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アトピー性皮膚炎の漢方考察
2026年10月03日
(7分で読めます。専門度★★★★)
アトピー性皮膚炎は今でこそ誰もが知る皮膚疾患ですが、その実ここ数十年で急激に増えた疾患です。
ステロイド剤が奏効することが多いのですが、ステロイド剤を中止した時のリバウンドやステロイド剤に抵抗感がある方もおり、漢方相談依頼がスタンダードに多い疾患です。
しかし漢方界隈でもアトピー性皮膚炎はかなり難しい疾患であり、その考察などをまとめていこうと思います。
目次
アトピー性皮膚炎
”アトピー”とは
アトピーの語源はギリシャ語のATOPOSに由来していて、「奇妙な」「とらえどころのない」などの明らかな原因がわからない皮膚疾患を総称したものです。
一般には強いかゆみを伴う湿疹が慢性的に増悪・寛解を繰り返す皮膚疾患を指します。
また、左右対称で症状が出ることも多いです。
アトピー性皮膚炎の傾向
年齢による症状の傾向
アトピー性皮膚炎自体は性別・年齢問わず発症しますが、年齢により症状の出方や部位に傾向があります。
2歳未満では始めは頭や顔などの首以上の部位に発症することが多く、そこから体や手足にも発症する場合もあります。

2~15歳の子供は手足、特に肘や膝の裏、または首などに出やすい傾向があります。

16歳以上は幼少期に発症していたアトピー性皮膚炎が自然と治まり、そのまま自己治癒することも少なくありません。
しかし16歳以上になり初めて発症したり、ある程度の期間治まっていたものが再発した場合、症状が激しいかつ複雑かであることが多く、自然経過での治癒はほぼ望めない苦しい症状となります。

発症部位の傾向
左右対称的に発症することがほとんどです。
時に左右差を生じる場合もありますが、これは「利き手で掻きやすい」「寝相で擦れやすい」など、刺激に左右差があるために悪化の度合いが違うために生じる差です。
遺伝の傾向
必ずではないですが、親がアレルギー体質である場合、子供もアレルギー体質となりアトピー性皮膚炎になりやすい傾向にあります。
漢方で考えるとアトピー性皮膚炎にかかわりの深い”脾”や”肺”が弱い体質や解毒が上手くできにくい体質が遺伝されてしまうのでしょう。
増悪寛解の傾向
「アレルギー物質と接した場合」と「乾燥した時」に悪化しやすいことは共通しますが、「運動などで身体が暑くなった時」、「発汗」、「冷えた時」、「集中している時」、「ストレス」、「睡眠中」、「食事中」、「月経」、「季節」などの要因での痒みは人によって様々です。
汗をかくことで蒸れて悪化してしまう人もいれば、汗をかくことが痒み軽減へ繋がる人もいます。
”アトピー性皮膚炎”という同じ括りで皮膚炎を起こしていることは共通項ではありますが、その炎症の原因がさまざまであることためです。
人により変わるこの増悪寛解因子がアトピー性皮膚炎は複雑&難解だと言われる所以ですが、”アトピー性皮膚炎”という括りで考えると確かに複雑ですが、個々の増悪寛解因子を知ることは漢方においては対応方剤を決めるにあたってとても重要な要素です。
また、冷やすと痒みが緩和する人も多いと思いますが、これは一時的には緩和するように感じても肌で解毒していた熱の抜けどころが亡くなり、後で逆にかゆみなどの症状が爆発的に悪化することもあります。
アトピー性皮膚”炎”ですが、炎を抑えて良いのかどうかもアトピー性皮膚炎の難しい所です。
アトピー性皮膚炎の西洋医学での治療法
ファーストチョイスは何よりもステロイド剤で炎症を抑えることです。
また、肌の潤いは肌を守る大切な要素ですが、アトピー性皮膚炎ではその潤いが圧倒的に少ないことが多いため、補佐的に保湿剤も使用することが多いでしょう。
ステロイド剤の抗炎症作用よりも炎症が強まってしまう場合は必要に応じ内服薬でもステロイド剤が出たり、他の免疫抑制剤であるタクロリムスなどが出ることもありますし、抗アレルギー剤でアレルギー症状自体を抑えることも併用することもあります。
ほとんどのアトピー性皮膚炎ではこれらで症状は落ち着きます。
が、それでも漢方相談に相談される方が多い理由は、薬の効果を上回る症状によりアトピー性皮膚炎が治まらない人もいれば、一時は効果的だったにも関わらずある時から悪化し、西洋薬だけではコントロールできなくなった方、ステロイド剤に抵抗感がある方などです。
ステロイド剤は皮膚の炎症を抑える上ではとても強力なお薬ですが、あくまで火事を生じている末端の消化をしているだけで根本の火種への対応がありません。
蚊に刺されにように一時的な皮膚炎ですとそれで良いのですが、慢性的に炎症を生じている場合は根本の熱源を絶たないと繰り返すステロイドに慣れ効果が無くなったり色素沈着や皮膚の萎縮により柔軟性のない皮膚となってしまったりします。
漢方でのアトピー性皮膚炎の治療
まずアトピー性皮膚炎の状態を観察します。
乾燥が強いタイプ、炎症が強いタイプ、傷が多いタイプ、肌汁が多いタイプ、皮膚が分厚くなってしまっているタイプ、皮膚の色が変わってしまっているタイプ、それぞれの症状自体は地味なタイプなどです。
しかしアトピー性皮膚炎に関しては皮膚に見える症状は表面だけであり根元は冷えゆえに熱症状が生じている場合などもあり、全体症状も問診にて伺います。
それは先ほど書いた増悪寛解因子がとても大きく関わってきます。
皮膚症状の所見と増悪寛解因子はその人の持つアトピー性皮膚炎の個性であり、これにベースの冷え症や胃腸症状、月経等の状態などの他の体質も加味することで体質改善する方法を探ります。
漢方治療により肌の状態が安定していたにも関わらず、急に再発したり今まで以上に悪化してしまうことは少なくありません。
それは季節によっても熱刺激の度合いや血流の多寡、気・水の消耗度合いも変わるため、ずっと同じ対応というより被治療者と環境も加味して随時調整しなければいけず、定期的な漢方相談が必要です。
実践的なアトピー性皮膚炎の漢方考察は↓
次回へ続きます
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心のこもった漢方相談を 平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔




