短ルートを選ぶことで、
身体も心も時間も消耗してしまっている可能性があると、頭に入れておきましょう。
つまり、あなたの最短ルートは世間の最短ルートではなく、
一見遠回りに見える身体作りするルートが最短ルートとなるでしょう。
漢方薬は無理せず労わりながら自分の本来の力を引き出すもの
何も、ホルモン剤の全てが悪く、使うことがいけないと言っているのではありません。
ある意味ドーピングのように、一時的には爆発的な効果も生み出しますが、
一時的な力を借り過ぎると自分の力が消耗し、逆に負担となってしまうということで、
自分の身体を労わりながら、時に重要な時に爆発力を借りると良いのです。
ホルモン剤は卵巣を働かせるのは得意ですが、休ませるのは不得意です。
時に”卵巣を休ませる”という目的で、”低用量ピル”を使うこともあるようですが
低用量ピルの使用により排卵が止まり、つまり卵巣は機能しなくなりますが、決して休まっていません。
これを長く続けた人は多嚢胞性卵巣になっている人が多く、
『休ませる≠機能停止』ではないということも覚えておきましょう。
病院でも漢方を取り扱うことは可能なため、さも漢方での不妊治療を専門としているように書いていたりしますが、
実際に漢方を専門に勉強した元での処方は極一部であり
ほとんどが「病名漢方も取り扱っていますよ」程度のもので、実際当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸の処方が9割ほどでしょう。
精子の状態が悪ければ八味丸・牛車腎気丸・補中益気湯というのもそんなところです。
男性の場合なんて、本人が受診していないのに体質に合わせないといけない漢方を出すくらいですから、
まさに体質なんて気にしないで処方している病名漢方ということを示している証拠です。
医師>漢方薬剤師
それでも漢方薬剤師より医師を盲信してしまう場合が世間的には多いです。
日本は医師の存在が過剰過ぎるほどに強い為、特に理由はないものの医師の判断に反すると、何となく悪いことをしているように思う傾向があります。
もちろん医師が正しい場合も多いのですが、自分自身が違和感を感じていたり、
上手くいっていない場合には、「自分には今の不妊治療だけでは違うのかもしれない」と考えてみましょう。
もちろん自分も医師よりも上や下などの上下で考えているわけではなく、
漢方を使用した身体作りの面では専門と自負しているというわけです。
完全に漢方薬剤師を信用しなくても良く、セカンドオピニオンとして相談するだけでも構いません。
まとめ
卵巣をブラック企業化せずに妊娠力を高めるには、ホルモン剤の使用にはメリハリをつける必要があると考えます。
つまり、基本的に病院の指示に従うと酷使させてしまう傾向にあるので、
1~3周期毎にホルモン剤は休んだ方が良いでしょう。
ホルモン剤を使用しない中でも性生活を休む必要はありません。
ホルモン剤の使用で妊娠力が落ちていた場合、この期間に妊娠できるご夫婦も少なくありません。
そして、メリハリの中にもっと自分でできること、本来の自分の妊娠力を引き出すことを望むのであれば、
漢方薬で卵巣を休め、身体作りをすると良いでしょう。
卵巣を休める漢方薬を知りたい!という人は、それこそ体質によるもので、コレ!と決まった病名漢方は無いので、ご相談ください。
簡単に情報を得たり、薬だけもらうことも楽な事ではありますが、
楽な事だけで妊娠に至らないこともあります。
心から子供を欲する気持ちがあるのであれば、
自分の身体と向き合い、楽をして妊娠するのでなく、妊娠する為の心と身体作りをしていきましょう。
こちらはいつでもそんなあなたを全力でご支援いたします。
2020-09-04 20:00:00
(この記事は約4分で読めます。難解度★★)
妊娠するには卵子が受精可能になるまで成長しないといけません。
その為、不妊治療している場合、タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精のいずれであっても
卵子の成長や排卵を助けるホルモン剤、つまり卵巣に働きかけるお薬を使用することが一般的な不妊治療となっています。
それはホルモン値が正常で、問題なく自己排卵ができている人でも
ホルモン値が異常で自己排卵できない人と同じお薬を飲むことが一般的です。
(どっちにしても同じお薬を使うのであれば検査必要があるのか?という疑問はさておき)
ほとんどが、クロミッドで有名であるクロミフェンやレトロゾールを卵の成長と排卵の為に服用し、
またテープや膣錠、内服剤でエストロゲンを補い、また高温期に入るとデュファストンなどのプロゲステロン剤を服用しているでしょう。
その治療では、卵子が成長→排卵前を目途にタイミングや人工授精→排卵
妊娠できなかったら生理が来て3日目以内にまた受診し、いつの間にか同じことの繰り返す負のスパイラルに入ってしまいます。
場合によってはこれを6周期ほど繰り返し、薬を変えて同じことを繰り返すか、ステップアップしていくでしょう。
卵巣はいつ休む?
婦人科に通いながらこちらに相談に来られる人の90%以上はこのような状態です。
これをお読みのあなたも、もしそのような状況なのであれば、一度ホルモン剤を使用していく上でのリスクを考えましょう。
ホルモン剤は、上に書いたように、卵の成長を促す目的で服用することが主です(内膜に向けたものもありますが)。
卵の成長を担っているのは”卵巣”であり、卵巣に頑張って卵子を成長させるように働きかけるのです。
ホルモン剤を使用すると、自然な卵巣の働きよりも卵巣の働きを無理矢理強め、
卵巣機能に余裕があれば妊娠力が高まりますが、
卵巣がいっぱいいっぱいの時は卵は育っても質が低下してしまいます。
繰り返す中で機能がより低下してしまっている時は、
ムチを打って働かせるように無理やりにでも卵子の成長を促す形になります。
極端な例では、体外受精時に高刺激を与えると卵子が育ちすぎて卵巣が膨れ上がる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という状態になることもあります。
ここまでいかずとも、排卵を促すお薬が卵巣を酷使させてしまうということです。
ですが、現代医学では腫れ(OHSS)までいかなければ卵巣機能が落ちていても大丈夫!というように
卵巣機能が落ちるほどに卵巣への刺激する薬を強めていきます。
そうなってくると、排卵誘発剤を使用しないと自己排卵できなくなったり、
低温期の期間が長くなり、卵子の成長が遅れるようになってきます。
そうなると焦りは強まり、排卵誘発剤を使わないと!という心理状態になりますが、
本来は自己排卵ができていたものが、薬を使わないと排卵できない状態になってしまっており、
「治療しているのに妊娠する身体から遠ざかっている」ということも少なくありません。
目先を追い過ぎて逆に目的が遠ざかってしまっているのです。
それからも休みなく排卵誘発剤を使うことは、それ以上の卵巣の負担となり、妊娠力低下につながる可能性もあるのです。
今一度考えてみてください。
不妊治療中のあなたは、赤ちゃんが早く欲しいあまりに卵巣をブラック企業の様に休みなしに働かせていませんか?
焦りがある。だからこそ、休憩を大切にする
自分だったら、と考えてみてください。
仕事を終えても新しい仕事を押し付けられ、休みなくずっと働き続ける職場
職場仲間も含め十分に休みを摂ることで、やる時のパフォーマンスを上げられる職場
どんな働き方が望みますか?
妊活においては自分はブラック企業を嫌がるのに自分の卵巣にはそんな働きを強いていることに気付いていない方が多いです。
妊娠したい!だからこそ・・・
次回に続きます。
2020-09-01 19:38:00
妊活をするにあたり、まずすべきことは何だと思いますか?
一般的にはとりあえず自己流でやってみるか、婦人科に受診することがほとんどでしょう。
妊活の始めから、私のところのような子宝漢方相談にまず来られる人はほんの一握りです。
では、どれが正解でしょうか?
私の口からは「漢方!」と言いたいところですが、
どれも正解でどれも間違いでもあります。
妊活するにおいてまず”すべきこと”とは、どこに行くかでなく、
「自分自身を知ること」
から始まると考えています。
例えばですが、自己流でやる場合、基礎体温を測り始める人は多いでしょう。
何となくであったり、自分の状態を知るためであったり、理由は様々ですが、自分の状態を知るために重要な事ではあります。
また、病院やクリニックに行くのはどうでしょうか。
まず、ほとんどの婦人科では月経3日目あたりに血液検査することから始まると思います。
ホルモン値を調べ、そして超音波検診などで内診をすることが多いでしょう。
これらの基礎体温を測ったり、血液検査したり、エコーで身体の中を見ることは、直接妊娠に繋がると思いますか?
答えはNOです。
100回調べても調べるだけでは妊娠できません。
ではなぜ調べるのか?
それは自分の身体のことを知るためです。
また、それは知っておしまい、ではなく、知ることでどうすれば妊娠率が上がるかの傾向と対策を練るためです。
それを行うことで妊娠率が上がり、繰り返すうちに妊娠に辿り着きます。
ですが、今の妊活者の8~9割は、自分の身体のことを自分で知ろうとせず、基本的に受け身です。
検査しても結果がどうかわからず、指示されるがままに薬を飲んだり人工授精したり体外受精している人がほとんどです。
ホルモン不足などの原因が分かっている場合もありますが、異常なしで原因不明の不妊であっても
”とりあえず”他の不妊の人と同じ処置をしていきます。
それを妊活者本人が知らないことは異常のように思いますが、そうでもないようです。
自分だったら自分の状態を知りたい。
知りたいと思っているという人もいますが、まず自分だけしかわからない自分の生理の状態から子供の環境を考えたことはありますか?
私の子宝相談では東洋医学的な身体の分析を基に、漢方をご提案することはもちろんですが、
食事や運動、睡眠、ストレスとの向き合い方を含めた生活の中での改善点も含め、
相談者の鏡となり、自分自身の妊娠に関わる状態を知ってもらうことに尽力しています。
ざっくりな例ですが、血の巡りが悪いから子宮の状態が整っていない場合や、
リンパの巡りが悪く卵胞・卵子の成長に負担がかかっていたり、排卵障害となっていたり、
赤ちゃんを温める身体の働きが落ちているから継続して育てられないなど
これらは現代医学では調べてもわからないものですが、東洋医学的な綿密な問診や脈・舌などを基に可能性を見出すことができます。
それは数千をくだらない臨床経験が元になっているので、一朝一夕では身につくものではありませんが
そういった技術を持っています。
病院ではどんどんステップアップは進んでいくものの実際赤ちゃんに歩んでいっているのか不安になっている人は多いことでしょう。
また、病院での説明不足が当たり前の様にあるので最近は病院で調べた結果を元とした身体の状態はどうかというお話もしています。
そちらは現代医学なので、相談者もより理解しやすく、納得いただけやすいです。
ですが、そちらで問題ないけれど、実際問題として妊娠出来ていない状態がある場合、
やはり東洋医学的な問題が見えてくるとその改善により妊娠へと導くことも多く経験しています。
東洋医学が全て!と言いたいわけではありません。
西洋医学で子を授かっている人もいれば、自力で授かっている人も多くいます。
そんな人たちは初めから困らず出来ている人もいますが、
妊活に苦しむ期間が長かった人もいるのです。
それでも子供を授かれたわけは、自分を見つけることができたからでしょう。
始めに戻りますが、何にしても、上手く妊娠できないと感じたら、
「まず自分を知ること」
婦人科に行き、不妊治療は始まったものの、自分自身で自分の状態が分かっていず
必ずしも漢方薬が必要でない場合もあります。
子宝漢方相談を謳っていますが、漢方だけでなく総合した妊活をサポート致しますので、
”自分を知り、赤ちゃんへの歩みの道を見つける”ためにはぜひご相談ください。
2020-08-31 19:45:00
オリモノが少ない場合
排卵期でもオリモノシートが全く必要ないくらいほとんどオリモノが出ていない人もいます。
大事なのは外に出ているものではなく膣内ですので、膣内が正常なのにほとんど外に出ていない人も少なからずいますが、
オリモノが少なく、摩擦による性交痛を感じる場合は精子が泳ぐ川も干上がっている可能性大と考えられます。
この原因は、気(ホルモン)の巡りか感受性の問題、もしくは陰液が少ないことでオリモノが少ない状態が考えられます。
他の身体の症状を基に、気の問題か陰虚(水)の問題かを見極めてもいきますが、
陰虚症状には顔ののぼせ・手足の火照り・寝汗・不眠・強い喉の渇きなどが代表症状としてあり、
また舌に裂紋というヒビ割れが見られ、苔が一部、もしくは全部剥がれているなどの所見が見られます。
(↑は裂紋+++、無苔で鏡面舌であり、陰虚が極まっています)
この場合、基礎体温は体温過剰を抑える陰が不足しているために、平均して高い体温である傾向にあります。
陰虚の場合は、膠(にかわ)剤や地黄剤などを基に滋陰していきます。
血虚が悪化して陰虚となった場合は、鉄剤やタンパク質、当帰剤も合わせていきます。
気の問題でオリモノの出方が少ない場合は、気虚には気陰を補う生脈散や清暑益気湯、補中益気湯に滋陰剤などを併用し、
気滞が原因であれば気を巡らせる柴胡剤などを中心とした疎肝理気剤を使用し、ホルモンの感受性を正常にしていきます。
血瘀が強く、一部化熱などして陰虚している場合は活血しながら玄参・生地黄などを使用していくと良いでしょう。
オリモノが多くサラサラしている場合
西洋医学では卵管水腫の可能性があるオリモノの出方ですが、
東洋医学では体内に卵管水腫=湿邪と考え、また卵管水腫でなくても水の巡りが湿邪に阻まれている状態なので、
湿邪を除く漢方薬と飲食を見直すことで改善していきます。
湿邪の除き方は利水滲湿・燥湿・芳香化湿などの湿邪の性質に合わせた漢方薬を選んでいきます。
たかが水溜まり(湿邪)であっても、どうやってその水溜まりができたかによって使う方剤は変わってくるということです。
たまたま一時的に雨が大量に降って下水処理が間に合わず水が溜まったのであれば溜まった水をかき出すと良いでしょう。
しかし、下水場にごみが溜まっていてスムーズに排水処理ができない場合は、まず下水処理の場(リンパの流れ)を整えることが重要です。
また、身体の中でも濡れると良くない場所が湿邪により濡れてしまった場合、水は多くなくても乾かさなければいけません。
そんな時は乾かす漢方薬が必要です。
そのように同じ湿邪という括りであっても、去邪(悪いものを身体から追い出す)方法はその原因と体質に合わせていかなければいけません。
オリモノが多く粘質や匂いが強い場合
サラサラで多いオリモノは湿邪ですが、湿邪はリンパの巡りを停滞させる悪者となります。
すると流れるべき体温などのエネルギーがそこに溜まり化熱し、湿邪+熱→湿熱邪となり、
湿熱邪が発展すると、熱により水分が失われることで湿邪→痰邪となります。
喉が腫れて炎症が強い時に、喉の粘膜の潤いが濃くなって粘り気の強い痰となるように、
オリモノも粘っこく色濃く匂いが強くなるということです。
しかもこの痰邪は粘り気が強いことのイメージ通り、一度発展してしまうと症状の改善も頑固で治りは良くありません。
この時にサラサラオリモノの時に使用した去湿を目的とした利水剤を使用すると、
粘っこい痰邪がより水分を失い頑固にへばりつき巡りを悪化させてしまいます。
そんな時は袪痰剤を使用していきます。
痰邪であってもまだ水分がある痰邪の場合は半夏剤で乾かすことで痰を取っていくものもありますが、
失った水分を少し潤わせて取り除く軟堅散結の薬効のある複雑な方剤が必要になることもあります。
これも湿邪と同じで痰邪も質によって使用方剤が変わるというわけです。
フライパンにこびり付いた汚れや、排水溝のぬめりなどをイメージしましょう。
同じ汚れ(湿痰邪)でもその汚れの性質により使う洗剤によって汚れの取れ方が違い、
間違うと本体が傷ついてしまうことはわかるでしょう。
子宮や卵巣に汚れが付いているとそれが妊娠力を下げ、子宮頸がんリスクとなりますが、
その取り方も水毒だからイコール何でも水毒の薬は効く!といういうわけでもないのです。
万能の五苓散と聞くこともありますが、五苓散で邪が深くなる例もあるということです。
身体のお掃除は体内であり、粘膜に囲まれた場所ばかりなので、とてもデリケートです。
粘膜を考える時は目を考えてみましょう。
目は粘膜がむき出しでとてもデリケートということは想像しやすいことと思います。
特に頑固な痰邪の場合は、症状の動きも遅いですが、しっかりと地道に改善していかないと好転していきません。
また、単なる湿・痰邪だけでなく、湿熱・痰熱などの熱の度合いも絡むためより複雑です。
湿邪は元は水であり、陰陽の中でも陰邪にあたりますが、
熱邪は陽邪にあたり陰邪と陽邪は相反するもので、つまり湿熱はとても複雑です。
簡単に言えば冷えた性質の邪と熱い性質の邪が混ざり合っているため、
単純に温めたり冷やしたりすることが上手く働かず、温めつつ冷やすなどの薬効をもたらす部位による使い分けや
それぞれの量にも使い分けが必要でとても難しいです。
ですが、子宮頸がんリスクや妊娠率低下の大きな要因となってしまうので
オリモノの異常が見られる方は是非ご相談ください。