
妊活の知恵倉庫
2020-08-11 19:40:00
(この記事は約5分で読めます。難解度★★★★)
普段からむくみを感じる方も感じない方も、生理前になるとふくらはぎがパンパンに張り、もしくは足が重ダルくなるなどのむくみ症状が強まる人はたくさんいるでしょう。
症状名では同じ”むくみ(浮腫み) ”にあたりますが、感じ方も違えば原因が違い、体質とアプローチ方法も違うため、
それらの違いを中心に生理前後に起こるむくみ症状から身体の体質と妊娠力を見極め、改善する方法をまとめていきます。
病因
まず、”むくみ”の分別から始めていきましょう。
大きく分けると、むくみには『虚』が原因である場合と『実』が原因である場合があります。
1つの見分け方は、むくみ自体に張りが強くある場合は『実腫』であり、
ダルさや重たさを感じ触ると軟らかめで離しても触った痕が残る場合は『虚腫』です。
ですが、よく判別で言われる靴下の痕は、確かに痕が残っていますが、張るタイプのむくみでも痕が残るのでこれは虚実を判別する材料とはなりませんのであしからず。
(靴下痕が残る場合は、むくんでなくても締め付けが強い場合に見られることもありますので、参考にしないこともないですが個人的には他の情報を優先します。)
もう1つの見分け方は、生理前・中・後などのいつに症状が現れるかも重要です。
でもまとめましたが、
基本的に生理前は気・血が子宮に集まり、全身の巡りも停滞し『実』状態であり、
生理中は出血に伴う脱気により気虚・血虚の『虚』状態が主となります。
つまり、生理前で気の停滞が起こるとそれに伴い水も停滞することで『実腫』が生じ、
気虚が脾気虚や腎虚、時に肺気虚に絡むと脾・肺・腎の水循環機能が低下し、『虚腫』を生むというわけです。
教科書などにはこんな基礎的な事しか書いていませんが、
現実では生理前に肝気鬱が肺の機能を低下させ『肺気虚→虚腫』となることもあります。
元は肝気鬱が主で、胸の張りやイライラなどの”実証”が見られても、むくみは虚腫という矛盾などが生じることもあります。
その場合は、寝起きの手や目元など、寝ている時の重力が平らになった時に上半身にむくみが出て夕方には緩和するなどの場合は肺が関係していることが多く、
全身に出る場合は脾や肝が原因であることが多く、腰や下肢が重ダルく、とくに浮腫みとしては足首周辺に強い場合は腎が主であることが多いです。
このように、虚腫の中でも脾・肺・腎などの原因も変わってきます。
特にいつも書いているように、『腎虚≒生殖能力の低下』を示すものであり、
ふくらはぎというよりも足首で強く浮腫みを感じるなどの場合は生殖機能が低下しているということなので、
少しでも早く腎の負担を取り、むくみや妊娠力を改善していく必要があるでしょう。
次回はそれらの見分け方をより実践的に、そしてその場合の対処法を生活の中で、また漢方薬ではどうするのかを書いていきます。
教科書的でなく、実践的にまとめていきます。
2020-08-07 19:10:00
いよいよ猛暑の季節がやってきました。
私が子供の頃は、エアコンを設置している家なんてほとんどなかったですが(青森なので?)、
今では逆に青森でもエアコンを付けていないところの方が少ないくらいになりました。
ヒトの身体が機械に頼って弱くなったのか、温暖化などの何らかの影響で全体的な気温が高くなったのかと思いますが、
現代の暑さとエアコン、また運動不足は本来の”発汗”機能を乱してしまい、
それが妊活にも影響していると感じるところがありますので、今回はその点についてまとめていきます。
汗の役割
汗の主な役割は、皮膚表面で発汗し、汗が蒸発する時の気化熱により体内の熱を逃がすことで過剰な体温上昇を抑える働きです。
この体温調節は、皮膚表面の機能だと思っている人が多いですが、東洋医学的には”心”と”肺”の働きが大きいと考えられています。
この『心・肺と汗』の考えが浸透していない為、最近多く見かける『発汗=デトックス(解毒)』という誤った見方ができてしまっています。
汗は”心の液”
”心の液”って何?と思う人がほとんどだと思いますが、五臓にはそれぞれ司る体液・分泌液である”五液”があり、
肺は洟(鼻水)、脾は涎(ヨダレ)、肝は涙、腎は唾(唾液)をそれぞれ司り、『心は汗』というわけです。
(ヨダレと唾液の違いはヨダレは希薄で無意識に出るもので口を潤すことが主、唾液は粘質で意識的にも出て消化を助けるもの)
それぞれの臓に異常があるとその液が過剰や不足するなどの影響が出てしまう関係があります。
「汗は暑さによって出るのになぜ心?皮膚表層を司る肺じゃないの?」
東洋医学を勉強し始めの頃はそう思っていました。
ですが、心は五行の中では”火”に当たり、臓の中でも”陽中の陽”に当たり、
つまり身体の中で熱を溜めやすい臓ということです。
熱が溜まりすぎると心がオーバーヒートして心が司る脈に異常が出たり、脳に影響が出たり不眠になったり出血したりしてしまいます。
妊活においては、GnRHやFSH・LHなどの視床下部や脳下垂体に影響し、それらのホルモンが乱れ、早期閉経や多嚢胞性卵巣症候群などを生む原因となります。
そこまでならずとも、心に熱が溜まっていると、ホルモンが乱れ卵子の質が低下し妊娠力が下がることはあるので妊活においても重要です。
特に不妊治療でホルモン剤を使用してると陰を消耗し相対的に心火(陽)が強まってしまったり、
長引いた妊活は心の負担が積み重なり心に熱を生んでしまいます。
つまり、汗は心に熱が溜まった時の熱の捌け口となるもので、
体温上昇以外にも緊張や不安時に手に汗握ったり、過剰に発汗したりするのも体温は普通でも心動が過剰に働き、
心に熱を生んでいるために起こる発汗です。
汗腺は肺が司る
汗自体は心が司りますが、汗の門を開け閉じする汗腺は肺が司ります。
(厳密には”筋膜”を司る肝も関わるため、肺肝ではありますが)
つまり、汗の出方は心肺(肝)が手綱を握っていますが、現代人は運動不足な方が多く、心肺機能が落ちています。
また、今の時期は外は灼熱地獄ですが、室内はクーラーで冷えており、特にスーパーなどは冷蔵庫の中にいるようにキンキンに冷えています。
夏は汗で体温調節もしますが、他の季節よりも汗での水分代謝が活発になるはずなのですが、
快適な温度の環境に居ることで発汗機能が怠けてしまい、
また中は冷えていて外は暑いという気温差によって体温調整機能(肝)も狂うことで、
正常な汗のかき方ができなくなっている人が多いです。
すると、心(ホルモン分泌を司る脳)に熱が溜まっていても、上手く汗をかけず熱が滞り妊娠力を下げてしまうなどの弊害が現れます。
正常な汗のかき方とは
一番は適度な運動をし、汗をかくことです。
時に”デトックス(解毒)”といって、サウナや長風呂で大発汗を促し、それが健康に良い、と言っている人がいますが、
やはり発汗時には心肺機能を高め、気も血も水(リンパ)も心臓ドクンドクン、肺がハァハァいうことで巡ることが重要です。
サウナなどの過剰な暑さの元の発汗は、汗腺が詰まっている場合に詰まりを取るキッカケとして一時的に行うのであれば良いですが、
長時間運動を伴わない発汗を続けることは、本来の解毒・体温調整としての発汗でなく、
気津(身体に必要な体液)の漏出となってしまい、逆効果です。
ホットヨガも初めは身体が温かくなり、効果的に感じても、繰り返すことで身体に不調をきたすのもこれが原因です。
やはり、汗は日常的な温かさの元でじわっとかくか、または定期的に運動することでかくことが一番です。
また、発汗後は冷風などに当たると急激に体温が奪われ、汗腺もギュッと締まってしまうので、
汗の量が多い時は軽くハンカチなどで拭きながら自然と体温を下げると良いでしょう。
そういった本来の発汗を繰り返すと、本来の身体の機能が発揮され、妊娠力や健康を取り戻し、維持することに繋がるでしょう。
2020-08-05 14:12:00
たまには時事ネタを中心に。
昨日、大阪の吉村知事が会見を行った直後~1時間程は当薬局に「イソ〇ンありますか」客が怒涛の様に来たらしいです。(私は昼休憩しててその場にいませんでした)
マスクや消毒用アルコール、体温計、トイレットペーパーの不足時はTV放送を受け徐々にそれを求める方が増えていった印象でしたが、
今回のイソ〇ン(ポビドンヨード)うがい液に関しては知事の会見の最中にもかかわらず極大で来局されたようで
しかも会見を見てこちらに来るだけでも早いのに、大概の人はここに来る前に他のドラッグストアをハシゴしてきているようで、
コロナ騒動を受け、モノの動向に過敏になっている様が受け取れたとのことでした(他人事
(あまりの早さに、ほとんどが転売屋だったんじゃ?と思わないこともないですが)
当薬局は漢方相談が中心ですので在庫は少なく即売り切れ、そして仕入れはメーカー欠品で当分目途が立たない状況ですがそんなことはどうでも良いです。
ポビドンヨードうがい液について、個人的見解をまとめさせていただきます。
ポビドンヨードの特性
ポビドンヨードはポリビニルピロリドンとヨードが合成されたもので、ポリビニルピロリドン+ヨードを略してポビドンヨードと呼ばれている殺菌・消毒剤です。
昨日の吉村知事の会見の主旨であるCOVIT-19(コロナウイルス)罹患時の重篤リスクを軽減できるかどうかは正直なところ何とも言えないため、現時点での確かな事を中心に考えると
・ポビドンヨードの殺菌力は強い
・(重篤化を防ぐかはわからないが)ポビドンヨードでのうがいで喉のCOVIT-19は減少する
・ポビドンヨードはヒトの細胞にも毒性を発揮し、飲用はもちろん、頻回にうがいすることも身体(特に甲状腺)に悪影響を及ぼす可能性がある
・ポビドンヨードに関わらず、うがいを頻回に行うことは喉のCOVIT-19量を減らすことができる
・うがいはペッと吐くのでなくうがい後に飲み込む方がうがいで届かない喉以下の洗浄にも効果的
です。
ポビドンヨードは甲状腺の負担になる
子宝相談や健康漢方相談にのっていると、過亢進(バセドウ病)であれ、低下症であれ、もしくは数値上問題なくても甲状腺に炎症が起きている橋本病であれ、甲状腺に異常をきたしている方は多いです。
特に女性に多く、原因は日本人は海藻を食す機会が多く、昆布に含まれるヨード(ヨウ素)が過剰摂取となることで甲状腺への負担となることが多いと言われています。
これはヨードを含むうがい液で習慣的にうがいをした場合も同様のリスクが上がることはコロナ騒動が起こる前からの周知の事実です。
(東日本大震災時の原子力発電からの放射能漏れにポビドンヨードで予防!なども言われていた時にもこの問題は再燃していました。)
この習慣的なヨード摂取が甲状腺への負担となってしまう状態を”ウォルフ-チャイコフ効果”と言います。
元々甲状腺機能異常になっている人はもちろんヨードによる習慣的うがいは避けるべきで、
まだ甲状腺に異常がないとはいえ、予防としてうがいをし続けることは薦められません。
甲状腺機能は妊娠力とも関係してくるものですので、妊活中の人は特にお勧めしません。
結果として
ポビドンヨードは劇的に症状が回復したり、100%悪化を予防できるものではありません。
抗インフルエンザウイルスである”アビガン”も、「COVIT-19に効果がある」と言われたり、「実際に効果は無かった」と言われたり、
実態はわかりませんが薬剤師だからといっても製薬メーカーや国が行った試験データを信用するしかありません。
薬剤師も自分で薬の効果を調べることはできないということです。
COVIT-19軽症者・無症状者が少しでも悪化を防ぐため、またウイルスを蔓延させたないためには良いかもしれませんが(効果のほどは現時点では測りかねますが)
「特攻薬が出たとしても今までの対策が無に帰すわけではない」
と伝えたいです。
仮にイソ〇ンが劇的な効果があると今後分かったとしても、水でのうがいの効果がなくなるわけではありません。
手に入らないものを手に入れるために最善を尽くすのでなく、今あるものでできる最善を尽くしましょう。
今まで通り、普通の水での習慣的なうがいを忘れずに行いましょう。
普通の水でも、喉に付着した細菌やウイルスは流れ感染リスクは激減します。
特にガラガラとうがいをして細菌やウイルスが滞留している口の中の水は、飲みこむと胃に入り、胃酸で消滅します。
細菌やウイルスは気管~肺に行くと良くないですが、飲みこんで胃に入るのは何の問題も無いので、普段からは水でガラガラした後飲みこむようにしましょう。
仮にポビドンヨードでのうがいの際は、飲みこんでしまうと身体に対しての毒性の影響が出る可能性がありますので、うがい後はしっかり吐き出すことは忘れてはいけません。
そういった意味でも飲みこんで奥まで洗浄できる分、普通の水のうがいの方をしっかりする方が効果的じゃないのかな?なんても思いますが。
余談①
ポビドンヨードがCOVIT-19に効果的かどうかは置いておいても、吉村知事のこの会見による混乱はもっと考えてから行ってほしかったと思いますが、
功罪を挙げるなら、ポビドンヨードでなくてもうがいや手洗いなどの基本はやはり意味のある行動なんだと再認識する機会となればと思います。
(別に吉村知事が嫌いではないですし、むしろ橋本元知事さんの意思を受け継いでいると感じるので、頑張って欲しいと思っています。)
余談②
イソ〇ンは急激なものでしたが、マスクやアルコールはコロナ前に比べると価格はまだ高いものの在庫は落ち着いています。
しかしその中でも体温計は値段に関わらず仕入れも出来ない状態が続いています。
「赤ちゃんが産まれたら体温計が必要(絶対ではないが)になるのに、そういう人は困るよね」
昨夜私の奥さんが言っていました。
まさにその通りだと思います。
「不安だから」
「念のために」
と言う気持ちはわかりますが、どんなものでも「自分より必要としている人がいるかもしれない」と考え、行動しましょう。
もちろん、自分が何より必要とする立場の場合もあるでしょう。
人は品薄!品切れ!となると購買意欲が激増するようで、
特に心が満たされていない場合に意味もなく報道に左右されやすくなってしまうので、心穏やかに過ごしましょう。
転売なんて持ってのほかですが、自分だけを中心に考えた衝動的な行動は慎みましょう。
2020-08-03 19:30:00
食後に眠気を感じることはありませんか?
食後の眠気は、現代医学的には食事による血糖濃度上昇→インスリン分泌→血糖濃度の急降下による急激な血糖濃度の低下により起こると言われています。
また東洋医学では食後の眠気は”脾”の弱りからきていると考えられ、脾虚の方ほど消化吸収にエネルギーを使用する為、脳へのエネルギーが減ってしまい、より強い眠気を起こすと考えられています。
どちらにも共通することは甘味・糖質の過剰摂取や早食いが原因であり、
消化吸収に無理をさせることが眠気を強くさせてしまうということ。
食後の眠気は”脳へのダメージ蓄積”という身体からのサイン
一見、眠気は仕事効率が捗らない、または対人での仕事では失礼にあたるなど、仕事上での不都合しかないように思えますが、実は脳からのSOSのサインです。
この血糖値の急上昇急下降を日常的に繰り返すと脳へダメージが積み重なってしまいます。
排卵障害や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は肥満・糖尿病の方がなりやすいと言われ、痩せている人はならないと思っている人も多いですが、
健康診断時の空腹時血糖は正常であっても、高血糖や低血糖の上がり下がりによる脳への負担は蓄積し、
視床下部からのGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)や視床下部からのFSHやLHの出方に影響してしまいます。
すると排卵障害を起こし、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を引き起こしたり、疑似的更年期症状を起こすなどで卵胞が育たなくなったりしてしまいます。
妊娠糖尿病のリスクにも?
また妊娠糖尿病といって、妊娠前は普通の血糖値だったのに妊娠後半になると糖尿病になってしまう方がおられます。
これも上に書いていることと同じで、食後の急激な血糖上昇とその後の急下降(血糖値スパイク)が習慣化されている場合に多く見られます。
妊娠糖尿病は、産後に治り一時的であることが多いですが、出産までに母子ともに負担がかかり、難産リスクを上げてしまいます。
食後の眠気が強い人は
食後の眠気を強く感じる方は白米・パンなどの炭水化物から食べるのでなく、
・食物繊維の多い野菜を先に十分に食してから主食(糖質)の吸収を食べ、糖質の吸収をなだらかにする
・良く噛む(飲み物で流し食べない)
・早食い禁止
・それでも眠気が強い場合は炭水化物の量が多すぎるサインなので炭水化物の量を少しずつ減らして様子を見る
普段の食事の中で、たったこれだけでも改善できる場合も多いです。
たったこれだけといっても、習慣化すると良いですが、慣れるまではこれだけでも忘れてしまいがちです。
眠気を感じたら、この①野菜を食べる②良く噛む③早食いを止めるを見直し
それでも眠気がまだ強い場合は、④炭水化物の量を見直しましょう。
④まで習慣化しても眠気が強い場合は、漢方で脾虚状態を身体の中から建て直さなければいけない状態ですので、是非ご相談ください。
「たかが眠気、生活に支障はきたしていない」と侮らず、
いつも頑張ってくれている脳に優しい妊活を心がけましょう。
2020-08-01 11:31:00
今週は連休明けで予約のしわ寄せがあったのでブログ全く更新できず。。
タイムラインでの妊娠力UPポイントもまばらでした
忙しいのはありがたいことですが、もっと頑張って皆さんの妊娠に還元できるように頑張ります