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慢性膀胱炎・間質性膀胱炎

2026年03月09日


膀胱炎とは

尿を溜める「膀胱」の粘膜に細菌が増殖し、炎症を起こす病気を“膀胱炎”と言います。冷えや尿意を我慢することだけでも発症することがあり、特に女性は2人に1人は一生のうちに1度は経験すると言われるほど非常にありふれた疾患です。症状には
・排尿痛・・・排尿中~後に尿道や下腹部に痛みを生じる
・残尿感・・・排尿後も尿が残っているようなスッキリしない感覚、不快感が続く
・頻尿・尿意切迫感・・・・短時間でも頻繁に尿意を感じる
・血尿・尿の濁り・・・尿に血が混じったり、白っぽく濁り透明感が無くなる
などがあります。

「排尿痛」といっても他に代表される月経痛や頭痛などに比べると痛みに激しさを伴う例は少ないですが、不快感や切迫感は生活の質を落としてしまい、また精神的苦痛としてもツラい症状です。

分類
膀胱炎には「急性膀胱炎」「慢性膀胱炎」「間質性膀胱炎」に分けらます。

急性膀胱炎
ほとんどの膀胱炎は急性膀胱炎であり、感染元の細菌・ウイルスが抗生物質の服用ですぐに治癒できます。抗生物質は病院でないともらえないため、市販品や漢方薬で対応する場合、
・炎症が強いタイプ(痛みや症状が激しいタイプ)・・・竜胆瀉肝湯
・炎症もあり、不快感も伴うタイプ・・・五淋散
・痛みは弱く、出し渋るなどが主体のタイプ・・・猪苓湯
を基本に服用するとよいですが、小林製薬のボーコレンなどは五淋散が主体となっております。

生活においては膀胱内の菌を薄めるために水分をしっかり摂って小便回数を増やすこと、身体を冷やさないこと、もちろん尿意を感じた時は無理して我慢しないことなども大切です。

慢性膀胱炎
抗生物質の使用により症状が一時改善するもののその後再発してしまう場合や、抗生物質で症状の改善が見られない膀胱炎を慢性膀胱炎と言います。

抗生物質の長期使用や乱用は耐性菌を生んでしまったり、体内においても良い菌である善玉菌も除去してしまうなどの副作用を生じてしまいます。そのため効果が見込める場合であっても抗生物質の使用が制限されたり、そもそも抗生物質の効果が見込めないことで、QOLの低下に繋がり、また精神的負担へと派生することも多々あります。

原因は何らかの形で膀胱の免疫力が落ちてしまい、繰り返し膀胱炎病原菌に感染してしまうことにあります。尿路結石や前立腺肥大、また冷えや心的負担が原因となることが多いですが、明らかな原因が見つからない場合も多く、抗生物質の効く急性膀胱炎と違い、西洋医学での治療が上手くいかないことで漢方相談に来られることが多い病態です。

間質性膀胱炎
急性膀胱炎・慢性膀胱炎の原因は細菌感染による炎症ですが、何にも感染していないにも関わらず膀胱に炎症が見られる病態を「間質性膀胱炎」といいます。また、間質性膀胱炎の中でも検査にてぼうこうねんまくにてnン条出血痕が見られる場合をハンナ型、そうでない場合を非ハンナ型に分け、ハンナ型の場合はハンナ病変が見られるところを部分的に電気メスやレーザーで焼く治療法や、ジムソというお薬を注入する方法、また膀胱に水を入れ膨らませる治療術である「膀胱水圧拡張術」などもありますが、一時的緩和は見られることもありますが完治例は多くありません。

難治性膀胱炎疾患に対する個人的見解

慢性膀胱炎・間質性膀胱炎のいずれも、西洋医学の分類では難治性疾患に属します。漢方においては、排尿痛・頻尿・残尿感・尿ギレの悪さなど、その人の抱える膀胱炎に付随する不快症状を緩和することで生活の質を回復し、心的負担を軽減していくことが第一歩です。個人的には漢方においても難治性ではありますが、症状の緩和を積み重ねる中で完治に導けた例もあります。

膀胱症状を分解すると、漢方的原因は膀胱患部の虚(炎症を治そうとする力や免疫力の不足)や瘀血(膀胱の血行不良)、寒邪(膀胱・腎の冷え)、陰虚(膀胱粘膜が虚損することで過敏)が関わっている例が多く、一般的な膀胱炎症状に多用される五淋散・竜胆瀉肝湯・猪苓湯・清心蓮子飲などだけでは対応しきれいないことの方が多いです。また、ご相談に乗っていると感じるのは、膀胱の負担が強いほど心的負担も強まってしまい、心も壊れていってしまう方が非常に多いです。

なっていない人にとっては「たかが膀胱炎」と思うかもしれませんが、外出中で近くにトイレが無い場合や仕事・試験などでトイレに行けない環境下にも関わらず強い尿意を生じた時に感じる切迫感はわかるでしょう。それが夜寝ている時も含め、24時間感じ続けている人もいます。

そういった状態は、仕事や日々の生活がトイレを意識した行動に縛られたり、常に頭から離れない不快症状と付き合う中で精神的負担が強まってしまっているのです。

また、膀胱炎の炎は小腸の熱にも影響されることも多く、心的負担→心火→小腸熱→膀胱炎の炎を煽る→膀胱悪化→心的負担→・・・と悪循環を生んでしまうことがあります。

緊張時やトイレが無い時こそ尿意の切迫感が強くなってしまうこともあると思いますが、それはこうした心的負担と肝(自律神経)の緊張から膀胱が収縮することで生じます。

病院へ行き色々な治療を経ても改善の兆しがないことも精神面への負担を強めてしまいます。しかし西洋医学において原因がわからない難しい病態であっても、漢方相談により病名ではなくご症状を訴えている方と向き合うことでご症状改善を積み重ね、快適に過ごせるようにご支援しております。難治性膀胱炎に悩む方もその一つですので、こちらのサイトを参考に過ごしてみたり、ご相談をご希望でしたらぜひお問い合わせください。



慢性膀胱炎・間質性膀胱炎に使用することが多い漢方薬とその使い方

①五淋散

「構成」
山梔子(さんしし)・黄芩(おうごん)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・茯苓(ぶくりょう)・当帰(とうき)・地黄(じおう)・沢瀉(たくしゃ)・木通(もくつう)・滑石(かっせき)・車前子(しゃぜんし)

 漢方において膀胱炎は“湿熱”、つまり『湿邪』と呼ばれる水の汚れと『熱邪』と呼ばれる炎症が複雑に絡み合った状態により生じると考えられている。この“湿”と“熱”はその人により軽重が見られるが、五淋散は“湿”と“熱”の度合いが半々の状態にフィットする急性膀胱炎・慢性膀胱炎・間質性膀胱炎に多用される基本処方。

 炎症を伴う膀胱炎には良いが、腎・膀胱の冷えによる頻尿・膀胱不快症状に対しては患部の部分的炎症に見られる“熱”以上に冷やしてしまい頻尿を助長するなどの恐れがある。特に車前子は膀胱炎による不快症状を助長してしまう可能性があるので注意。

②猪苓湯
「構成」
猪苓(ちょれい)・茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)・滑石(かっせき)・阿膠(あきょう)

利水・利尿薬が軸となり、尿量を増やし排泄物濃度を薄めることで浸透圧を下げ、滑石による清熱効果で炎症を抑え、阿膠により膀胱粘膜を強化することで尿意切迫感・排尿困難・頻尿・尿ギレの悪さ・残尿感・排尿痛などの緩和に使用される。

処方構成は利水の漢方薬の中でも有名な“五苓散”の処方構成に似ているが、利水薬だけなく滋陰剤や寒性の滑石が大きく異なる。

しかし、“湿熱”で考えると湿>熱の状態に向けた構成で炎症を抑える清熱作用は弱く、単独では膀胱炎の中でも痛みの訴えが少ない膀胱不快症状を中心とした状態への使用か、炎症を抑える五淋散や竜胆瀉肝湯と合わせての使用が望ましい。

エキス剤では阿膠の代わりにゼラチンで代用しているメーカーが多く、その場合滋陰(粘膜の潤い強化)効果は見込めない。

③竜胆瀉肝湯

「構成」薛氏医案
竜胆(りゅうたん)・山梔子(さんしし)・黄芩(おうごん)・木通(もくつう)・沢瀉(たくしゃ)・車前子(しゃぜんし)・当帰(とうき)・地黄(じおう)・甘草(かんぞう)

「構成」漢方一貫堂医学
竜胆(りゅうたん)・山梔子(さんしし)・黄芩(おうごん)・木通(もくつう)・沢瀉(たくしゃ)・車前子(しゃぜんし)・当帰(とうき)・地黄(じおう)・甘草(かんぞう)・芍薬(しゃくやく)・川芎(せんきゅう)・黄連(おうれん)・黄柏(おうばく)・連翹(れんぎょう)・薄荷(はっか)・防風(ぼうふう)

“湿熱”で考えた場合においては熱>湿の状態に対して使用する。熱が強いため、症状としては痛みの訴えが強く、尿量が少なく尿色が濃く、匂いが強い場合が多い。また、血尿を伴うレベルの炎症が強い状態にも使用する。その作用は膀胱に限らず、下焦と言われる身体を上・中・下(と言っても脚などではなく、内臓の上中下なので下腹部以下が主な下焦)に対して使用できるため、大腸や子宮、膣、陰唇に対しての痛み・炎症随伴症状にも多用される。

竜胆瀉肝湯には『薛氏医案』と『漢方一貫学医学』の2処方構成があり、『薛氏医案』の竜胆瀉肝湯は清熱>利水効果を目的としているため、痛みが強くとにかく炎症を抑えるという場面で使用するとよい。『漢方一貫堂医学』の竜胆瀉肝湯は解毒証体質と言われる炎症を生じやすい体質治療を処方目的としている。

④清心蓮子飲

処方

蓮肉(れんにく)・麦門冬(ばくもんどう)・人参(にんじん)・茯苓(ぶくりょう)・車前子(しゃぜんし)・黄耆(おうぎ)・甘草(かんぞう)・地骨皮(じこっぴ)・黄芩(おうごん)

外出時にトイレ近くに無いことで逆に尿意が強まってしまう、会議中や試験中にトイレに行きにくい環境で逆に頻尿になってしまうことは無いでしょうか。これらの要因は膀胱ではなく、心労・心熱により偽炎症症状が強まってしまう場合や、肝気鬱により膀胱収縮を促されることにあります。この中の“心”への負担からの膀胱炎症状には、膀胱患部だけでなく心のフォローも大切になります。その場合に使用するものが、清心蓮子飲です。

また、忙しさや疲労時、寝不足時に頻尿や尿ギレの悪さ、残尿感が強まり、果ては膀胱炎になってしまう方もいるでしょう。疲労による免疫力低下で膀胱炎を繰り返してしまう形ですが、漢方ではこの状態を「労淋(ろうりん)」といい、この場合にも清心蓮子飲が推奨されています。

慢性膀胱炎や間質性膀胱炎は繰り返す不調の中で“心”を消耗し、また“心労”から免疫力低下を生み「労淋」状態にもなっている方が大変多いです。症状の慢性膀胱炎や間質性膀胱炎でお悩みの方も痛みの訴えより言葉にしがたい不快症状の訴えの方が強い方も多いです。

しかし、個人的にご相談を通して感じていますのは清心蓮子飲単独では理想通りに緩解することが少ないということです。炎症は強くはないとはいえ、微かな火でも長い間燻られていると膀胱粘膜はどうしても薄く過敏になってしまい、また同じように長い炎症はその部分の血管に瘀血を生じてしまいます。

それらの所見は舌や脈で見られないこともありますが、膀胱患部の局所状況を理解し、使用することで緩和することが多いです。
 

⑤逍遥散・加味逍遙散・黒逍遙散
構成(逍遙散)

柴胡(さいこ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・当帰(とうき)・薄荷(はっか)

構成(加味逍遙散)

柴胡(さいこ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・当帰(とうき)・薄荷(はっか)・牡丹皮(ぼたんぴ)・山梔子(さんしし)


構成(黒逍遙散)

柴胡(さいこ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・当帰(とうき)・薄荷(はっか)・地黄(じおう)

④清心蓮子飲のところで書いたように、精神的負担が肝に影響し、膀胱収縮を活発にしてしまうことがあります。膀胱炎というより過活動膀胱に当てはまる場合もありますが、月経や排卵などのホルモンバランスが変動する時や自律神経系の乱れにより膀胱炎症状を繰り返し、もしくは増悪する場合に使用する。

過活動膀胱に対しては単独使用でも良いが、排尿痛や残尿感、頻尿などの症状が強い場合には湿熱の軽重により①~③との併用が望ましい。

逍遙散と加味逍遙散、黒逍遙散の違いは逍遙散をベースに牡丹皮と山梔子を加味したものが加味逍遙散であり、逍遙散に生地黄を加味したものが黒逍遙散です。

個人的には湿熱の軽重により①~③を併用することが主なので、加味逍遙散で清熱効果を高めず、ベースである逍遥散や、長期膀胱炎による滋陰の目的を考え黒逍遙散の使用が多い。

炎症を伴わない過活動膀胱の場合、逆に牡丹皮や山梔子、生地黄は内部の冷えを生み不快症状が増してしまう恐れがあるので注意。

⑥小柴胡湯・四逆散・大柴胡湯加減・柴胡疎肝湯

構成(小柴胡湯)
柴胡(さいこ)・半夏(はんげ)・黄芩(おうごん)・人参(にんじん)・甘草(かんぞう)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)

構成(四逆散)
柴胡(さいこ)・枳実(きじつ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)

構成(大柴胡湯)
柴胡(さいこ)・半夏(はんげ)・黄芩(おうごん)・枳実(きじつ)・芍薬(しゃくやく)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)・大黄(だいおう)

構成(柴胡疎肝湯)
柴胡(さいこ)・枳実(きじつ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・香附子(こうぶし)・川芎(せんきゅう)・青皮(せいひ)

慢性膀胱炎や間質性膀胱炎は体質改善や長期にわたる炎症症状からくる瘀血・陰虚を行わなければならない。膀胱炎自体女性に多いことや膀胱症状は精神的負担が大きいことから、逍遙散と同じ柴胡剤であるこれらも慢性膀胱炎・間質性膀胱炎治療に良く使用します。


この3つでは気の鬱滞の度合いにより選択すべき処方が変わります。自律神経への負担が大きく、膀胱収縮の軽重により上記方剤を選択します。大柴胡湯は大黄により瀉下しやすいので、大柴胡湯去大黄で対応することも多いです。

場合によっては柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯、または柴胡剤ではありませんが、香蘇散など疎肝作用のあるお薬を使用することはとても多いです。香附子を中心とした疎肝剤出ない場合、長期の使用は陰虚の原因ともなり得るので状況をみて柴胡剤から補気・滋陰剤に変更していくことが望ましいでしょう。

⑦大黄牡丹皮湯・腸癰湯
構成(大黄牡丹皮湯)
桃仁(とうにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)・冬瓜子(とうがし)・大黄(だいおう)・芒硝(ぼうしょう)

構成(腸癰湯)
桃仁(とうにん)・冬瓜子(とうがし)・薏苡仁(よくいにん)・牡丹皮(ぼたんぴ)

漢方では下腹部内の癰(よう:化膿)を「腸癰(ちょうよう)」と言います。これらは腸癰に向けた漢方薬ですが、前立腺炎や膀胱炎にも使用されます。

慢性膀胱炎・間質性膀胱炎の方は長い罹患歴の中で虚損していることが多いため、便の状態が安定しない方や下痢軟便の方には瀉下作用が強い大黄や芒硝を含む大黄牡丹皮湯ではなく腸癰湯を使用します。

前立腺炎による頻尿や残尿感、尿キレの悪さなどの症状が強い場合は大黄牡丹皮湯が良いでしょう。

どちらにせよ単独での使用ではなく、男性の場合は前立腺炎も考えるが、女性の場合は長期にわたる炎症ほど膀胱~腹腔内の瘀血を生むため、腸癰→駆瘀血と考え使用することが多いです。

⑧苓姜朮甘湯

構成

茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・乾姜(かんきょう)・甘草(かんぞう)

慢性膀胱炎・間質性膀胱炎と書くとどうしても炎という言葉から炎症を生じてしまっていると連想することが多いですが、炎症とは逆に冷えると症状が悪化する場合があります。季節として気温が下がる秋口から冬にかけてはもちろんですが、最近では気温が高い夏の方が室内の冷房で冷えてしまうけれど着込む時期でもないため、夏場の冷えにより悪化してしまう場合にも使用します。

⑨六味丸・八味地黄丸・麦味地黄丸

構成(六味丸)

地黄(じおう)・山薬(さんやく)・山茱萸(さんしゅゆ)・沢瀉(たくしゃ)・茯苓(ぶくりょう)・牡丹皮(ぼたんぴ)

構成(八味地黄丸)

地黄(じおう)・山薬(さんやく)・山茱萸(さんしゅゆ)・沢瀉(たくしゃ)・茯苓(ぶくりょう)・牡丹皮(ぼたんぴ)・附子(ぶし)・桂枝(けいし)

構成(麦味地黄丸)

地黄(じおう)・山薬(さんやく)・山茱萸(さんしゅゆ)・沢瀉(たくしゃ)・茯苓(ぶくりょう)・牡丹皮(ぼたんぴ)・麦門冬湯(ばくもんどう)・五味子(ごみし)

六味丸をベースとした処方で、陰虚、その中でも腎陰虚を補うことを中心とした処方。慢性膀胱炎・間質性膀胱炎のベースは根本体質が腎陰虚や腎陽虚体質であることから来ていることがあり、また長い膀胱炎歴の中で膀胱陰虚になってしまう場合も良くあります。

元々六味丸ベースの処方は膀胱に向けた症状にも処方されますが、基本は幼い子の膀胱の未発達であったり、逆に高齢者が腎・膀胱が弱ってしまったことによる不調に対しての記載が多くあります。ただ、膀胱局所の負担が長い間続くと、年齢に関わらず膀胱・腎の傷みが早く、同症状をきたしてしまいます。そうなるといくら炎症を抑えるお薬を使用しても回復しません。

また、苓姜朮甘湯と同じように冷えにより症状が強まってしまう場合には八味地黄丸が良いです。腎の冷えには附子が奏効するため、とても良いのですが、逆に冷えではなくやはり炎症が強い場合には附子は良くないので、見極めることが大切です。

麦味地黄丸は肺・腎陰虚に対しての処方ですが、肺は表層の陰虚であり、膀胱粘膜は膀胱の中でも体内ではありますが膀胱としては一番の表層ですので、六味丸よりも膀胱粘膜の陰虚を潤わせていくために使用することもあります。

参苓白朮散・補中益気湯・小建中湯類

構成(参苓白朮散)

茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ)・人参(にんじん)・甘草(かんぞう)・山薬(さんやく)・蓮肉(れんにく)・白扁豆(はくへんず)・桔梗(ききょう)・薏苡仁(よくいにん)・縮砂(しゅくしゃ)

構成(補中益気湯)

人参(ニンジン)・白朮(ビャクジュツ)・黄耆(オウギ)・当帰(トウキ)・大棗(タイソウ)・柴胡(サイコ)・陳皮(チンピ)・甘草(カンゾウ)・生姜(ショウキョウ)・升麻(ショウマ)

構成(小建中湯)

桂枝(けいし)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう)・膠飴(こうい)

上記3つは慢性膀胱炎・間質性膀胱炎症状に即効性はないのですが、慢性膀胱炎・間質性膀胱炎は長期症状に悩まされるうちに瘀血・陰虚とは別に体力の消耗を引き起こし、気(血)虚を生じてしまっている方が多いです。

そもそも慢性膀胱炎・間質性膀胱炎になる前に食が細く身体も虚弱、そして性格は極度の心配性という方にかなり多いように感じています。

元々にしろ、長く慢性膀胱炎・間質性膀胱炎と闘い消耗した結果にしろ、炎症に対し抗炎症薬を使用しても自力で治す力が弱い人は結局のところ改善にまで至らず、また症状の悪化を繰り返してしまう場合が多いです。

そうした臨床経験を顧み、全く膀胱症状への効果を謳っている漢方薬ではないものの後期の回復を見込んで参苓白朮散・補中益気湯・小建中湯を使用しています。

精神的に傷んでいる人も多く、帰脾湯や十全大補湯などを使用したこともありますが、脾胃が弱い人が多かったからか血を補っていくよりも補気をベースとしたり、地黄剤ではないもので補気陰した方が時間はかかるものの良好であることが多いということが私の臨床経験から言えることです。

黄耆建中湯や桂枝加黄耆湯、桂枝加竜骨牡蠣湯などを使用することもあります。

⑪芎帰調血飲第一加減(漢方一貫堂医学)

「構成」
当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)・地黄(じおう)・川芎(せんきゅう)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・陳皮(ちんぴ)・烏薬(うやく)・香附子(こうぶし)・益母草(やくもそう)・延胡索(えんごさく)・牡丹皮(ぼたんぴ)・桃仁(とうにん)・紅花(こうか)・桂枝(けいし)・牛膝(ごしつ)・枳殻(きこく)・木香(もっこう)・大棗(たいそう)・乾姜(かんきょう)・甘草(かんぞう)

膀胱に限らず下腹部内の駆瘀血剤、かつ補血剤として慢性膀胱炎・間質性膀胱炎に有効な漢方薬です。本来産後に使用される漢方薬ですが、膀胱炎はもちろん他症状でも下腹部内の駆瘀血と補血は幅広く使用できます。性質も全体として温性ですが、膀胱炎炎症を強めるということも経験しておりません。

ただ、生薬数が多いため、少し効果はマイルド傾向にあり、より膀胱に向けた方剤と組み合わせることがより良いでしょう。


慢性膀胱炎・間質性膀胱炎の原因と治療考察

書ききれなかったので次回に続きます。