【妊娠症例】 流産後不調に陥り、妊娠できなくなったKさん
2026年07月29日
(この記事は約5分で読めます。難解度★★★)

目次
〔妊活歴〕
・妊娠希望されて4ヶ月
・病院では超音波での検査はするもホルモン剤を使用するなどの治療歴無し
・子作り初めてすぐに妊娠するもすぐに流産してしまう
・高麗人参が良いと聞き、服用するも実感した良いことは無く、顔にニキビができるようになる
・流産予防のために葉酸サプリを服用

〔病院で指摘されている要因〕
・血液型RHマイナス
・子宮筋腫1cm×4~5個
・左卵巣チョコレート嚢胞4cm
〔月経の状態〕
・経血は血が水で薄まったような水っぽさがあり
・血塊が小豆大~3cmほどのレバー状のもので3~4個出る
・月経周期は28日
・月経1週間前~月経直前まで頭痛(重痛)・眠気・吐き気が強い
・月経痛は引っ張られるような痛みが、月経中ではなく月経前にある
・月経前~月経中は肘・股関節に負担がかかる
・排卵日前に右の卵巣辺りが痛み、頭痛も連動する

〔流産後の体調変化〕
・貧血症状が強く身体がしんどく、回復に時間がかかる
・免疫力が落ち、風邪ひいてからなかなか治らずしんどさが続く
・流産後は生理周期が数回乱れ、その後28日周期に戻る
・が、戻ってからは生理前・中の不調が流産前より強まる
・普段から立ち眩みしやすくなる
〔当店での所見〕
・お電話相談なので対面はしていないが、話しぶりでは焦りが強い
・舌の写真からは舌裏の怒張静脈の張りが強く、瘀血の存在が強い
・舌肉自体は軟質であるため気虚血瘀が主体
・精神的焦りや不安が強く、気滞はあるが気虚がベースにある
・舌苔が厚いが、根が弱いところからも気虚湿痰の存在もある
・妊娠できる身体ではあるが、妊娠継続することを瘀血が邪魔している
・手足に火照りを感じるが、瘀血ゆえに熱の停滞が末端で鬱滞してるためと考える

〔分析と処方〕
元々は気虚の土台があり、気虚が原因で気・血・水の滞りを生じている。
焦りや不安を生じやすいところは気虚気滞によるものか、心気虚によるものかと考えられるが
・気持ちの移り変わりが早いこと
・張りや引痛などを感じること
などから気滞が感情の起伏を生んでいることと、妊活において一人で悩みを抱えている不安を解消すると良いと判断。
気虚気滞に対して逍遙散とカウンセリング。
子宮に生じた瘀血を駆逐するために野牡丹。
また胃腸から卵巣に及んでいる湿痰のお掃除に香砂六君子湯。
これらで調整してお出しした。

〔経過~妊娠〕
服用して1周期目の月経は量が多く血塊も大量に出た。
量が多いことに伴い、月経痛の痛みも強めだった。
手足の熱感は軽減する。
負担感じていた立ち眩みは気にならなくなる。
漢方服用2周期目の月経は血の量はいつも通りで
塊が激減し、血の質は粘つきも水っぽさもなくなり
普通の血の様にサラサラしていた。
生理痛はかなり軽減し、生理前の痛みもあまり気にならなくなる。

3周期目の月経
血塊がかなり小さくなり、数も少なくなる。
血の色が明るくサラサラしている。
頭痛は弱くはなっているが生理前や雨の前の日の影響で見られることがある。
舌は随分と明るくなってきているが、まだ静脈怒張は強く張っている。
この周期に妊娠する。
しかし、胎嚢確認できず、2回目の流産。
1回目の流産時は血の塊が多く出て、腹痛・貧血・風邪などの不調が重なるも、今回の流産時は芎帰調血飲第一加減を服用していたこともありかなり軽く済む。
2回目の月経周期もすぐに28日周期に整う。
が、またすぐに妊娠陽性反応が出る。
この妊娠は出産まで辿り着き、今は一児の母として奮闘している。

〔考察〕
妊娠は短い期間で繰り返しできていることから、精子の受精力は強いことが分かる。
しかし、卵巣や子宮は湿痰と瘀血まみれで妊娠継続する環境が整っていなかった。
それを早急に整えるも、まだ整いきれていない4ヶ月目で妊娠した時は流産してしまう。
しかし、流産した時に芎帰調血飲第一加減を服用し、さらに排血できたことで妊娠継続できる状態に整う。
身体作りとしては、深い瘀血はあったものの、わりとシンプルであった。
しかし、流産を経験したことと、元々不安症なこともあり、不安と焦りがとても強い方だった。
瘀血や湿痰を除去し、赤ちゃんが育みやすい場を整えさえすれば、出産まで問題なく育つという確信はあったが、当の本人は相談のたびに不安を訴え、不安ばかりか焦りの訴えがとても強く、1周期妊娠できないだけでも相当精神的に参っている様子だった。
身体はまだ整い切れていないことや、整ったとしても精子と卵子が出逢わないこともあるので、
焦らず、受精できた時に着床し妊娠継続する身体作りをしていきましょう、と
またその上では漢方だけでなく、気持ちも受け止め方を柔らかくできるように、と
根気強く妊活カウンセリングしました。

この程度で焦りを強く感じすぎてしまうと、これから出産してからも子供が熱を出した、咳をした、怪我をした、些細な事でも心配は尽きませんが、それが過剰となり親子共にしんどくなってしまうため、妊娠できる体よりも心の準備の方がまだできていない部分も感じるところがありました。
しかし、2回目の流産後の2回目の相談時にはこちらのカウンセリングが通じたこともあるためか、「妊娠しても、妊娠継続する身体でないと出産まで至れないことを知りました。
また、焦ってもその身体作りは早まらないとわかりました。
むしろ気持ちが急ぐことで自律神経やホルモンバランスが乱れ、
身体の整いに余計な時間がかかってしまうとわかりました。」
というように、ある時急に心の受け止め方が変わったことを今でも覚えています。

その心の変化が見られ、少ししたら妊娠し、妊娠中も不安は色々と訴えていましたが、以前のような過剰な焦りや不安は軽減しながら過ごせていたように思います。
そして出産。
今は育児にいそしんでいるYさんですが、漢方相談を通して心穏やかに育児生活を送られていることと思います。
妊娠~出産~育児する為には”赤ちゃんを育む体作り”はもちろんですが、お母さんとしての心の受け止め方も大事なのではないかと考えさせられた症例でした。
いつも当ブログをお読みいただき
ありがとうございます

このブログを読んだことが
赤ちゃんとの出逢いへ繋がれば幸いです
また、私の言葉が心に届き
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平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔



