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【間質性膀胱炎・慢性膀胱炎】五淋散と猪苓湯合四物湯との違いは?【Q&A】
2026年10月09日
最近、間質性膀胱炎の方からのご相談が増えております
間質性膀胱炎は難治性で、何とも言えない不快感が一日中続き
そして夜は睡眠を妨げ、膀胱症状以外に精神的負担も強い疾患です
漢方の知識がこれまでの間質性膀胱炎で悩む方の助けになっておりますので
参考になれば幸いです
(専門度★★★。6分で読めます。)
Q.膀胱の不快感が強いため、ネットで漢方薬を調べると五淋散と猪苓湯合四物湯が良いと出てきた。イマイチ違いが判らないので漢方専門家の意見を聞いてみたい。
A.構成生薬では大きく違いますが、その違いを書いてもよくわからないですよね。
確かにどちらも頻尿、膀胱不快感、尿ギレの悪さ、残尿感、排尿痛などに使用します。
教科書通りの漢方運用法を伝えするなら五淋散は急性症状に使うことが多く、猪苓湯(合四物湯)は膀胱の不快症状が慢性的になってしまった場合に使うことが多いです。
まずその理由の大きなところは、五淋散の方が炎症を鎮静化させる成分が多めに配合されており、抗生物質のようにバイ菌をやっつける効果がある訳ではないですが、利尿作用により外に排出し、炎症で弱っている膀胱粘膜を守るため、バイ菌由来の急性膀胱炎にも著効します。(抗生物質の方がより即効性がありますが!)
一方で猪苓湯(合四物湯)は利尿作用と清熱作用はどちらもありますが、利尿作用が主で清熱作用、つまり炎症を鎮静化させる力は弱く、バイ菌由来の急性膀胱炎には効かないわけではないですが、マイルドな効果ですので炎症が強いことで不快感や排尿痛が強い場合にはあまり良くないでしょう。
しかし、膀胱炎という炎症が長きにわたると患部が乾燥してしまっていたり、猪苓湯自体も利尿効果により膀胱が乾燥しやすいことがあります。
これを漢方では”陰虚”と言いますが、陰虚が回復していないと一時的に症状が緩和したように感じていても抵抗力が弱まっているため、繰り返し菌にやられてしまう慢性膀胱炎を産んだり、または菌の影響は受けていないにも関わらず膀胱粘膜が薄くなっていることで膀胱に水分が少し溜まっただけで不快感や頻尿などを感じ、ですが本来の容量ほど溜まっていないため尿意の割に小便してみてもキレが悪かったり少量しか出なかったりという菌が関係しない間質性膀胱炎の土台を形成してしまいます。
そこに猪苓湯の中の阿膠や四物湯を合わせることで滋陰&補血効果をもたらし、長期的な膀胱炎で傷んだ膀胱粘膜を潤わす”滋陰”していくわけです。
五淋散の中にも地黄という滋陰剤は配合されていますが、この地黄には「乾地黄」「熟地黄」「生地黄」などの種類があり、乾地黄は清熱効果に長けており、熟地黄は滋陰(潤いを与える)効果に長けていて、五淋散は炎症を抑える目的であるため、乾地黄であり、潤いを与える作用は弱いです。
また、間質性膀胱炎や慢性膀胱炎は痛みを訴える方もいますが、それよりも明らかに頻尿・尿意切迫感・尿ギレの悪さなどの不快感が強く、気が狂うほどだという相談を受けることが多いです。
そうした膀胱の状態に猪苓湯のような利尿作用のお薬を使うことに抵抗を覚える方も多いと思います。
例えばカリウムの多い夏野菜や果物、コーヒーなどの利尿作用のあるものを口にすると尿意が強まり不快感が始まる経験をしている人が多いためでしょう。
”利尿作用”という言葉に敏感になるお気持ちはいろんな方とのご相談で重々承知していますが、漢方薬においての利尿作用は少し違い、確かに尿意を促すこともありますが、身体に余計な水分がある場合には排尿でその水分除去を促す効果はありますが、膀胱に十分な水分が溜まっていない場合には尿意はもたらしません。
そもそも猪苓湯を一番使うことが多い例が「頻尿」です。
頻尿はしっかりと一回量が出し切れないことで次の尿意までの時間が短くなってしまうことや、炎症や陰虚によって膀胱の感覚が過敏になり、大して小便が溜まっていないにも関わらず尿意を催してしまうことにあります。
猪苓湯の利尿作用と滋陰効果はまさにそれに合わせたもので、一回の小便量をしっかりと出すことで残尿感を減退させ、排尿後の膀胱残量を少なくし、また滋陰効果と清熱作用により膀胱過敏状態を緩和させるため、利尿効果のあるものですが小便回数は減るわけです。
先に書いたカリウムの多い食材やカフェインによる利尿効果は無理やり水分を外に出すこともあり、不快感を産むことも少なくありませんが、漢方薬はそうした不快感対策もできている方剤が多いわけです。
ただ、こう書いてしまうと慢性膀胱炎や間質性膀胱炎に猪苓湯が万能薬だったり自分に合っているとすぐに思ってしまう方がいますが、実際はもっと複雑で慢性化しているからこそ生じている瘀血や気虚気滞なども考えないといけません。
それこそ先に「教科書通り」だと五淋散は急性膀胱炎、猪苓湯は慢性的な膀胱炎にと書きましたが、教科書通りに行くほど単純であればそもそも長年その症状に悩まされていないでしょう。
漢方薬による慢性膀胱炎・間質性膀胱炎治療は正直効果を感じるまでに数ヶ月~数年かかることもあります。
膀胱のつらい症状が日々あることは精神的に負担が強いことは色んな人とのご相談を介してこちらも心が痛んでしまうほど感じています。
ジムソや水圧、レーザーなどによる膀胱病変部への焼灼などで改善している人もいますが、それらでなかなか上手くいかない方や、一時は良くてもやはり完治の難しい世界なので繰り返してしまう方は是非ご相談ください。
それこそ食事にも気を遣う人も多いですが、私の食事法はあまり厳しくなく、というか食事療法は短期では良いことも多いですが、長くなるほど食に対するストレスが自律神経の負担となり、その負担が膀胱に悪さを蓄積してしまうという逆効果を産むこともしばしばあるため、そうしたことも総合的にご相談に乗っております。
今回のように質問があればお返事いたしますが(Qに対してAがでかすぎる)、ネットで調べて自己判断の漢方薬を服用するのではなく、専門家にご相談ください。
当薬局は青森ですが、間質性膀胱炎・慢性膀胱炎のご相談に関しては県外からのお電話相談の方が数が多いほどで、もちろんご遠方の方への漢方相談も差し支えなく受けております。
いっぱい書き過ぎましたが、これからもQ&A形式や間質性膀胱炎の方への訴えは繰り返していこうと思います。
青森の平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔





