妊娠8ヶ月目(28~31週目)の母体と胎児の変化と漢方薬
2026年09月14日
妊娠中の母体と胎児の変化のまとめリンク

目次
妊娠8ヶ月での妊婦の変化
妊娠8ヶ月目に入ると、いよいよ『妊娠後期』と言われる出産に向けた期間に入ります。
子宮はみぞおちの辺りまで拡張してくるので、胃や肺に圧迫感が生じ、胃の不快感や息苦しさ、動悸症状などを感じやすくなります。
また、今までにあった胎動は、胎児の成長と共に身動きが取れにくくなり、回数が減ってきます。
回数こそ減っても、動いたときの動きの大きさやパワーは強くなっているので、「あっ、動いている」という程度でなく「痛っ!」となるほどのことが多くなってきます。

このように、どんどん大きくなる胎児の影響で、時に出産に対する楽しさを上回るほどの身体の負担をきたしてきます。
それもそのはず、体重は妊娠前と比べると5kg前後ほど増えており、それは胎児・羊水・血・子宮の増加によるもので、つまりお腹だけで5kg増えているということです。
2kgのペットボトルを持ち上げるのでもなかなか重たいですが、その2.5倍のものを常に腹に抱えているのです。
横になっても立っていても座っていても常にお腹に負担がかかることで妊娠7ヶ月目(24~27週目)の妊婦の変化にも書いたマイナートラブル(妊娠時の不快症状)はどんどん強まるでしょう。
それらの負担は、特にお腹の張り・むくみ・腰痛に強く影響してくるでしょう。
子宮頸管の長さと早産
妊娠8か月での子宮頸管の長さの目安は30~35mmです。
長い分には早産の危険が無いのでそれほど問題ないですが、20mm以下になってくると早産の恐れもありますので場合によってはそ入院となることもあります。
万が一にですが早産となっても、8ヶ月ほどまで成長した赤ちゃんは現代医学では95~97%以上の確率の生存率なので、命の心配はあまり必要ありません。
ただ、肺の成長が十分でない時の出産であるため、今後の肺の強さには関わると考えていますので、運動不足などの弱い子にしないためにも早産にならないように予防する方が望ましいでしょう。
妊娠8ヶ月目の胎児の大きさ
27週目には1000g35cmほどだった赤ちゃんは、31週目頃には1500g40cmほどまでに成長します。
ですが、これはあくまで平均的な数字であって、妊娠初期~中期とは違い、後期になってくると胎児の成長にも個性が出てきます。
同い年であっても大きい子もいれば小さい子もいたり、細見や太りやすい子など様々な子がいるようにこの頃には骨格や生まれもっての体質は決まり、成長に差が出てきます。

最近は4Dエコーという胎内の赤ちゃんを立体的に投影することができるようになり、身体の成長の個性もそうですが、お顔も夫婦のどちらに似てくるなどの傾向が見られることもあります。
一方で、通常のエコー検査では、全身は映らなくなっているでしょう。
少し前までは全身が見えていただけに、たった数週間でビックリするくらい急成長しているのが分かると思います。
また、大きくなるとともに感じていた胎動の回数が少なくなりますが、安心してください。
身体が大きくなりすぎて動ける範囲が無くなってきているためです。
胎動回数は減っても、一度の胎動の衝撃は大きくなるでしょう。
その強さは「可愛い」「幸せ」とばかり言っていられないほどの痛みとなる人もいます。
しかも胎児には朝も晩もなく、妊婦が寝ている時にズンズン蹴ってくることも多いです。
この頃から産後数ヶ月~数年は熟睡できなくなるママは多くなってくるでしょう。

自由に動けなくなると同時に”逆子”リスクも高まるので、気になる方は逆子の予防をお読みください。
まぶたを頻繁に開け閉めするようになり、強めの光であれば胎内でも感じるほどまで視神経は発達しています。
また、ずいぶん前から性器は完成していますが、この頃にはほとんどの赤ちゃんの性別が分かっているのではないでしょうか。
かなり聴覚も発達しているので、名前や呼び名を決められているのであればいっぱい呼んであげてください。
また、羊水内にいるので、まだ肺は機能していないですが、いつ生まれても産声と共に肺呼吸をスタートするまでには完成しています。

その他の五感や各臓器、脳や神経もいつ生まれても問題なほどにまでに完成し、下準備は終わり、後は熟成を待つのみ、と言った期間となります。
なのでこの時期の早産は、妊娠7ヶ月目までの早産よりも産後の命や障害などのリスクはグッと減りますがやはり小さいほどに虚弱で、免疫力も十分にないために早産予防&発育を支える生活を心がけましょう。

逆子
妊娠7ヶ月目は胎児の活動がピークを迎える時期であるため、1日の中でも体勢が大きく変化します。
8ヶ月以上になると、身体を動かす機能は成長しますが、大きくなりすぎて母体では窮屈になり、姿勢が固定されていきます。
つまり、大きくなるに従って、徐々に生まれる時の体勢が決まってくるのです。
出産時は頭部から生まれることが安産に繋がりますが、胎児、もしくは母体に何らかの要因があると、胎児が子宮口に頭を向けていない体勢で固定されてしまう場合があります。
これを一般に”逆子”と言いますね。

「逆さ」という言葉が入っていますが、必ずしも真逆なわけでなく、横を向いていたり斜めを向いていたりすることもあり、正常な姿勢以外のものは全て”逆子”と表現します。
逆子がもたらすリスク
逆子は母体にいる限りは、赤ちゃんに負担がかかることはほとんどありません。
妊婦側では胎児の足の方向によっては蹴りが母の内臓へのダメージとなり、苦しくなることはあると思いますが、それは逆子でなくても起こり得ることなので、特に問題にはなりません。
逆子が一番の負担になるのは出産です。
母体にいる間、胎児はへその緒からの酸素の取り込み・二酸化炭素の排出を行っていますが、産まれた瞬間、呼吸方法は自身の肺呼吸に切り替わります。
「オギャアーー!!」

その第一声で肺がしっかりと働き始めるのです。
ですが、逆子での出産は、へその緒が先に出てしまうことで酸素が送れなくなったのにもかかわらず頭部はまだ母体内であるため、呼吸が出来ない状態となり、酸欠を引き起こしやすくなります。
このように逆子での出産はかなり危険であるため、ほとんどは帝王切開分娩となります。
現在では医療技術が著しく発展したことで、帝王切開することで命を失うリスクはほとんどありません。
しかし、帝王切開分娩は、お腹にメスを入れるため、産後に痕が残ったり、術後の痛みが尾を引いてしまうことがあります。

また次の子を望んだ時には不妊の要因となりやすくなったり(手術による瘀血生成)、妊娠出来ても流産や早産リスクが高まることや、帝王切開経験のある方が次の出産で普通分娩をした場合、出産のためにいきんだ圧力が帝王切開痕に響くとそこから破裂に繋がるリスクもあります。
それを避けるために、2回目以降の出産も帝王切開分娩が推奨され、また手術痕ができ、身体への負担は強まります・・・
出来れば逆子は避けることで、通常の分娩が出来るに越したことはないので、胎児がまだまだ元気に動ける妊娠7ヶ月ほどから逆子リスクを下げるように心がけることが大切となるでしょう。
逆子リスクを下げるための漢方薬は次の段落で書きますね。
28~31週目の漢方薬
28~31週は胎動が強いくらいになってきて、嬉しい胎動も人によっては少しツラくなることもあります。
ただ、これからは余裕が出た分母体側が無意識に無理をしてしまうなどもあり、また血流も赤ちゃんが大きくなるごとに良い血流であることが求められます。
1度でも流産を経験した方や35歳以上の方の妊娠では早産予防することが大切でしょう。
早産予防は安胎効果から段々と胎児の発育を促す補腎薬や血行改善を促す補血剤、そして赤ちゃんが大きくなることで子宮頸管が短くなったりお腹の張りが強くなり早産傾向になることもあるので、それに対応した漢方薬へ移行していくことが私の考えです。
逆子予防の漢方薬
逆子は母体の足元の冷えが強いと胎児が頭をしたにしていたくなくなると言われており、つまり足元を温めると良いでしょう。
漢方薬では八味丸(八味地黄丸)などが足元を温めるの代表ですが、牡丹皮の配合が妊娠中では懸念されることもあるので、苓姜朮甘湯や当帰四逆加呉茱萸生姜湯などで温めると良いでしょう。
また、お腹が張っていて柔軟性に乏しい場合、赤ちゃんが逆子になってから正常に戻ろうとした時になかなか戻りにくいということもあります。
足元の冷えを去るとともにお子宮の筋肉の柔軟性を高める芍薬甘草湯や当帰芍薬散、建中湯などを使用すると良いでしょう。
また、逆子の場合は鍼灸で温めることも良く、「至陰」という足の小指横のところにお灸をしてあげるとクルッと逆子が治ることも多々あります。
早産予防の漢方薬
・補腎・安胎効果が高く流産予防となる「奶参」から「子羊袋」や「婦宝三膠」
・血の漏れを防ぎ赤ちゃんを守る「芎帰膠艾湯」「帰脾湯」から補血効果を高める「四物湯」「当帰芍薬散」「婦人宝」「連珠飲」
・お腹の張りには「桂枝加芍薬湯」「建中湯類」「芍薬甘草湯」
・子宮頸管が短くなっている場合には「補中益気湯」
などを中心に、状態に合わせ考えます。
流産予防効果が100%とは言えませんが、西洋薬では流産予防するお薬は今のところないため、漢方薬での安胎効果や昇堤効果、止血効果で胎児を守ると良いでしょう。
2回の流産を経験してから当薬局へ漢方相談し、授かられた方の臨床例↓
病院では妊娠中に当帰芍薬散が出ることが多いですが、妊娠中のお腹の張りやむくみ、貧血、冷えに対しては良いですが、流産予防効果は期待できません。
お腹の張りが強い場合の対処法
腹筋に力を入れると腹に張りを感じるように、筋肉緊張があることで張っているのか、輪ゴムが乾燥して柔軟性がなくなり、たいして伸ばしていなくても張りが強く感じるように皮膚や筋肉への血の潤いが少ないために張りやすいのかを考え、それに合った漢方(芍薬で筋肉をほぐすなど)で予防していきます。
また、張りが強いということは、妊娠線も残りやすくなってしまうので、外側からの保湿も欠かせません。
内側からも血の潤いを届ける漢方(当帰剤)を使用することで、内から外から潤わせると張りにも妊娠線予防にも良いでしょう。
お腹の張りは、一時座って休憩すると引く程度のものであれば問題ないですが、ある程度休んでも強い張りが続いたり、出血を伴う場合、病院で診てもらい、張り止めなどを含む対応をしてもらいましょう。

むくみが強い場合の対処法
むくみには水分代謝を改善する漢方が基本となります。
ただ、水を動かすエネルギーが不足しているため滞っているのか、詰まっていて滞っているのかなどにより漢方は変わってきます。
押しても凹んだままのむくみは気虚ベースなので、気を補いながら水を動かす白朮・茯苓などを
パンパンになっていて張りの強いむくみは気滞ベースなので、気滞を取りながら水分代謝を改善していく蒼朮、大腹皮などを
時に陰虚があることで水分代謝が悪化している場合は六味丸ベース
血虚も伴ったむくみには当帰芍薬散などを考えていきます。

また、マッサージや運動、ストレッチなどによって予防することも大事になります。

腰痛が強い場合の対処法
漢方では、腰痛にしても頭痛にしても月経痛にしても、「不通則痛」→「通ざれば、即ち痛む」であり、また「不栄則痛」→「栄えざれば、即ち痛む」です。
つまり気・血・水が不足しているか、滞っていると痛みが出るという考えです。

妊娠時の腰痛は姿勢の問題で痛みが出ていますが、基本は姿勢の問題で虚が出ることはないでしょう。
つまり、姿勢が滞りを生んでいるために痛むわけで、通じることがベストではありますが、痛みを取る時に多用する活血剤や附子剤は妊娠時にはデリケートなものなので身体の状態を見ながら慎重に使用していきます。
痛みに対しての漢方は、「漢方には副作用がないから安心」と安易に使用できないものが多いです。
分からない場合は、一時的な姿勢の問題なので、妊娠用の矯正ベルトを使用することで緩和できます。
その方が腰痛を緩和しながらお腹を支えることも楽になるので、良いかもしれません。

自覚症状を伴わない妊娠中毒症
妊娠中には高血圧、糖尿病、タンパク尿になることがあります。
これらは自覚症状を伴わず、今まで低血圧や低血糖だった方もなり得るもので、現代医学では原因不明とされていますが、漢方の中では原因はわかっています。
これらに関わるのは”腎機能”であり、胎児を育む力も”腎”の力によるものです。
つまり、胎児の成長に腎の力を奪われるために、血圧や血糖、尿を調節する機能が犠牲となってしまいます。
腎を助ける補腎薬を予防的に服用していると良いということです。

実際に、漢方の補腎薬は血圧を下げたり血糖を下げる力はありませんが、妊娠中にしっかりと予防薬を服用している方で妊娠中毒症になられる方はほとんど経験していません。
もちろん食事での糖質や塩分、水分の摂り方が悪いなども負担となる為、食事指導も合わせて行うことも大事ですが、出産に向けた身体作り、もう間もなくお生まれになるお子様の生まれた後の体質の強さのためにも漢方で身体作りすることは大切です。
妊娠中の睡眠障害の対処法
妊娠前から不眠傾向があるのであれば、妊娠前からある心熱、心血虚、心気虚、心陰虚、心腎不交、心脾両虚、胆鬱痰櫌、痰火櫌心、胃熱の状態にあった漢方を出すことで改善するでしょう。
このように、基本的な不眠の原因は心を中心に心陽と腎陰のバランス、現代医学に置き換えると交感神経(心陽)と副交感神経(腎陰)のバランスが崩れることが主体となりますが、お腹の負担で不眠傾向にあるのは上記の臓腑的な問題ではなく、姿勢の負担によるものがほとんどです。

この場合は漢方でどうにかすることは難しいので、抱き枕を買って寝ている時の体の負担をかからないようにしていくことが吉です。
胎児への血流量が増加することで心負担がかかって不眠になる方もいますが、その場合は心気虚、心血虚、心腎不交、心脾両虚での分類に従い心をケアして普段の心負荷や睡眠の状態を改善するように漢方を組み立てます。
その他の症状に対しての漢方薬
他はそれぞれその方が訴える症状も多く分岐しますので、それに合わせた漢方薬となります。
例えば妊娠初期~中期は尿意が頻繁となり、夜間尿も増える方が多いです。
その場合は「苓姜朮甘湯」
貧血や疲労感が強い場合には「人参養栄湯」「十全大補湯」「婦人宝」
頭痛には「香蘇散」
下痢には「半夏瀉心湯」
など、状態に合わせて対応します。
なお、妊娠中は便秘にもなりやすいですが、↑に書いた「小建中湯」の膠飴などで多少排便が促されることもありますが、一番多用されがちな大黄系の漢方薬は胎児へも影響し得るので私は使いません。
それよりも酸化マグネシウムをお勧めしています。
妊娠中の風邪の漢方薬
妊娠中は風邪はひかないにこしたことはありませんが、どうしても引いてしまうこともあります。
ひいてしまった場合、妊娠中なのでいつもの風邪薬が飲めない場合、漢方薬だ!となる方も多いと思います。
しかし実は落とし穴があり、風邪で有名な漢方薬は葛根湯ですが、葛根湯に含まれる”麻黄”は妊娠中は子宮収縮を促す可能性があるため注意が必要です。
漢方であれば何でも妊娠中は安心というわけではありません。
妊娠中でも安心してお飲みいただける漢方の風邪薬は、参蘇飲、桂枝湯、麦門冬湯、小柴胡湯、旅の人参木などです。
風邪や花粉症で良く使われている小青竜湯も麻黄を含むのであまりお勧めしません。
妊活や不妊治療で困った経験を子に引き継がないために
だんだん身体や内臓も成長し、産後の体質形成にも大事な期間となっています。
例えば食が細かったり、疲れやすかったり、アトピーや喘息などのアレルギー体質だったり、胎児の内に身体を強くしておくと産後も病気に強い元気な子として生まれてくれます。
それに何より、不妊治療で困った経験がある場合、精子の元気のなさや月経不順や妊娠しにくさなども赤ちゃんの内に腎(生殖機能)を高めておくと同じように困ることが無くなるでしょう。
漢方は予防医学が真骨頂。
妊娠中の流産予防もそうですが、産後の病気に振り回されないお子様を授かるという一生の財産もこの時期に築くお手伝いが可能です。
ブログをお読みいただき
ありがとうございます

このブログを読んだことが
赤ちゃんとの出逢いへ繋がれば幸いです
また、私の言葉が心に届き
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