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平成堂薬局

妊娠9ヶ月目(32~35週目)の母体と胎児の変化と漢方薬

2026年09月15日

 

妊娠中の母体と胎児の変化のまとめリンク

 

 目次

  1. 妊娠9ヶ月目の妊婦の変化
  2. 産休の準備と過ごし方
  3. 9ヶ月目の胎児の成長
  4. 逆子
  5. 逆子がもたらすリスク
  6. 32~35週目の漢方薬
    1. 早産予防の漢方薬 
    2. お腹の張りに対しての漢方薬
    3. 逆子予防の漢方薬
    4. むくみの漢方薬
    5. 腰痛に対しての漢方薬
    6. 妊娠中毒症に対しての漢方薬
    7. 妊娠中の睡眠障害の漢方薬
    8. その他の症状に対しての漢方薬
    9. 妊娠中の風邪の漢方薬
    10. 妊活や不妊治療で困った経験を子に引き継がないために

目次を開く

 

妊娠9ヶ月目の妊婦の変化

子宮はさらに大きく広がり、子宮底も妊娠中で一番高い位置に上ります。

そのため、胃への圧迫感が強まり、ツワリとは違う物理的な胃部不快感が出る方が多いです。

一方で体重の増加も著しい時期でもあります。

元々の体重にもよりますが、大体この妊娠9ヶ月目で妊娠前よりも+7kg~10kgが理想的な体重増加となります。

その時点では数値内でも、短期間で急激に増えてしまうと赤ちゃんへの負担が強まる為、1週ごとに250~400g増を目安とすると良いでしょう。

 

 

また、出産目前ということもあり、胸の成長も著しく胸の張りは強くなり、また胸がゴツゴツと固くなる方もいます。

場合によっては乳腺から透明~黄色の分泌物が出ることもありますが、これは母乳ではなく、母乳が出るための準備段階での分泌物であり、異常ではありません。
 

下着を汚してしまうこともあるので、母乳パッドを使用しましょう。

 

 

また、妊娠中にお腹に黒い線”正中線”ができる(←クリックでリンク先に飛びます)と以前書きましたが、それと同様にお腹周囲などの体毛が濃くなることがあります。

 

これも”正中線”と同様で、ホルモンの変化による症状であり、産後には時間と共に落ち着くことが多いので、気にしなくても大丈夫です。

 

そのホルモンの変化と共に精神的に不安定となることもありますが、それも自分のせいだと思うと自己嫌悪でより精神負担が大きくなってしまいます。

 

 

自分のせいではなく、ホルモンのせいで仕方がないと受け止めましょう。

 

また、夫、友人、カウンセラーなど、誰でも良いのでその気持ちを共有・発散して過ごすとお腹の中の赤ちゃんもスッキリするでしょう。

 

 

産休の準備と過ごし方

産休は出産日の6週前から取れることが一般的です。

つまり週数にすると34週目から産休が取れると思いますが、大体は有給休暇が残っているなどで、それを使用してもう少し早めに産休に入る方が多いです。

つまりこの妊娠9ヶ月目辺りで産休に入る方が多い為、その前段階でしっかりと業務の引継ぎや、産後の職場復帰プランなど話し合っておく必要があります。

 

 

また、妊娠9ヶ月は血液や栄養が赤ちゃんの成長のために奪われ疲れやすくなり、産休中は休みながら過ごすことは良いのですが、運動量が極端に減ってしまう方もおられます。

 

すると出産するための筋力が低下し、その分余計な脂肪が急激に増えて難産の原因になることがあります。

 

疲れを感じたらこまめに休憩をはさむと良いですが、1日の中で意識的に身体を動かす時間も作りましょう。

 

 

9ヶ月目の胎児の成長

各器官や神経は新生児と変わらないほどに十分発達したので、身体の成長に全てが注がれている時期です。

 

その為身体はグングン大きくなり、体重は1700~2400g、身長は40~45cmほどまで成長し、体つきもふっくらとしてきます。

 

髪もしっかりと生え揃い、爪も伸びてきています。

 

お母さんから免疫力ももらって、ある程度菌やウイルスなどと闘う力も備わってきます。

 

最近ではこの時期にRSウイルスの予防注射をする妊婦さんが増えているように思います。

また、インフルエンザのはやる時期の出産の場合もインフルエンザのワクチンを接種する方もいます。

それらのワクチンは妊娠中の赤ちゃんには支障がなく、妊娠中より産後のお母さんと赤ちゃんが悪いウイルスにやられないようにしても良いと思います。(するかどうかは任意です)

 

また、今まで胎児はずっと夢見心地で起きているか寝ているかのハザマが多かった状態でしたが、この頃にはハッキリと”起きている時間”と”寝ている時間”が20分サイクルほどでできてきます。

 

このように、大きさ以外は新生児と変わらない状態となり、つまりいつ生まれてもおかしくない状態ですので、「出産予定日まではまだ1ヶ月以上ある」と思っていても何が起こるかわかりません。

 

いつ分娩の為に入院となっても良いように準備をしましょう。

 

  

逆子

妊娠7ヶ月目は胎児の活動がピークを迎える時期であるため、1日の中でも体勢が大きく変化します。

 

8ヶ月以上になると、身体を動かす機能は成長しますが、大きくなりすぎて母体では窮屈になり、姿勢が固定されていきます。

 

つまり、大きくなるに従って、徐々に生まれる時の体勢が決まってくるのです。

 

出産時は頭部から生まれることが安産に繋がりますが、胎児、もしくは母体に何らかの要因があると、胎児が子宮口に頭を向けていない体勢で固定されてしまう場合があります。

 

これを一般に”逆子”と言いますね。

 

「逆さ」という言葉が入っていますが、必ずしも真逆なわけでなく、横を向いていたり斜めを向いていたりすることもあり、正常な姿勢以外のものは全て”逆子”と表現します。

 

逆子がもたらすリスク

逆子は母体にいる限りは、赤ちゃんに負担がかかることはほとんどありません。

 

妊婦側では胎児の足の方向によっては蹴りが母の内臓へのダメージとなり、苦しくなることはあると思いますが、それは逆子でなくても起こり得ることなので、特に問題にはなりません。

 

逆子が一番の負担になるのは出産です。

 

母体にいる間、胎児はへその緒からの酸素の取り込み・二酸化炭素の排出を行っていますが、産まれた瞬間、呼吸方法は自身の肺呼吸に切り替わります。

 

「オギャアーー!!」

 

 

その第一声で肺がしっかりと働き始めるのです。

 

ですが、逆子での出産は、へその緒が先に出てしまうことで酸素が送れなくなったのにもかかわらず頭部はまだ母体内であるため、呼吸が出来ない状態となり、酸欠を引き起こしやすくなります。

 

このように逆子での出産はかなり危険であるため、ほとんどは帝王切開分娩となります。

 

現在では医療技術が著しく発展したことで、帝王切開することで命を失うリスクはほとんどありません。

 

しかし、帝王切開分娩は、お腹にメスを入れるため、産後に痕が残ったり、術後の痛みが尾を引いてしまうことがあります。

 

 

また次の子を望んだ時には不妊の要因となりやすくなったり(手術による瘀血生成)、妊娠出来ても流産や早産リスクが高まることや、帝王切開経験のある方が次の出産で普通分娩をした場合、出産のためにいきんだ圧力が帝王切開痕に響くとそこから破裂に繋がるリスクもあります。

 

それを避けるために、2回目以降の出産も帝王切開分娩が推奨され、また手術痕ができ、身体への負担は強まります・・・

 

出来れば逆子は避けることで、通常の分娩が出来るに越したことはないので、胎児がまだまだ元気に動ける妊娠7ヶ月ほどから逆子リスクを下げるように心がけることが大切となるでしょう。

 

逆子リスクを下げるための漢方薬は次の段落で書きますね。

 

 

32~35週目の漢方薬

9か月目はいよいよ臨月直前です。

  

ただ、これからは余裕が出た分母体側が無意識に無理をしてしまうなどもあり、また血流も赤ちゃんが大きくなるごとに良い血流であることが求められます。

 

1度でも流産を経験した方や35歳以上の方の妊娠では早産予防することが大切でしょう。

 

早産予防は安胎効果から段々と胎児の発育を促す補腎薬や血行改善を促す補血剤、そして赤ちゃんが大きくなることで子宮頸管が短くなったりお腹の張りが強くなり早産傾向になることもあるので、それに対応した漢方薬へ移行していくことが私の考えです。

  

早産予防の漢方薬 

・補腎・安胎効果が高く流産予防となる「奶参」から「子羊袋」や「婦宝三膠」

 

・血の漏れを防ぎ赤ちゃんを守る「芎帰膠艾湯」「帰脾湯」から補血効果を高める「四物湯」「当帰芍薬散」「婦人宝」「連珠飲」

 

・お腹の張りには「桂枝加芍薬湯」「建中湯類」「芍薬甘草湯」

 

・子宮頸管が短くなっている場合には「補中益気湯」

 

などを中心に、状態に合わせ考えます。

 

流産予防効果が100%とは言えませんが、西洋薬では流産予防するお薬は今のところないため、漢方薬での安胎効果や昇堤効果、止血効果で胎児を守ると良いでしょう。 

2回の流産を経験してから当薬局へ漢方相談し、授かられた方の臨床例↓ 

病院では妊娠中に当帰芍薬散が出ることが多いですが、妊娠中のお腹の張りやむくみ、貧血、冷えに対しては良いですが、流産予防効果は期待できません。

 

お腹の張りが強い場合の対処法

腹筋に力を入れると腹に張りを感じるように、筋肉緊張があることで張っているのか、輪ゴムが乾燥して柔軟性がなくなり、たいして伸ばしていなくても張りが強く感じるように皮膚や筋肉への血の潤いが少ないために張りやすいのかを考え、それに合った漢方(芍薬で筋肉をほぐすなど)で予防していきます。

 

また、張りが強いということは、妊娠線も残りやすくなってしまうので、外側からの保湿も欠かせません。

 

内側からも血の潤いを届ける漢方(当帰剤)を使用することで、内から外から潤わせると張りにも妊娠線予防にも良いでしょう。

 

お腹の張りは、一時座って休憩すると引く程度のものであれば問題ないですが、ある程度休んでも強い張りが続いたり、出血を伴う場合、病院で診てもらい、張り止めなどを含む対応をしてもらいましょう。

 

むくみが強い場合の対処法

むくみには水分代謝を改善する漢方が基本となります。

 

ただ、水を動かすエネルギーが不足しているため滞っているのか、詰まっていて滞っているのかなどにより漢方は変わってきます。

 

押しても凹んだままのむくみは気虚ベースなので補気建中湯

 

パンパンになっていて張りの強いむくみは気滞ベースなので、気滞を取りながら水分代謝を改善していく蒼朮、大腹皮など

 

時に陰虚があることで水分代謝が悪化している場合は六味丸ベース

 

血虚も伴ったむくみには当帰芍薬散などを考えていきます。

 

 

また、マッサージや運動、ストレッチなどによって予防することも大事になります。

 

腰痛が強い場合の対処法

漢方では、腰痛にしても頭痛にしても月経痛にしても、「不通則痛」→「通ざれば、即ち痛む」であり、また「不栄則痛」→「栄えざれば、即ち痛む」です。

 

つまり気・血・水が不足しているか、滞っていると痛みが出るという考えです。

 

 

妊娠時の腰痛は姿勢の問題で痛みが出ていますが、基本は姿勢の問題で虚が出ることはないでしょう。

 

つまり、姿勢が滞りを生んでいるために痛むわけで、通じることがベストではありますが、痛みを取る時に多用する活血剤や附子剤は妊娠時にはデリケートなものなので身体の状態を見ながら慎重に使用していきます。

 

痛みに対しての漢方は、「漢方には副作用がないから安心」と安易に使用できないものが多いです。

 

分からない場合は、一時的な姿勢の問題なので、妊娠用の矯正ベルトを使用することで緩和できます。

 

その方が腰痛を緩和しながらお腹を支えることも楽になるので、良いかもしれません。

 

妊娠中毒症への漢方薬

妊娠中には高血圧、糖尿病、タンパク尿になることがあります。

 

これらは自覚症状を伴わず、今まで低血圧や低血糖だった方もなり得るもので、現代医学では原因不明とされていますが、漢方の中では原因はわかっています。

 

これらに関わるのは”腎機能”であり、胎児を育む力も”腎”の力によるものです。

 

つまり、胎児の成長に腎の力を奪われるために、血圧や血糖、尿を調節する機能が犠牲となってしまいます。

 

腎を助ける補腎薬を予防的に服用していると良いということです。

 

 

実際に、漢方の補腎薬は血圧を下げたり血糖を下げる力はありませんが、妊娠中にしっかりと予防薬を服用している方で妊娠中毒症になられる方はほとんど経験していません。

 

もちろん食事での糖質や塩分、水分の摂り方が悪いなども負担となる為、食事指導も合わせて行うことも大事ですが、出産に向けた身体作り、もう間もなくお生まれになるお子様の生まれた後の体質の強さのためにも漢方で身体作りすることは大切です。

 

妊娠中の睡眠障害の対処法

妊娠前から不眠傾向があるのであれば、妊娠前からある心熱、心血虚、心気虚、心陰虚、心腎不交、心脾両虚、胆鬱痰櫌、痰火櫌心、胃熱の状態にあった漢方を出すことで改善するでしょう。

 

このように、基本的な不眠の原因は心を中心に心陽と腎陰のバランス、現代医学に置き換えると交感神経(心陽)と副交感神経(腎陰)のバランスが崩れることが主体となりますが、お腹の負担で不眠傾向にあるのは上記の臓腑的な問題ではなく、姿勢の負担によるものがほとんどです。

 

 

この場合は漢方でどうにかすることは難しいので、抱き枕を買って寝ている時の体の負担をかからないようにしていくことが吉です。

  

胎児への血流量が増加することで心負担がかかって不眠になる方もいますが、その場合は心気虚、心血虚、心腎不交、心脾両虚での分類に従い心をケアして普段の心負荷や睡眠の状態を改善するように漢方を組み立てます。

 

その他の症状に対しての漢方薬

他はそれぞれその方が訴える症状も多く分岐しますので、それに合わせた漢方薬となります。

 

例えば妊娠初期~中期は尿意が頻繁となり、夜間尿も増える方が多いです。

 

その場合は「苓姜朮甘湯」

 

貧血や疲労感が強い場合には「人参養栄湯」「十全大補湯」「婦人宝」

頭痛には「香蘇散」

下痢には「半夏瀉心湯」

 

など、状態に合わせて対応します。

 

なお、妊娠中は便秘にもなりやすいですが、↑に書いた「小建中湯」の膠飴などで多少排便が促されることもありますが、一番多用されがちな大黄系の漢方薬は胎児へも影響し得るので私は使いません。

 

それよりも酸化マグネシウムをお勧めしています。

 

妊娠中の風邪の漢方薬

妊娠中は風邪はひかないにこしたことはありませんが、どうしても引いてしまうこともあります。

 

ひいてしまった場合、妊娠中なのでいつもの風邪薬が飲めない場合、漢方薬だ!となる方も多いと思います。

 

しかし実は落とし穴があり、風邪で有名な漢方薬は葛根湯ですが、葛根湯に含まれる”麻黄”は妊娠中は子宮収縮を促す可能性があるため注意が必要です。

 

漢方であれば何でも妊娠中は安心というわけではありません。

 

妊娠中でも安心してお飲みいただける漢方の風邪薬は、参蘇飲、桂枝湯、麦門冬湯、小柴胡湯、旅の人参木などです。

 

風邪や花粉症で良く使われている小青竜湯も麻黄を含むのであまりお勧めしません。

 

妊活や不妊治療で困った経験を子に引き継がないために

だんだん身体や内臓も成長し、産後の体質形成にも大事な期間となっています。

 

例えば食が細かったり、疲れやすかったり、アトピーや喘息などのアレルギー体質だったり、胎児の内に身体を強くしておくと産後も病気に強い元気な子として生まれてくれます。

 

それに何より、不妊治療で困った経験がある場合、精子の元気のなさや月経不順や妊娠しにくさなども赤ちゃんの内に腎(生殖機能)を高めておくと同じように困ることが無くなるでしょう。

 

漢方は予防医学が真骨頂。

 

妊娠中の流産予防もそうですが、産後の病気に振り回されないお子様を授かるという一生の財産もこの時期に築くお手伝いが可能です。

 

ブログをお読みいただき

 

ありがとうございます

このブログを読んだことが

 

赤ちゃんとの出逢いへ繋がれば幸いです

 

また、私の言葉が心に届き

 

ブログ以上に私の力が必要と感じましたら

 

お気軽にご連絡ください

 

 

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青森の平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔