お知らせ
【慢性膀胱炎】繰り返す排尿時の不快感・頻尿・残尿感に悩むSさん【間質性膀胱炎】
2026年10月21日
最近、間質性膀胱炎の方からのご相談が増えております
間質性膀胱炎は難治性で、何とも言えない不快感が一日中続き
そして夜は睡眠を妨げ、膀胱症状以外に精神的負担も強い疾患です
漢方の知識がこれまでの間質性膀胱炎で悩む方の助けになっておりますので
参考になれば幸いです
(専門度★★★★ 7分で読めます。)
目次
排尿時の不快感・頻尿・残尿感の慢性膀胱炎に悩むSさん(60歳)
9年前に急性膀胱炎発症→泌尿器科で抗生物質の処方で3日ほどで寛解。
それから半年後も同様の症状で抗生物質で寛解、それからは一時落ち着き、2年半後に再度膀胱炎になり抗生物質で良くなるが、ここから1~2ヶ月に1回は同様の症状を起こすようになり、5~6年ほど苦しんでいる。
ここ1年は月1回以上は発症していて、今でも抗生物質が効くことが多いが、繰り返し飲んでいることや時々効果がイマイチな時もありその時は不安も強まり、動悸や不眠症状も引き起こすため、相談に来られた。
膀胱に関わる訴え
発症し始めると20~30分毎に催し、1日20回以上小便に行く。
特に冷えた時やトイレが近くに無い状況での心理的ストレスにより尿意が強まり頻尿となり、またそれと共に排尿時の不快感や残尿感も出る。
排尿痛を感じた時もあるが、基本は痛みは少なく、熱感もあまり感じない。
一回の尿量はムラがあり、時に5分くらいでもうすぐ尿意が強まりトイレに行くこともあるが、短時間に関わらず普通の量が出ることもあるしかなり少量のこともある。
少量の時は残尿感が強く、スッキリしない状態が長く続く。
尿の汚れや匂いはあまり気にならない。
睡眠中の夜間尿は気持ちが落ち着かない日は3回も起きて小便に行くこともあるが、精神状態が落ち着いている時は1回程度、朝方に催すくらい。
元々の繰り返す膀胱炎は気温が低くなる時期で多かったが、最近は冷えなどは全然関係なく膀胱炎となる。
その他の所見
体は細く痩せていて、冷えやすい。顔色は少し白っぽい。食が細い。
手足が冷えていると夜入眠しにくい。不安があると入眠しにくい。特に膀胱炎を繰り返すようになってからは精神的負担も強く感じることが増え、より眠れない日が増えた。
むくみは多少あるが、日常的には気にならず、頻尿でもむくみに変化は起こらない。喉の渇きも普通。
更年期症状は特に気になるものはなかった。
月経のあった頃は膀胱炎などで困ったことは無かった。
頭痛などはなし、立ち眩みなどの貧血症状はたまにあり。
漢方服用歴なし。自分で冷やさないように着るものに気をつけたり白湯を飲んだりしているが、あまり効果を感じていない。
コーヒーは元々好きだったが頻尿の基になると聞いて止め、お酒も以前は飲むこともあったが飲まないように気を付けている。
胃腸はすぐにお腹いっぱいになるため食は細いが、胃もたれなどは気にならず、便は普通であまり気にならない。
しかし抗生物質を飲むと便が緩くなり、時には強い腹痛~下痢となる。これも抗生物質を繰り返したくない要因でもある。
舌:萎縮していて小さい舌で、暗さは無いが少し鏡面気味でつるつるしたところはやや紅色気味。
舌苔:苔は白く少なめ。潤いは部分的に乾燥あり。
舌裏:静脈怒張は普通。その周りは少し紅味あり。
考察
慢性膀胱炎であり抗生物質を使うと緩和し、少しの期間落ち着いていることもあるため、急性症状が強い時と慢性症状緩和に向けた処方を使い分けながら対応した。
急性期は病院でもらう抗生物質と五淋散をベースにしつつ、慢性的な処置としては膀胱患部の長年の炎症により局所的な瘀血を生じていると考え腸癰湯、また身体の状態からも気陰両虚傾向であることが読み取れ、特に脾に関しても弱い体質と分かる。
これに対し、参苓白朮散や補中益気湯で脾の気陰を高め、胃~腸~膀胱の抵抗力を強め調整した。
腸癰湯を桂枝茯苓丸としたり、不安が強い時は帰脾湯にすることもあったが、帰脾湯や十全大補湯などの滋陰作用が強いものは少し胃にもたれやすく、補脾気津↑の方が安定することが多かったため、そのようにした。
始めの内は毎月とは言わないまでも1~2ヶ月くらいでやはり膀胱炎を繰り返すこともあったが、次第に半年ほどは不調なく過ごせるようになっていき、全く膀胱の不調が無くなったとは言わないが以前のような膀胱炎症状ではなく、少し近くなったり出し渋る不快感が一時的に出るまでに回復。
ただ、ある夏に調子が良くなっていたので久々に冷たいものを食べ、また冷房で冷えてしまうということがあり、その時はまた不調が再燃してしまい、落ち着いていただけに久々の強い症状は不安も強まってしまう。
この時は五淋散ではなく清心蓮子飲で精神面を落ち着けることと膀胱炎の炎症緩和に向け処置し、落ち着いたら桂枝茯苓丸と浪花茨で安定させ、またそれからは瘀血は改善したため血行は予防のために松寿仙としながら参苓白朮散などで脾虚からの膀胱の免疫力低下を防ぐようにし安定している。
考察の考察
舌や全身所見では血瘀体質などは見られなかったが、やはり1年以上の炎症症状が続くと炎症による患部の血管がくす火により瘀血を産んでしまい、それにより炎症に対しての治癒力や菌に対しての抵抗力が高められないことに繋がっている。
駆瘀血剤は添付文章に膀胱症状の改善は全く記載はしていないが、やはり慢性膀胱炎・間質性膀胱炎の場合は必要と考える。
また舌や膀胱症状、全身症状からも水滞の所見は無く、身体も細いことや舌苔の薄さ・舌肉の薄さからも気陰両虚がベースにあることで膀胱の抵抗力が弱まっていて、膀胱炎を繰り返している。
患部自体は炎症を起こしているが、冷えに敏感で冷えにより膀胱の抵抗力が落ちてしまうことや、精神状態も膀胱に影響することもあるため、精神的負担が強い際は帰脾湯でも対応したが、むしろこれは胃腸の負担ともなったので、清心蓮子飲での対応としたり、冷えに対しては附子剤を使うこともあるが、Sさんの場合は苓姜朮甘湯や理中湯などを使う、つまり乾姜により温めることで対応した。
間質性膀胱炎・慢性膀胱炎の方は食事にも気を遣っていることが多く、生姜などの刺激物を避けている場合もあるが、漢方に生姜が入っていることも多いがその影響が出たことはほぼ経験なく、また書いているように温める乾姜はよく使用する。
他にも八味丸や牛車腎気丸などの腎を温め強める方剤は桂皮や附子なども含まれるが、これらで温めることが大切な場合もある。
ただ、Sさんのように少し舌の色が紅色寄りだったりすると温剤は慎重に使う必要がある。
このように抗生物質をかなりの頻度で服用していたSさんは今では基本的に抗生物質の服用の必要が無くなり、またそれに伴い痩せて食が細く冷えやすく疲れやすかったことも緩和し、身体全体として強くなったことを感じてくれた例であった。
慢性膀胱炎は細菌感染を繰り返す症状であるため、ある程度落ち着くまでは辛抱強く身体作りしないといけないし、また時に誰もが膀胱炎になることがあるように、たまに膀胱炎になってしまうこともどうしてもある。
が対処をし早く緩和することや、気持ちとして相談するところがあることも心身共にケアして症状を安定化する作用があると実感した例だ。
時々そこに行くまでに途中で服用を止めてしまう方もいるが、慢性膀胱炎・間質性膀胱炎は時々波は生じ得るもののなるべく心身において平穏に過ごせるお手伝いは可能だと考えている。
青森の平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔






