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舌痛症の漢方薬
2026年08月25日
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前回↓
の続きです。
目次
舌痛症の漢方薬
甘露飲
胃陰虚による舌痛症に適している。とはいえ、更年期の腎陰虚→胃陰虚への波及で症状が出ている人も少なくない為、腎陰虚~胃陰虚の場合に用いることが多い。
胃陰虚の判断は舌の裂紋の深さが主であり、また苔も剥離していたり薄いことが想定されると思われているが、実際の甘露飲が有効な場合の舌は、経験上は案外に苔が厚く付いていることが多い。
陰虚であるため、身体の畑の土が硬くなってしまい、飲食物の栄養や潤いが沁み込まず、舌表面に乗っかっているような状態が想定される。
炙甘草湯
心気虚と心陰虚を併発している場合の舌痛症に用いると良い。
体質としては舌痛症になる以前から不安になりやすい性格の方や不眠の人に多く見られる。
向精神薬を長く服用したことでの心陰虚の場合にも使用する。
竹葉石膏湯
胃火と胃陰虚をどちらも処置する方剤。
風邪などの邪による熱が原因となることもあるが、基より辛い物を好むなどの胃火傾向や胃陰虚傾向などがあるなども参考となる。
白虎加人参湯
胃火が強く、胃陰虚はそれほどに強くない場合の舌痛症に用いることが多い。
口の中の渇きなどの訴えが強く、暑がり、それ故の多汗、脈が強いなどの所見もある。
黄連阿膠湯
心・腎陰虚からの舌痛症に用いることが多い。
不眠や、不眠であるのに起きている時は眠気が強く怠い、不安感が強い、胸周辺が落ち着かない、上半身特に首以上での熱感症状が強い等の所見あり。
黄連解毒湯
舌の痛みと灼熱感がどちらとも相当に強い場合、心火(胃火)が強い可能性がある。
その裏に陰虚がある可能性もあるが、まず火を落ち着けるものとして黄連解毒湯で瀉火し、2次的に潤いも守る働きがある。
半夏瀉心湯
保険処方で考える場合に使用されている印象がある。
黄連・黄芩で火邪を瀉し、人参・大棗・甘草などで陰を補うのはまだわかるが、乾姜や半夏で乾かすのが少しネック。
陰を補うと書いたが、滋陰作用もかなり弱い。
立効散
基本は歯痛で使用することがある処方。
口腔内ということで保険内処方として出されることもあるようだが、個人的にはほぼ使ったことがない。
桂枝五物湯
口腔の熱症状に対して使用される処方。
糜爛や潰瘍などの見た目にも表れるような強い炎症に対しても使用され、舌痛症に対しても使用されることは多々ある。
しかし個人的には対症療法的で長い目で見た体質改善薬としては使用しない。
黄連湯
半夏瀉心湯よりも黄連が多く、心火を降ろす作用があることで使用することもある。
が、半夏瀉心湯と同じように乾かす作用もあるため、陰虚が強い場合にはあまり使用しない。
麦門冬湯
甘露飲のように胃の粘膜不足に対して使用することがあるが、甘露飲は胃陰虚であり麦門冬湯は胃津虚という使い分けをしている。
津虚とは、陰虚の一種ではあるが、陰虚の中でもサラサラした汚れの少ない水に近い潤いが弱まっていることを指している。
そうした潤いが弱まっており、また火邪が強くないことでの舌痛症には麦門冬湯を
理屈ではそうだが、舌痛症のほとんどは胃津虚ではなく胃陰虚まで傷んでしまっていることが多いため、補助的に使用することはあるが、軸にはならない。
また、火邪が強い場合は竹葉石膏湯などを優先するので、火邪が強い場合はあまり使わない。
天王補心丹
陰虚が元で「心腎不交」(腎陰虚と心の虚火)となってしまった場合の舌痛症に対して使用する。
舌痛症状以外にも寝ても熟睡感が無かったり中途覚醒を繰り返すタイプの不眠症や不安感、動悸・胸苦しさを感じやすい人に良い。
腎陰虚がベースであるため更年期で発症することも多いが、60~80代などでも発症する場や短い睡眠時間が続くことで発症したケースでも使用することも多い。
滋陰薬が多く配合されているため、胃腸が弱い人には胃腸の負担がかかりやすいのでその面もケアしながら服用しなければならない。
知柏地黄丸
腎陰虚をベースとする中で火照り・ホットフラッシュなどの熱症状全般に使用することが多く、その中で胃陰虚や心陰虚、心火の漢方薬を使用する中で腎陰虚が十分でない場合に併用すると良い。
同処方は熱症状に対しての対応があるが、 黄連解毒湯・茵陳高湯などのような瀉火剤は時に乾かす作用もあり、舌痛症の多くは陰虚ベースで乾かすといけないので知柏地黄丸のように火は降ろしながら潤わせるものが良い。
麦味地黄丸
知柏地黄丸と同様に六味丸ベースであり同様に腎陰虚を潤わせるために胃陰虚や心陰虚、心火に対しての漢方薬と併用する。
知柏地黄丸との違いは知柏地黄丸は「降火」、つまり体内の火を降ろす働きがあり、麦味地黄丸は肺・胃津虚を潤わせる働きがあるため、ホットフラッシュや火照りなどの熱症状が強い場合は知柏地黄丸、シェーグレン症候群などの渇きの症状が強い場合は麦味地黄丸を併用する。
舌痛症に関しても、口内の渇きが強い場合は麦味地黄丸、舌痛症に伴う灼熱感が強い場合は知柏地黄丸が良い。
桂枝加竜骨牡蛎湯
陽が収まり処がなく、火邪となってしまっている場合桂枝加竜骨牡蠣湯で腎へ陽を収めることで症状を緩和する。
陰を補う効果は無いため、滋陰剤と併用する、もしくは陽気が弱っているために虚熱を産んでいる場合は附子剤などを補いつつ桂枝加竜骨牡蠣湯を使用することで緩和する。
熱症状や渇きに対して附子剤を使うことは怖さもあるが、そうしないと治まらないことも少なからずある。
弁証した上で慎重に様子を見る。
サプリ
カルシウム製剤
カルシウムを竜骨牡蛎と捉えることで、桂枝加竜骨牡蠣湯にあるように陽を腎に収める形で使用することがある。
ワタナベオイスター
牡蠣肉はミネラル・ビタミンが豊富で、味覚異常に関わりが深い亜鉛も多く含まれる。
味覚異常の延長線で舌痛症に対して病院が亜鉛製剤を出すこともあるが、ミネラル系は単体で補うよりもミネラル全体のバランスが良い状態で摂取することが良いと考えられている。
実際、亜鉛製剤や亜鉛サプリの容量よりワタナベオイスターに含まれる亜鉛量は少ないものの、精子の運動や味覚異常などの亜鉛不足が原因で生じている症状を緩和することが多く体験している。
普段の食事からの栄養バランスが悪い人に対し、弁証を基とした腎陰虚や胃陰虚、心陰虚、心火、胃火などが顕著に見られない場合などにはワタナベオイスターでミネラルを補うとともに舌粘膜を強くする目的で使用する。
ωー3不飽和脂肪酸(EPAなど)
現代人は動物性たんぱく過多な傾向があり、魚などの不飽和脂肪酸が不足している傾向にある。
そのことにより卵子の膜が弱くなったり血がドロドロして血行不良になるなどもあるが、舌も粘膜を強くするうえで脂もバランスが良くないといけない。
現代人に不足しがちなωー3不飽和脂肪酸により、日々の舌の粘膜が強くなり、舌痛症の緩和に繋がる。
舌痛症の漢方薬まとめ
基本的に私が使用する漢方薬についてまとめたが、これのみを参考に自分の舌痛症の薬を決めることはお勧めしない。
陰虚と火邪が原因であることは簡単なようで陰虚と火邪のそれぞれの強さのバランスや胃・心・腎の陰虚や胃火・心火のいずれなのかなどの弁証は難しいためだ。
ここに書いている処方のみで治まるようなら単純で良いが、実際は陰虚なのに湿痰も絡んで虚実錯雑になっているなども多く見受けられる。
その場合、湿痰があるのに滋陰するなどは難しいので、舌痛症で悩む方はぜひ相談してほしい。
多くは舌痛症になってから3代欲求の一つである”食”に関して幸せを感じず苦痛しか感じなくなっており、そういった状態は生活する上でとても幸福度が落ちる。
今まで相談に乗ってきた経験から、そうした状態を脱するお手伝いができたらと思う。
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心のこもった漢方相談を 平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔




