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漢方の基本 ~血~
2026年03月12日
先週の”気”(https://heiseidou.net/news/1496/)に続き、気・血・水の”血”についてまとめていきます。

さっそくですが、皆さんは「血が体中を巡っている」と感じますか?
運動した時は息が上がりドクンドクンと動悸しますが、流れている感覚なんかを常に感じていたら身体は落ち着かないですよね。
つまり流れていると体感している人はいないと思いますが、血が流れているとイメージすることはできると思います。
気は「目に見えない・見えにくい」ため、気が巡っているというイメージを持ちにくいと思いますが、血は怪我で目にすることがありますし、女性は経血として目にすることも多いためイメージしやすいのでしょう。
例えば”冷え症”。

冷えは血の不足、もしくは巡りが悪いことで体温を運べない病態(血虚や血滞・血瘀)から体感しますが、血に問題は無くてもそもそも体温エネルギー不足(陽虚・気虚)により冷えてしまう場合もあります。
にも関わらず、冷えの原因は血行不良と考える人がほとんどではないでしょうか。
”肩こり”も同じで、気の巡りの悪さから肩・首・背の筋肉の過緊張が原因の場合が多いにも関わらず、血の巡りが悪いから肩こりを生じていると思っている人が多いです。
実際は気が原因であることも多いのですが、「気の巡りが悪いから」と思う人はほぼ皆無で「血の巡りが悪いから」と思う人ばかりです。
自然とそう考えてしまうほど、健康と血の関わりはイメージしやすいものというわけです。

〈少し脱線 ~イメージする力~〉
私が考える妊娠するカラダ作りや健康なカラダ作りの第一歩は「自分の身体を知ること」です。
体内のことは目に見えないことも多いですが、わからないことはわかりやすくイメージ化!することが大切ということです。
漢方相談を介して「こんなに説明してくれた先生は初めて」とよく言われます。
他の病院や薬局は、飲み方や薬効は説明はするようですが、血液検査などしてもあまりその結果や自分の身体の状態についての説明はほとんどしてくれず、またさらにこれから自分の身体はどうなっていくかの説明されることもないようです。
病院に行く理由はもちろん健康になることや不都合な症状を解消すること、長生きすることなどでしょう。

もしかしたら薬をただ飲めば良いと考えるのかもしれませんが、私は同じものを同じように服用していても目的意識を持って服用するかどうかでも日々の生活の質(QOL)は変わってくると思っています。そしてこのQOLこそが病院などに通う大きな理由であり、日々の幸せに繋がると思います。
花粉症に対し、アレルギーを抑えるお薬を服用する、ということは良いですが、例えば脾肺の冷えからアレルギーを生じている場合、冷たい飲食物の摂取を控えてお腹を温め過ごすことでより症状緩和に繋がります。アレルギー薬を飲んでも効果がイマイチだったり、副作用だけ感じてしまうのは、なぜその症状が起こってしまい、薬とは別に普段どうするとよいのかがわかっていない方が多いわけです。
ですので、皆が血をイメージできるように気だったり五臓だったり陰陽だったり、その方の状態をより砕いて説明するように努めています。
本題の“血”から遠のいてしまいました。
これからしっかりまとめていきます。

〈血虚〉
気の病態には気虚、気滞(実)などがあったように、血も虚と実があり、それぞれ血虚、血瘀と言います。
「虚は不足」「実は滞り」をイメージすると良いですが、血の不足でイメージしやすいのは“貧血”でしょう。
しかし実際、血虚≠貧血なので注意です。
どう違うのかというと、もちろん貧血も血虚の範疇なのですが、貧血は採血した時のヘモグロビン(鉄分)濃度を基準としています。例えば、成人は約4~6㍑の血液がありますが、検査はその中から数十ミリ㍑採り、その成分の濃度が薄ければ”貧血”と診断されます。
一方漢方としてはもちろんその濃度も大事ですが、身体中を巡る血の総量も大事です。濃度は十分でも、大きなけがをして失血してしまった場合、総量が激減することで疲労感が増したり冷えてしまったり頭痛症状が出たり、場合によっては死に至ってしまいます。
また、血の濃度や総量だけでなく、機能差が関係する血虚もあります。

そもそも血の役割とは何かご存じでしょうか。
私が考える血の役割とは「運び手」です。
ヘモグロビンが結びつく「酸素」はもちろん、食べ物からの栄養、潤い、体温、そして外敵をやっつける防衛力や回復力などを運ぶものです。
実際身体に酸素や栄養を運ぶ能力が落ちてしまっている状態も、血液量やヘモグロビン値では正常だとしても機能的血虚となるわけです。
充血も血虚の一つです。充血は血が集まっている状態なのに対し、血が不足している血虚と矛盾しているのではと思うかもしれませんが、充血するということはそれ以外の部位で血が不足した部位もできるということで、充血している時他は血虚状態にあるというわけです。
頭がのぼせてしまっている時は頭に血が集まっていますが、手足末端や特に足元の血は少ない状態であり、局所的な血虚を生じていると言えます。

〈血滞・血瘀・瘀血〉
他にも、血流が自然渋滞してしまっている“血滞”とも表現すべき病態もあります。
イメージすることが重要なので、血の巡りを車の交通状況と例えてみましょう。ディ〇ニーランドへの道を想像してください。
顧客を呼び込むためのCMやイベントが上手くいかないと、道路はスカスカになってしまい、時間経過とともにその場所は廃れ、場合によっては老朽化などで機能停止してしまう、これが血虚です。
集客には成功したが、そこに向かう中で遅い車が多かったり、あおり運転などが多いことで自然渋滞してしまっている状態が血滞。
同じように集客には成功したが、冬で凍結していたなどで事故を起こしてしまい、部分的にかなり強い渋滞を引き起こしてしまっているのが瘀血です。
また瘀血と血瘀も字の前後の違いだけでも意味は違います。血瘀は全体を示し、瘀血は血の巡りがわくなり生成された局所的が血の塊や滞りを意味します。事故が起こりやすい環境・状態を血瘀体質、事故現場を瘀血といい、生理で考えると血の塊が出やすい人が血瘀体質であり、血の塊自体は瘀血となります。(実際のところは血瘀体質のことも瘀血体質と言ったり、全て瘀血で表現してしまっていることも増えていますが。)

〈治療方剤〉
貧血の場合の血虚には血の栄養となる地黄剤や大棗、アミノ酸&タンパク質、鉄分などのサプリメントが良いです。
地黄剤には現代医学での鉄分も多少なりとも配合されており、大棗はナツメであり、プルーン、枸杞子(クコの実)なども多少の鉄分を含むためです。
アミノ酸&タンパク質は食べ物だと動物性タンパク、サプリでいうとコンクレバンやアミノレバンなどが良いです。

胃腸が弱い人が鉄剤を飲むことで生じやすい副作用に、胃部不快感があります。
これは自分の消化吸収機能を上回る鉄剤が身体に入っているため、胃に入ることはできても吸収ができず、上手く使いきれていない可能性が高いです。
”気は電気シグナル”と書いたように、気は全てのエネルギー源です。胃腸が弱い人は消化機能が低下している状態であり、正常に働かせるために脾気を補うことが必要です。
症状は血に原因があっても、気がしっかりしていないことで血が働かない場合は気を補うことで血も補っていく場合もあります。

血滞に代表的なお薬は当帰剤です。当帰は色んなお薬に含まれていることが多く、血虚のお薬として有名ですが
基本的には血滞(血のムラ)をなくすことを目的に使用されています。
妊娠中や妊活中で、冷えの訴えでもあろうものなら病院ではほぼ当帰芍薬散が処方されるでしょう。(実際には他の当帰剤も多種多様あるのですが、風邪には葛根湯!のように婦人には当帰芍薬散!となっているレベルです。)その他に市販品では婦宝当帰膠、婦人宝は当帰一強の方剤として有名です。
これだけでも身体の血のめぐりが改善することで冷えが取れホルモンバランスが安定し、妊娠する人もいます。

一方ですごく厄介なのは瘀血。
血の塊に対しては活血剤(駆瘀血剤)を使用しますが、血の塊は経歴が長いことが多く、めちゃくちゃ頑固な瘀血となっている場合がとても多いです。
現代医学でも子宮内膜症は本来月経で排出されるべき内膜(つまり“血”)が子宮外に居座ってしまう、まさに瘀血症状です。
瘀血は瘀血を生み、内膜症が邪魔している血流は時間とともに増幅・成長し、腸などの他の臓腑との間に癒着してしまうこともあります。
妊活などとは別で、どの慢性病も最後にはこの瘀血と結びついてしまい、難治性になってしまうのはそれが原因というところも大きいです。
また、瘀血でさらに厄介なことは、ピルやホルモン剤などを長期的に服用すると瘀血も生成されやすいということと、妊娠するまでは駆瘀血剤を使用するのですが、妊娠したら基本的には使わない方が良いとされています。

ただ、妊娠までに十分な瘀血処理ができていなくても妊娠できてしまうこともあり、その場合は妊娠中は駆瘀血剤は使わない方が良いとは言う中でも、瘀血が赤ちゃんの成長の負担になったり、流産・早産原因となる場合は駆瘀血剤の使用もやむを得ないこともあります。
生理で血塊が出ている人は少なからず子宮内に瘀血を生成してしまっていますが、服用し始めて1周期~3周期目での経血で色の明るさや塊の改善を感じることが9割です。 「塊が減った」「塊が無くなった」「血が明るくなった」「サラサラになった」
経血の血塊のことを気にしていない人が多いですが、この変化は赤ちゃんにとってはとても大きいことです。
経血は赤ちゃんにとって“ベッド”みたいなもので、ここに経血に血の塊やクロズミや粘りがあるということは、赤ちゃんにとってベッドの寝心地がとても悪く、酸素や栄養が伝わりづらい場所になってしまいます。
妊活中で血の塊がある人はその改善を考えるべきです。
そして先に書いたように、妊娠中の駆瘀血剤の使用は基本的に推奨されないのですが、初経時から塊があるなどの生まれつき子宮内に瘀血を作りやすい体質の場合、ネットや自己判断ではなく専門家の知識が必要です。

〈書いてみて〉
漢方においての“血”についてまとめましたが、生理という定期的に身体の中の血の状態がわかる出来事がある女性でさえ、それらから自分の体の状態のことを気にしていない方は多いです。
生理前になったらイライラし、痛みが強ければ鎮痛剤を飲み、身体への配慮はしない。
お読みいただいている方は、これを機に自分の経血状態から自分の身体を見つめなおしてはいかがでしょうか。
そうした気付きや心がけの変化が、きっとあなたの人生を良くするものとなるのでしょう。
青森県青森市 完全予約制の漢方相談薬局 平成堂薬局 櫻井 大輔
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