お知らせ
間質性膀胱炎のご相談が増えています
2026年07月27日
(この記事は3分で読めます。専門度★★★)
最近、『間質性膀胱炎』でお悩みの方からのご相談依頼が増えています。
膀胱炎はかなりにメジャーな疾患で、発症してもすぐ治っている人が多いでしょう。
一方『間質性膀胱炎』は難治性であり、膀胱炎がメジャーで簡易に治るからこそそのツラさはなったことない人からは理解されにくく、それ故か精神的負担は大きい疾患です。
これまでの相談者の訴えからそのツラさは理解しており、また他でも良くならなかった『間質性膀胱炎』が緩和できているため、少しでも『間質性膀胱炎』の方の助けになるように”間質性膀胱炎と漢方治療”についてまとめていきます。

間質性膀胱炎とは
『間質性膀胱炎』の症状には
- 残尿感
- 排尿痛
- 膀胱に水分が溜まると痛い
- 頻尿
- 尿切れの悪さ
- 夜間頻尿
- 膀胱の違和感
などがあり、一般的な膀胱炎と比べ、症状自体には大差はありません。
一番の違いは、通常の膀胱炎はバイ菌が尿道~膀胱に悪さをすることで生じますが、『間質性膀胱炎』の場合はばい菌は検出されず、つまり原因がわからない点にあります。
抗生剤の服用により一時的な緩和することもあるようですが、薬が効いても再発を繰り返したり、薬も効かなければ自然緩解することも少ない難治性の疾患です。
相談を通して感じることは、症状自体が強いとは言えませんが、何とも言えない”違和感”を常に膀胱で感じることが精神的苦痛に繋がることが多く、また、膀胱の負担があるとなかなかスムーズに寝付くことができない為、間質性膀胱炎は不眠や不安症状に波及してしまいます。
膀胱炎症状で死ぬことはありませんが、この不眠や不安が死ぬほどツラい症状に発展することもあります。
膀胱炎の漢方薬
- 猪苓湯
- 五淋散(ボーコレンなど)
- 竜胆瀉肝湯
などは3大膀胱炎漢方薬でしょう。
間質性膀胱炎でも上の漢方薬を使うこともありますが、そのほとんどは痛みや尿色が濃いなどの炎症が強い時のみの使用が多いです。
特に竜胆瀉肝湯が炎症++の抗炎症のため
五淋散は炎症+でかつ水分バランスを整えるため
猪苓湯は炎症は軽度で水分バランスを整え膀胱粘膜を整えるため
それぞれ使い分けていきます。
また、漢方の基礎なので少し勉強するとわかりますが、膀胱の裏の臓腑は『腎』であるため、膀胱の不調は腎の不調からきていると捉え、間質性膀胱炎に腎のお薬を出すこともあります。
六味丸をベースとし
腎の冷えがあるなら八味丸
冷えはあるけれど部分的な炎症を抑え利水を促す効果を強めるには牛車腎気丸
また知黄地黄丸や麦味地黄丸、杞菊地黄丸なども使い分けます。
膀胱炎自体は膀胱炎なので、部分的には炎症がありますが、冬に悪化する、温めると緩和する、夜間頻尿などの場合は炎症が起こるキッカケが冷えであることがあるため温める必要があることもあります。
もしくは膀胱~胃腸の水分バランスの悪さが間質性膀胱炎に影響している場合は利水を考え、四君子湯や平胃散、五苓散、藿香正気散、苓姜朮甘湯などをベースとした利水剤を使用していきます。
小便はろ過、その後の水分の再吸収があり、また膀胱に溜まった尿は膀胱が弛緩して溜まり、収縮することで排尿します。
それをイメージしながら症状とリンクすると、催すけれどそれほど量は出ない→膀胱の再吸収が強いor膀胱粘膜が薄く過敏になっている
それほど時間は経っていないのにいっぱい出る→膀胱の再吸収機能が弱まっている
横になると小便を催す→重力の影響で水の動きが変わる、自分で水が調整する力が弱い
頻尿、小便してもすぐに行きたくなる→膀胱粘膜が薄く過敏になっているか、水分バランスが悪い
溜まった感覚と実際の小便量がリンクしていない→膀胱の陰虚(膀胱粘膜の潤い不足)により膀胱の感覚異常、もしくは膀胱の伸縮性に異常が出ている
様々な症状がその時々でバラバラに混ざって出る→水分代謝異常が強い
などのことを考え、利水の調整や膀胱粘膜を助けたり柔軟性を高める漢方を調整します。
間質性膀胱炎の特徴から考える
現代医学ではジムソ治療法はあるもののそれでも改善しない例も良くあります。
漢方治療しかないとのことで、上記の漢方を飲むことが多いと思いますが一般的な膀胱や腎、水分バランスを考えるだけだと不十分だと思っています。
なので、ここに相談する前に漢方を飲んでいても調子が良い日があっても一度悪くなってからなかなか改善しない
つまり体質改善にまでは至っていないのでしょう。
上記の漢方に不足している考えは2つあり、その一つは間質性膀胱炎が更年期付近の女性に多いこと。
また不快症状を起こす前から隠れ間質性膀胱炎状態にあり、発症した時には慢性化してしまっていると考えなければならないことなどがあります。
更年期の女性は間質性膀胱炎以外にもホットフラッシュ、不眠、不安、イライラ、舌痛症、シェーグレン症候群、頭痛、めまい、耳鳴り、肌・口・喉・目の乾燥などがあります。
これらは全て漢方で考えると”陰虚”という同じ根元から症状が来ています。
つまり間質性膀胱炎も陰虚からきていると考えられ、元から膀胱の陰が少なめな人が更年期でより陰虚が進行することで発症すると考えています。
陰虚ということは、つまりは潤い不足です。
膀胱粘膜の潤い不足で感覚過敏になり、また膀胱の伸縮性も弱ってしまっているということです。
実際この陰虚・津虚という粘膜の潤い不足を補うことで膀胱の違和感~不快感~痛み、またキレの悪さや頻尿、切迫感などが緩和している例はたくさんあります。
またもう一つは”瘀血”です。
しかもこの瘀血は全身的な血瘀かどうかではなく、膀胱という局所的な部分での瘀血が問題となります。
間質性膀胱炎というように、慢性的に炎症を起こしているとその部位はずっと小さな火でいぶられている状態となり、その血管が長い火で炙られ瘀血を形成してしまいます。
血が通いにくくなると患部を治す力も弱まり、より慢性化してしまうわけです。
陰虚と同じようにこの”瘀血”という考えも漢方独特ですが、駆瘀血剤により間質性膀胱が緩和している例も多くございます。
何をしても改善が見られなかった方は、ぜひご相談ください。
平成堂薬局 漢方相談薬剤師 櫻井 大輔

